このページは、Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスンです。

第3章 理科の授業

8 仮説実験授業から実習中心の授業へ


1 仮説実験授業は、本格的な実験授業です
 
仮説実験授業は、私が大学生の時に流行しており、何回か講議で取り上げられました。自分でも本を購入し、楽しく勉強したものです。当時、生徒が活動する実験や観察は少なかったので、本格的な自然科学の手順にしたがった仮説実験授業は本当に心踊るものでした。

2 私の授業目的は、自然に感動すること
 しかし、今は仮説を立てることに興味を持っていません。過去の偉大な科学者に匹敵する生徒がそろっているなら可能ですが、現実はムリです。私たちは凡人であり、中学校は研究室ではないのです。偉人の実験を検証し、その意味を理解するだけ精一杯です。精一杯と表現した理由の1つは時間が制約されていることです。しかし、十分な時間が確保されたとしても、私が提唱する検証を中心とする実習授業は、自然に感動することに直結しています。

3 仮説を立てる時間を実習時間に
 一般の中学校は、できる限りの時間を実習に当てるべきです。実習しながら現実にある問題点を探り、工夫しながらゴールを目指すべきです。最終的にゴール(検証)できなくても、十分に実習した生徒はその原因を究明しようとします。自分が本当にやったことだからです。現在の子ども達に必要なことは、体験(小学生)→ 実習(中学生)です。日本の理科教育予算は減少の一途ですが、バーチャルではない本物の自然にどれだけ触れるかで、私たちの国の将来が決まると思います。

4 1秒でも長く本物に触れさせる授業
 頭で思考する前に、まず、本物の自然に触れること。1秒でも長く実習させることが必要な時代に変わってきています。なお、ここで言う自然は生物や岩石だけではありません。物理学実験で使うバネや台車やレンズや音叉など、化学実験で使う試薬(塩酸や食塩などの化学物質)やガスバーナーやガラス器具など、自然を調べるための道具も含みます。本格的な実験道具を自分の手にとり、それを正しく操作することは、本当に心踊る時間です。

参考:本格的な物理・化学実験の手順
 以下に、本格的な物理・化学実験の手順を紹介します。この中でとくに大切なのは実験です。そもそもタイトルを読み直してください。物理・化学実験とあります。つまり、実験です。実験することがメインであり、その前後は前後に過ぎません。さもなければ鶏と卵のように、不毛の議論に陥ります。

A 実験前から実験まで
 1) ある自然事象に興味、関心をもつ
 2) その原因について自分の考え(仮説)を立てる
 3) 仮説を調べたり裏付けたりする方法を考える

B 実験から考察まで
 4) 実験を行う
 5) 必要な実験装置をつくる
 6) 結果から導き出せることを理論的に考える(考察)
 7) 導かれた理論が仮説と正反対でも受け入れる
 8) 説明できない結果があれば、それを調べるための新しい実験を考える

C 新しい実験
 9) 5)〜8)を繰り返す
 10) すべて解明したように感じる場合、新しい視点から未解決の問題を探す

D 上記5)〜10)を永遠に繰り返す

関連ページ
・ 私が授業計画するときの姿勢
・ 検証実習で感動を追体験する
・ 自然科学の手法
科学って何?

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