Home 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)

第85時
観測10 宇宙から見た地球の時間と方位

     2018 12 20(木)、2019 1 8(火) 
     普通教室

はじめに
 宇宙から見た地球の時刻と方位は、19年前『朝昼夕夜と東西南北1年(1999年)』は1年生で学習しました。苦労した記憶があり、中学3年生に移行してからも時間をかけるようにしています。これができないと、『星の見え方』『月の見え方』『金星の見え方』がさっぱりわかりません。

 この図の視点天の北極で、この視点を紹介するのは初めてです。また、1年生と3年生では指導方法を変えた方が良いでしょう。1年には太陽の動きから、3年には北極から、です。具体的には次のようになります。

1年:太陽の動きから
朝、太陽は東から昇る
昼、太陽は南を通る
夕、太陽は西へ沈む
夜、太陽は地面の下にあるので見えない
参考・関連ページ
朝昼夕夜と東西南北1年(1999年)
  3年:北極を一定にする
時刻、および、太陽
とは無関係に
北極(地球の中心方向)を北とする
※本文参照
参考・関連ページ
観察6 地球の自転3年(2004年)


図1:北極=北、であることを示すAさん
 ※この図を理解するための条件は、この図が『天の北極から見たものである』ことを理解することである。


本時の目標
・天の北極から見た太陽と地球の位置関係図を理解する
・地球と他の天体との距離は大きく、太陽の光は平行と考えてよいことを理解する
・現在の時刻の決め方は、太陽を基準にしていることに気づく
・地球の時刻(朝昼夕夜)は、太陽の当たり方で決まることを理解する
・地球の方位(東西南北)は、時間によって変わることを理解する
・時刻→ 方位の考えると分かりやすいことに気づく
・宇宙から見ると、北は常に地球の地軸方向であることを理解する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

 本時の学習プリントは上下2つに分けます。上半分は時刻(朝昼夕夜)、下半分は方位(東西南北)をまとめます。

(2)四方八方に広がる太陽光は、地球には平行光線として届く (5分〜7分)
 本時の学習プリントは左右広げて使います。とても左右に長く、無駄に感じるほどです。その目的は、太陽光線がほぼ平行になることを実感させることです。太陽だけでなく、月や星やその他すべての天体の距離はとても遠く、模式図では大きな角度がついていて45度にあるように見えても、実際は角度が0度であることを理解させるためです。これが理解できないと、定期テストや入試問題で、模式図を見誤って不正解になります。


図2:四方八方に広がる太陽光が、地球に届く様子(クリックすると拡大します)

 図2の太陽はプリント左、地球はプリント右です。太陽から出た光は、立体的に広がります。しかし、地球に当たる光はごくわずかです。定規を使って太陽光線を書いてみれば、その量がすぐにわかります。太陽光線どうしは完全な平行にはなりませんが、ほぼ平行になっていることもわかります。

(3)地球の時刻(朝昼夕夜)  (10分〜15分)
 もっとも重要なことは、視点です。図3を見てください。この図は、どこから地球を見たものかわかりますか。それを答えることができれば、本時の内容はほぼ理解できたと言えます。


図3:地球の時刻(朝昼夕夜)

 図3は天の北極から見たものです。地軸の延長線上、あるいは、北極星から見たもの、と答えても正解です。

 したがって、この図の地球は反時計回りに自転することになります。6時間ごとの人を描き、それぞれに時刻を記入します。一番初めに『昼』を考えてください。昼は太陽光線が頭上から降り注ぎます。そこからは、時計回りに書き込むだけです。

(4)地球の方位 (10分〜15分)
 地球の時間を基準に考えてください。朝、太陽は東に見えるので、太陽の方向は東です。昼、太陽は真南に見えるので、太陽の方向は南(南半球では北)です。夕方、太陽は西に見えるので、太陽の方向は西です。このような考え方は、中学1年に指導する場合に有効です。もちろん、中学3年生にとっても重要であり、必要です(図4)。


図4:地球の時刻(上)と方位(下)   ※クリックすると別黒板


図5:地球の方位を説明するB君


図6:B君とは別方法で説明するC君


図7:北極は常に北、であることから方位を導き出すDさん

 Dさんの考え方は、時間と無関係です。北極はつねに北なので、『地球の中心が北』と考えます。(図8)。この考え方は中学3年生に好まれます。とくにテスト問題を解くときに便利です。


図8:地球の中心が北、と考える方法


図9:わかりやすく書き直してくれたE君

(5)本時の感想、考察 (5分)


図10:本時の板書


図11:同上(別学級)


図12:自転方向を使って説明するF君


授業を終えて
 時間を使いましたが、最終的にはこれで正解だと思います。なお、この授業は2学期終業式に行った学級と3学期に持ち越した学級がありました。

関連ページ
観察6 地球の自転3年(2004年)
朝昼夕夜と東西南北1年(1999年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の地学

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としての恒星

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(天の北斜め上から見た図)
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