このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第7章 悩んでいる生徒

8 生徒が話しかけてきた目的

1 生徒の目的を読み取ることが先決です
 生徒が相談を持ちかけてきたら、まず、その目的や真意を見極めることが先決です。それに応じて、対応を変えるためです。このページでは、相談の目的を5つに分類し、それぞれの対応方法をまとめました。

2 相談してきた生徒の目的
(1)ちょっと先生と話がしたい
(2)自分だけ甘い汁を吸いたい
(3)確信が持てないので、ほんの一言、先生から背中を押して欲しい
(4)先生を人間として尊敬し、信頼した上で話を聞いて欲しい
(5)私を助けて欲しい

3 上記2の目的に応じた対応方法

目 的 対応方法
(1)
お話したい
 これは突然の出来事です。廊下をぱたぱたっと走ってきて、「ねえ、先生聞いて、・・・」と、とりとめのない話が始まります。時には、何人かの友達と一緒に登場して、歌って踊って笑って、自分が話したいだけ話したら、勝手に立ち去っていくでしょう。これは相談のレベルではありませんが、先生に聞いてい欲しかったことは間違いありません。「そうか、うんうん」と言って、気楽に聞いてあげましょう。場所はどこになるか分かりませんし、どこでも構いません。アドバイスする必要もありません。
(2)
甘い汁を吸いたい
 典型的な例は、定期テストの直前に「先生、どこが出るか教えて下さい」というものです。もちろん答える必要はありません。この他には、友達と喧嘩した時、自分が有利になるように相談を持ちかけてくることがあります。先生は結論を急ぐことなく、子どもの話を聞いて下さい。「そうか、@@君の方が悪いな」などと言ってはいけません。その@@君を呼んで話を聞くと、まるで正反対のことを話し出すでしょう。くれぐれも御用心を!
(3)
背中を押して

 先生に相談を持ちけているように聞こえても、実際は、子ども本人が結論を出している場合があります。このときは別室に移動し、子どもの話をじっくり聞きます。そして、「先生、どうしたらいい?」と、答えを求めてきたときに、ズバリ答えてあげましょう。正解は、子どもの話をよく聞けば分かります。多くの場合、自分で結論が出ているのですが、最終決断をする勇気がないだけです。いっぱい話を聞いた後に、そっと背中を押してあげて下さい。正解は小さな声で1度だけ言えば十分です。何度も言うのは逆効果です。

 もし、どうしても正解が分からない時は、「ズバリ、分かりません」と答えて下さい。そして、再び生徒の話をひたすら聞きます。聞いても聞いても分からない場合は、一般論を話しても良いですが、先生が話して良い時間は、聞いた時間の10%までです。子どもの話を20分聞いたら、先生は2分だけ話をすることができます。

(4)
信頼してます
 とても重い内容で、先生がアドバイスできないようなレベルです。これについては、別ページ『重くて深い相談をされた時』を用意しましたので、参照して下さい。このレベルの悩み打ち明けるのは、本当に先生自身を人間として信頼しているのですから、その内容の扱いについては十分に配慮してください。
(5)
助けて!

 自分だけでは解決できない問題について、助けを求めている場合です。「先生、私を助けて下さい!」と言われたら、明るく「オッケー、助けてあげるよ。どうして欲しい?」と聞きましょう。「う〜ん、とりあえず大丈夫だから!」と返事がくるでしょう。数日後に「どうだった?」と声を掛ければ、「えっ、何のこと? 忘れていた」と言われのが落ちです。つまり、助けを求めてきた子は、小さな安心や心の支えが欲しかっただけなのです。状況によっては、「や〜だよ。自分で頑張って!」と答えてもオッケーです。

 以上のように「私を助けて!」という相談は簡単ですが、「友達を助けて!」という問題は複雑です。十分に注意しながら相談をすすめ、具体的な解決策を提案し、行動してください。最終的な解決を得るまで、生徒といっしょにがんばってください。別ページ『先生、友達を助けて!』をお読みください。

 また、子どもから相談を持ちかけられなくても、先生からアドバイスした方がよいことがあります。その方法については、別ページ『軽いアドバイスの仕方』を参照して下さい。このアドバイスは、廊下を全速力で走り回る子どもに「止まれ!」という種類のものではありません。

2007年12月31日

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