このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第18時
実習14 作用反作用の法則

   (ペットボトルロケット

     2018 5 25(金)、28(月)
     第2理科室→ 運動場→ 第2理科室

はじめに
 ある物体が他の物体に力を加えると、その瞬間、逆向きで同じ大きさの力が発生します。初めの力を作用、それによってできた力を反作用といいます。では、なぜ反作用ができるのか。誰もその説明はできません。それは自然の法則である、と受け入れるより他に方法はないようです。

 授業では、日常生活にたくさん見られる作用・反作用の例を指摘することから始めます。そして、その原理を理解してから運動場へ移動し、ペットボトルロケットを飛ばします。予想以上に勢い良く飛ぶロケットを見ながら、作用・反作用について深く心に刻んでほしいと思います。

関連ページ
ニュートンの運動の法則2004年度


上:本時の板書


本時の目標
・作用反作用の例をあげ、その法則を理解する
・ペットボトルロケットが飛ぶ原理を理解する
・ロケット発射実験を間近にみて、そのエネルギーの大きさを体感する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • ペットボトルロケット
  • 発射台
  • 自転車の空気入れ

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)作用・反作用の法則の紹介(3分)
 1)教科書を開ける
 2)該当部分をチェックする
 3)作用・反作用の法則についてまとめる


上:A組での板書

(3)反作用についてまとめる (2分)
 教科書に書いてあるので、サクッとまとめる(下図参照)


上:A組での板書

(4)作用・反作用の例をあげる(10分〜15分)
 クラスによって盛り上がる場合とそうでない場合があります。最近、急に気温が高くなり、午後からの授業では集中が続かなくなっているので、無理しないようにすることが大切です。どうしても意見がでない場合は、難しい例として反作用の『垂直抗力』を紹介し、その例をあげさせても良いでしょう。

 以下は、B組の生徒の発表をまとめながら、板書したものです。11個の例があります。これを見ながら、授業での様子を紹介したいと思います。


上:B組で発表された作用反作用の例

 一番初めに発表された『電車が止まるとき、自分は進行方向へ行ってしまう(上図最上段)』は、間違いでした。授業では間違っている意見でもあえて板書し、何が違うのか考えさせることがよくあります。この場合は、以下のように展開しました。

 「これは作用反作用の例ではなく、これまでに学習した他の法則です。何の法則だった覚えていますか? ・・・(正解と一緒に、フックの法則というつぶやき声が聞こえたので)・・・ えっ、フックの法則? それは違うと思います。・・・(教室から、それはバネの実験でやったやつ、という声が聞こえたので)・・・C君がしっかり覚えているようですが、それは、バネに分銅をつけた実験で、バネの伸びの大きさと分銅の重さが比例していたことをまとめたもので、フックの法則、でした。ということで、正解は? ・・・そうですね。慣性の法則です。前回学習したばかりです」「これを発表してくれたC君のおかげで復習ができました。大変助かります。みなさんも感謝して、しっかり書いておきましょう」

 「その他に発表してくれる人はいませんか? ・・・Dさんが『水泳のターンで、壁をキックすると自分が進む』と発表する・・・(それを板書してから)これはわかりやすい例ですね。これは、キックしたら、同じ力で壁が押した、と考えることができます(と黄色で板書する、上図二段目)

 その後、同じような例として、(3)スタブロを押して走り出す、が発表されました。陸上部の男子からです。(4)壁に当たったボールがはね返る、も同じように考えることできるものです。その次に発表された(5)手押しずもう、は子どもたちで大流行することがある遊びです。作用反作用の典型的な例とは言えませんが、自分や相手が押した力(作用)と反作用、と、自分の足と床にはたらく作用と反作用のタイミングがうまく合うと、相手を倒すことができます。

 (6)頭突き、は遊びの続きからでてきた意見です。「頭突きはプロレスの技の1つですが、実際問題として、技を仕掛けた方も同じだけの反作用を受けるので、相打ちになります。頭と頭をぶつけ合うのは、プロレスならではの派手なパフォーマンスの1つと言えるでしょう。その他、いらいらして壁を殴る人もいると思いますが、壁を殴ると、拳が壊れることがあります。作用反作用の法則を正しく理解している人は、(教室のコンクリートの柱のところに移動して)コンクリートの壁や柱を殴ることはしないでしょう。ま、もちろん、そもそも何かを殴るようなことはしないと思いますが、・・・」

 (7)シャワーをMaxにすると、ホースがぐあー、となる、という意見はこれまで少し違います。ホースの中にある水は、決まった形をもたない『流体』です。これは流体による圧力による現象なので、正確に説明すると混乱する生徒も出ると思います。授業では、深く触れずに流すことにしました。なお、教科書には、作用反作用の例として、消防士が腰を低くして放水しているイラストがありました。

 (8)以降は省略させていただきます(すみません)。

(5)教科書を読んで確認する(5分)
 該当ページ(2ページ)を読み、重要な部分をチェックする。

(6)ペットボトルロケットが空を飛ぶ理由 (3分〜5分)
 ペットボトルが空を飛ぶ理由は、水を勢いよく噴射するからです。水がゆっくり出たり、一度にどばっと出たりする場合は飛びません。つまり、水が噴射するエネルギー(作用)と同じ大きさの力(反作用)によって、ロケットは飛ぶことになります。

 水の量は、説明書にしたがってください。最適な量が示されていると思います。授業でおさえたいことは、「水100%にしてしまったら、水を押し出すせないこと」「水はペットボトルの1/4〜1/3とし、残りの部分に圧縮空気をいれること」「圧縮空気は、自転車の空気入れで入れること」などです。


上:ペットボトルが空を飛ぶ理由の説明図

(7)発射実験準備 (2分〜4分)
 原理がわかったところで、運動場で行う準備をします。

 まず、実際のペットボトル・ロケットを見せながら構造を簡単に説明します。小さくてわかりにくいと思いますが、水を噴出する部分、レバーで切り離される部分などを見てくだい。また、古いペットボトルの場合、空気を入れすぎると、破裂して大変危険なこともつけくわえます。

 次に、時間と安全面のつごうで発射実験は2回とすることを伝えます。そして、手伝ってくれる生徒を男女各3〜4人募集します。募集の前に、手伝う人は水浸しになる可能性があることを伝えてください。

 助手生徒が決まったら、静かに下駄箱へ移動し、運動場に面したピロティーに集合するように指示します。

(8)ペットボトルロケットの発射実験 (15分〜20分)
 
上:発射実験の様子

実験上の注意
・古いペットボトルは破裂の危険があるので使わない
(空気の入れすぎも破裂の危険)
・発射装置はしっかり固定しないと、飛び出す力が大きく損なわれる
(左右から足で踏む)
(写真は裸足ですが、靴下を脱がせて靴を履かせるほうが安全です)
・発射時、水が勢いよく噴き出すので、真後ろに立たない
・発射方向に、体育や他教科の生徒がいないか確認する
・ペットボトルを回収する生徒を配置する
(近距離は失敗時に危険なので、50m以上先にすること)
・発射前、全員でカウントダウンする
(先生が大声で10,9,8,7と数えはじめれば、後半は子どもたちの大合唱となるはず)

(9)本時の感想、考察 (5分)
 運動場から教室に戻った生徒から、自由に書かせるようにします。

===本時の板書===


授業を終えて
 想像以上の勢いで飛び出すロケットに、多くの生徒が驚きます。「危ない!」と声を出して怖がる生徒もいますが、私が注目して欲しいポイントは、ロケットではなく水の勢いです。発射台近くにいる生徒は、ものすごい勢いで噴出する水を目の当たりにします。ロッケトの直撃は危険ですが、水の直撃もかなりの被害になります。

 この季節ならではの印象深く楽しい実験にしたいです。なお、今回の実験はコンクリートの地面で行いましたが、これを土の運動上で行うと、泥水が飛び散り、悲惨なまでに制服が汚れるので注意してください。

note:生徒と先生の会話
 「先生、僕、ペットボトルの大会で優勝したことがあるよ」
 「まじですか。何メートル飛んだの?」
 「忘れた」
 「100mぐらいですか?」

 「それぐらいは飛んだと思う」

関連ページ
ニュートンの運動の法則2004年度

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学

第1章 量と単位   単位には意味がある p.8
 国際単位系(SI単位系) p.8
第3章
ニュートンの運動の3法則
 時間の矢 p.44

第16時 ←
実習13 だるま落とし
(慣性の法則)

→ 第18時
実習15 仕 事

↑ TOP
[→home
(C) 2018 Fukuchi Takahiro