Home 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)

第84時
観測9 宇宙の基本単位としての恒星

       HR図

     2019 12 18(火)、19(水)
     普通教室

はじめに
 前時『観測8 宇宙のおける私の住所、宇宙の階層』で、自ら光る星『恒星』を宇宙の基本単位として紹介しました。この考えは、中学生レベルでは自然なことだと思います。この考え方は私のオリジナルです。

 さて、本時は恒星についてもう少し深く学習します。1)宇宙に全体における太陽の大きさ、2)恒星の温度と色、3)恒星の誕生から死まで、などです。名古屋の夜空で星を観察することは簡単ではありませんが、宇宙のロマンを少しでも感じてもらえれば、と思います。別ページ『星の一生(進化) (2004年版)』は、2004年にまとめたものなので、最新の研究によって大きく変わっているでしょう。

 


本時の目標
・実視等級と絶対等級について理解する
・太陽が、宇宙ではやや小さい恒星であることを理解する
・星の一生を、HR図で垣間知る
・宇宙の基本単位としての恒星を、より深く理解する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)天体の明るさ(20分〜25分)
 天体の明るさは2つの方法で表されます。1つは地球から見た明るさ(実視等級)、もう1つは天体そのものの明るさ(絶対等級)です。


図2:実視等級と絶対等級

 星の明るさの違いがあることを実感するためには、実際の夜空に星がたくさん見えることが必要です。名古屋ではほとんど星を見ることができませんが、条件がよければ30個程度は観測できます。もちろん、わずかな条件の違いでその数は大きく変わります。

 「星を見たことがある人! 星と言っても、本物の星ですよ。夜空に輝く星です。プラネタリウムもダメです。自分の目で、本物の星を見たことがある人は手を挙げてください!・・・ えーーっ、そんなに少ないの? 見たことがあっても記憶に残らないのかなあ


図3:同上

指導上のポイント
1)実視等級の定義の始まりは、肉眼で決めた6等級と1等級
2)その後、数学的に数値を決めた
3)その結果、小数点表示の等級もできた
4)-の等級もできた

5)それに対応して、絶対等級が定義された

6)実視等級絶対等級の違いを理解するために、太陽の明るさを紹介すると効果的
7)前者は-26.8等級、後者は4.8等級
8)絶対等級4.8は、太陽がやや小さい恒星であることを示す

(3)恒星の色と温度の関係 (10分〜15分)
 恒星の色と温度は、深い関係があります。


図4:恒星の色と温度の関係

 図4が不完全なのは、学習プリントにほぼすべて印刷してあるからです。


図5:同上

 図5には、有名な星座が書かれています。驚くべきことに、オリオン座を自分の目で見たことがある生徒は30%以下、冬の大三角は10%以下、さそり座は0〜5%です。


図6:リゲルを紹介した楽しいメモ

(4)星の一生(0分〜20分)
 宇宙にある星は、何年か前に誕生したものです。当たり前ですね。そして、何年かすると死にます。これも当たり前ですね。太陽の惑星である地球も同じように46億年前に生まれたものであり、太陽の寿命が尽きる50億年よりも前に死ぬことになります。

 さて、恒星の一生は、その質量によっていくつかに分類できます。詳細は別ページ『星の一生(進化) (2004年版)』をご覧ください。


図7:星の一生を示したHR図

(5)本時の感想、考察 (5分)


授業を終えて
 上の授業記録の時間配分で気づいた人がいるかもしれません。(3)星の一生を割愛した学級があります。理由は生徒の興味関心を十分に高められたなったからです。その原因は私にありますが、やはり、自分の目で星を見たことがないことが最大の理由だと思います。

 私が中学の頃と比べると、星は見えなくなってしまったのか。それとも、時代が星を必要していないのか。それとも・・・

関連ページ
星の一生(進化) (2004年版)

実践ビジュアル教科書『中学理科の地学

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