このページは『Mr. takaによる、若手教師のためのワンポイント・レッスン』です。

第1章 学校とは何か

3 授業ができれば一人前

─すべては授業の中にある─

 学校は、教育活動を行なう特別な場所です。そして、そこで働く先生は、子どもを教育する専門的な知識と技術を持った公人であり、聖職者です。今年から先生になったあなたは、生徒から見ると他のベテラン先生と同じ立場にあります。一人前と見られています。しかし、実際にあなたが持っている技量は乏しく、実践の中で覚えていくことばかりです。

 さて、教員になると雑多な仕事に埋没しそうになりますが、授業研究を怠ってはいけませんん。なぜなら、授業はあなたの生命線だからです。中学・高校の先生が自分の免許状を見れば、専門の教科しか教えられないことが分かります。つまり、あなたしかできないハイレベルな授業が要求されているのであり、誰でもできるような授業ではいけないのです。

 若い先生はたくさん勉強することがありますが、自分の専門の授業研究だけは怠ってはいけません。生徒を取り巻く社会環境に合わせ、しなやかに授業を展開して下さい。さもなければ、あなたは時代に取り残され、学校は荒廃していくでしょう。教員になった喜びを忘れず、新鮮な気持ちをもって毎日の授業に臨んで下さい。あなたの喜びは、生徒の喜びに変わり、生徒が健全に成長する原動力になります。

学校は授業をするための場所です
 極論すれば、授業さえできれば学級経営も生活指導も必要ありません(関連ページ『終了時間を守ろう』)。楽しく充実した授業ができたなら生徒は大満足です。何も問題は起こりません。生徒は先生を尊敬します。学級活動の時間も、授業の延長線上でとらえられます。中学校本来の意味を忘れ、本末転倒しないようにして下さい。学校は、専門の免許を持った教員による授業によって教育活動を行なうところです。

 しかし、生徒を満足させる授業をするのは容易ではありません。たゆまない努力と教材研究、溢れるユーモアのセンスと細かい指導テクニックがなければできません。このように考えると、新卒教師が1年間にわたる授業のなかで、生徒と教師ともに満足できる授業は数えるほどしかないでしょう。

 若い皆さんは、一人前ではないことを自覚して失敗を恐れず、子どもや先輩の声に耳を傾け、全身全霊で授業に挑戦して下さい。そのチャレンジ精神を失わない限り、あなたは前進し続けるでしょうし、他の人よりも早く一人前の教師になれると思います。

 ちなみに、私は一人前の授業ができるようになったかな、と感じるまでに18年ほどかかりました。授業を反省するためには、授業後、数人の生徒に声をかけてみましょう。困った難しそうな顔をしている生徒に聞いて下さい。「今日の授業どうだった?」「ここ、どうだった?」・・・「先生、ここが分かりません」「これはどうなるのですか」このような質問が出れば成功です。生徒は、授業を楽しみにして明日も登校するでしょう。文部科学省が示した基本的内容をクリヤーした上で、ユニークな質問や疑問が生まれていれば大成功です。先生の1つの言葉から10を知ろうとする、学習の楽しさを知った生徒に育ちつつあります。「先生、楽しかったよ」だけで満足してはいけません。

中学校には9つの教科に分かれていますが、それぞれは、よく磨かれた分野なので、理科の先生は『自然』を対象にして、いろいろな質問や疑問が出るような、そして、生徒どうしで答えあえるような授業を展開するように心掛けて下さい。

関連ページ『学力差を活かす授業
関連ページ『おもしろい授業

note
・学校は人類の文化を伝えるだけでなく、新しい文化を創造する場所である。
・学校教育の原点は、授業にある。
・授業の答え、ヒント、疑問は、すべて授業の中にある。
・数10人で作る授業は、自由で多様性にみちている。
・その自由を得るためには、厳格なルールと絶対的な指導者が必要である。
・義務教育の小中学校の相違は、各教科の授業内容の深さである。
・高等学校においては、さらに深く専門的な内容になる。
・各授業は、専門の免許をもった教員でなければ行えない。
・最近の社会問題の多くは、授業をおろそかにすることから発生している。
・もっと教材研究に時間をかけなければならない。
・力強く、時代に呼応した魅力的な授業を展開しているなら問題は起こるはずがない。
・9教科は人類の英知そのものであることを忘れてはいけない。
・あえて、選択させる必要はない。
・あえて、総合させる必要はない。
・専門の9教科に分けて教育を行ってきた歴史を振り返る必要がある。
・宗教も道徳も学級活動も必要ない。
・それらは、すべて9つの専門の分野に内包されている。
・それが、専門の先生たちの創意工夫によって教授されるなら、それ以上の楽しみはない。
・趣味といわれるものの基礎は、全て9教科に含まれるではないか。
・自然を扱うのが理科である。
・9教科に順位をつけることはできない。
・そのどれもが全く異なる位置づけだからである。

2007年10月

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