このページは『世界自然遺産に指定されたばかりの
父島と毋島を巡る13日間の旅
2012 march.20 - april 1 です。

11日目:父島南部のトレッキング

3/ 28
(水)
終日: 父島南部のトレッキング
 ハイライトは高山展望台からの断崖風景
父島ペンション泊

7:00 朝食
 いつものように規則正しく朝食を頂きました。

9:15 バスに乗車
 村営バスで、小港海岸へ行きました。そこからコペペ海岸までトレッキングするためです。小港海岸から中山峠までは5日前にも訪問したのですが、中山峠からの眺めは父島で一押しだったこと、その先のトレッキング道や海岸を訪問していないこと、母島のトレッキングが楽しかったことが再訪の動機です。また、今回は昨夜ペンションで知り合ったえみちゃんと一緒です。最後のシュノーケリングをするための水中マスクと水中カメラも持っていきました。カメラは事前点検したのにも関わらず水没してしまいましたが、カメラの悲劇が気にならないほど充実したトレッキングでした。

9:40 小港海岸のバス停に到着

上:カヌーの体験学習
 子ども達の楽しな笑顔が印象的でした。


上:ホナガソウ(クマツヅラ科、外来種)
 穂が長い草、でホナガソウ。たくさん生えています。

右:小港海岸
 小港海岸から中山峠までに至る道で撮影したもの

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10:10 中山峠
 峠の左右に広がる海の色が大きく違っていて、感激しました。5日前にも訪問したのですが、感動は衰えていませんでした。夏はもっと深い青色(ボニンブルー)になるそうです。

上:中山峠展望台(画像をクリックすると拡大)
 歩いてきた小港海岸は画面右手前、これから行くブタ海岸は左前方、その先にコペペ海岸があります。


上:ブタ海岸
 中山海岸からブタ海岸への坂道で撮影しました。写真の色はぱっとしませんが、海岸近くの海の色がきれいです。また、画面右上にある横長の島は『南島』で、南島が正面に見える位置まで歩きます。


上:タコノキの果実
 穴が空いているように見える部分は、クマネズミが食べた部分です。私はコウモリかと思っていました。この果実は緑色ですが、完全に成熟するとオレンジ色になり、ヒトが食べることもできます。


上:玉砂利が多いように見えるブタ海岸


上:グリーンアノール
 保護色で茶色になっていますが、駆除対象になっている外来生物グリーンアノールです。背中の白線に注目してください。この日は、たくさんのグリーンアノールと出会いました。このページの下に緑色のものの写真があります。

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上:中山峠をつくる溶岩
 マグマの色は安山岩質で、緑がかっているのが特徴的です。海岸の砂は、山をつくる岩石が侵食されたものが流出したものが堆積したものからできていることが多いものですが、実際に緑色の砂の海岸がいくつかあります。父島の小笠原ビジターセンターで「海岸の砂を見せてください」と頼むと、小さなサンプル瓶に入った、いろいろな場所の色々な色の砂を見せてくれます。サンゴの砂や純白の砂や鉱物の砂など微妙な違いが明確にわかり、とてもオシャレですよ。


上:ブタ海岸
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上:ブタ海岸のテーブルにあったブタ
 先客がサンゴのかけらでつくったものでしょう。


上:ブタ海岸の砂浜を歩き、小さな川を超え、トレッキング道へ入るえみちゃん


上:オオハマボオウ
 薄くて裏に毛が生えた葉をしています。
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上:コヤブニッケイ(クスノキ科、固有種)
 光沢のある葉で『お茶の木』ともいい、昔はお茶のように飲まれていたそうです。住宅地にも生えています。


上:オガサワラビロウの葉


上:野生化したネコを捕獲するための装置(画像をクリックすると解説)


上:モクマオウ(双子葉植物綱>マンサク亜綱>モクマオウ目>モクマオウ科)の落葉
 斜面およびトレッキング道をおおっている白いものは、モクマオウの落ち葉です。この落葉は、その他の植物の成育をさまたげます。外来植物モクマオウは、小笠原固有の生物にとって脅威なので、駆除の対象になっています。場所によっては、本当に大量の落ち葉で何もかもが失われたしまっているように見えます。

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左:ヤシの仲間
 赤い幹があるものを見つけて撮影したのですが、どれも同じ種類ということでした。ただし、詳しい種名を聞くのを忘れてしまいました。
右:いい感じのトレッキング道

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上:グリーンアノール
 保護色で茶色になったグリーンアノールは、前に紹介した通りです。背中の白い線は変わりません。

左:南崎を望む
 南崎は黒色の崖の先にあります。この写真撮りたかったのは、撮影地点の崖が大きく崩れていたからです。もう1枚下の写真の方がよくわかりますが、赤色の土は暖かい地方に多い『テラコッタ』に近いものだと思います。


上:南崎を望む


上:同上
 撮影した時間を確認すると、ジョンビーチまで徒歩15分の距離の地点でした。


上:ヒロベソカタマイマイの化石
 化石といっても1000年程度前のものなので、かなり新しいものです。地表にぽろっと転がっていました。

13:10 ジョンビーチ到着

上:ジョンビーチの看板


上:ジョンビーチでシュノーケリングをする私
 向って左手には水中カメラを持っています。タイドプールで水漏れテストを行ったのですが、何故か水没。・・・。エントリーして、シュノーケリングしながら撮影していたのですが、画面がぼやけてきて「おかしいなあ」と思っていたら、水中でぷく、と泡が昇りました。とても小さなすき間が空いていたようです。これでカメラは動かなくなりました。まあ、カメラがあると撮影したくなってしまうから、ないのも悪くありません。なお、この日の波は比較的高かったのですが、写真上の白波部分が約2メートルの崖で、そこに体長数10cmの魚がたくさんいます。入る時に怖さを感じますが、サンゴではなく岩盤なので安全です。是非シュノーケリングしてください。入ってすぐのところが1番良かったです。


上:白い砂とサンゴの砂浜『ジョンビーチ』
 ジョンビーチから徒歩5分のところにある純白の砂の砂浜『ジニービーチ』は、崖崩れで通行止めになっていました。本格的に崩れていたのでダメでした。一目見たい気もしましたが、6日目に沖合いから見学したような気もするので我慢しました。


上:5、6台の漁船に分乗して遊覧する大きな団体の観光客
 彼らは大型クルーズ船で父島に入港し、1日程度で島を観光します。リッチな方々だと思います。
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上:カツオドリ


上:アマリリス
(オレンジの花)

15:10 高山(228m)に向けて出発
 撮影記録を見ると、ジョンビーチに2時間滞在していたようです。昼食を食べ、砂浜を散策し、シュノーケリングして、昼寝して、時間を気にせず豊かな時間を過ごしていました。これから小港海岸へ戻りますが、途中で高山に登ります。どんな風景があるか楽しみです。


上:グリーンアノール
 何度も見かけ、何度も撮影してしまいました。有害生物なので捕獲して、オガサワラセンターに持参すると喜ばれるようです。

 ところで、一緒に歩く仲間は1人増えて3人になっていました。1人旅のシルビア(オーストリア)と自然に合流したからです。彼女の趣味は生物の写真を撮ることで、ペンタックスのボディーと交換レンズ3本を持っていました。私も写真をばしばし撮るので、トカゲを見つけるたびに立ち止まります。1人では気づかない発見で楽しさは増しますが、本気なら全行程3時間のトレッキングが8時間半になりました。もちろん、とても充実した楽しい時間で、もっとゆくりしたかったです。


上:アオノリュウゼツラン
(単子葉植物綱>ユリ目>リュウゼツラン科 )
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上:アオノリュウゼツランの肉厚の葉(内側の葉は、その生長よって外側の葉の形が写る)

 アオノリュウゼツランは個性的です。上の写真左は、高さ6メートルほどの花茎を伸ばして花を咲かせているものですが、花が咲くと完全に枯れてしまいます。根元を良く見ると、花茎を伸ばしたものの葉は枯れています(一稔性植物)。数10年かけて花を咲かせるそうですが、島内のどこかでいつも花が咲いています。また、この花茎はとても甘い樹液を出すので、砂糖を採取するために栽培されていたそうですが、今は野生化したものがたくさん見られます。野鳥はその蜜を吸いにきます(昨日撮影したイソヒヨドリ)。なお、写真左は葉の部分拡大ですが、ここでは最悪の落書き『小笠原なう』を見つけました。このような観光客は強制退去措置にするべきだと思いました。


上:少し高いところか写したジョンビーチ
 アオノリュウゼツランの高い花が特徴的です。

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上:ソウシジュ(マメ科)
 外来植物の1つで、もうすぐ黄色い花を咲かせます。

左:モクマオウの葉、および、花
 外来植物で、駆除の対象になっています。落葉が地表を覆ってしまうことは前に紹介した通りです。


上:高山に登る途中に撮影した風景
 水面の光、雲の影が驚異的に美しい。左側に切れている島は南島、その沖を船が走る。


上:高山をつくる溶岩
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上:テリハハマボウ(アオイ科>フヨウ属、固有種)
 肉厚の葉で、初夏に美しい花を咲かせます。


上:高山の南にある展望台に至る道(展望台まで徒歩2分)からの風景

 シルビアと私が前を見ると、先に歩いていたえみちゃんが満面の笑みで「絶景をご用意しました」といわんばかりに待っていました。本当かな、と思いましたが本当でした。期待を遥かに超える絶景で、何枚も撮影してしまいました。私が撮影していると、今度はシルビアとえみちゃんの「すごーい! すごーい! わー、すごーい!」の凄い連呼が始まりました。私は撮影に勤しんでいましたが、野生動物のような声に導かれ、先へ進みました。


上:コンパクトカメラの自動パノラマ撮影

 それは確かに凄い風景でした。地球が生まれる、生まれたままの地球を感じました。海から出てきた大地、地球の大地って感じです。絶壁が夕日で赤く染めらたことも良かったです。現場でとくに目を引く部分は、ハートロックといわれる部分です。ハートロックは海から見なければハートに見えませんが、ハッキリ申し上げると、海からの風景とは比較になりません。ハート形に見えなくても十分です。ハートロックの上の歩くツアー(要ガイド)もありますが、それは富士山から富士山が見えなのと同じで、断崖の風景は面白くないそうです。ということで、お時間がある方は高山の展望台で、思う存分「すごーい!」と叫んでください。高山山頂ではなくて、高山の南東約2kmにある展望台です。ガイドは必要ありません。往復のバス代400円と時間が必要です。

 その後、ごく自然に記念撮影が始まりました。


上:3人で記念撮影


上:展望台から高山山頂へ至る道で撮影した南島を照らす太陽光


上:野生化したヤギ
 いろいろな植物を食べるので、大問題になっています。
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上:セイロンベンケイ
 葉から芽が生えます。


上:高山山頂直前

17:00 高山山頂
 登頂した時は、すでに暗くなりはじめていました。展望台で絶景を楽しんだ後だったので、山頂をスルーしようとたほどです。カメラを鞄にしまい、下山に専念しました。中山峠を超えた残り480m地点で時計を見ると17:30。えみちゃんが持っていたバスの時刻表によると、小港からのバス出発時刻は17:40、18:30(最終)です。私は先に降りてバスを停める係になりました。3分前に到着したとき、バスはまだ来ていませんでした。彼女達は時間ちょうどに降りてきて、無事にバスに乗りました。本気を出せば何でもできると思いました。私たちだけの貸し切りバスは1人200円でした。

18:30 夕食
 Yさんと一緒に美味しく頂きました。今日は切れ味を楽しむためにスーパードライを準備しました。

写真右:本日の夕食

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20:00 南洋踊り
 中庭で静かな酒盛りをしていると、楽しげな音楽が聞こえてきました。Yさん、Tさんと一緒に散歩すると、ユースホステルの中庭でフラダンスのような踊りをしていました。これは南洋踊りというそうで、東京都の無形民族文化財に指定されているそうです。踊りだけを目的にしていくと・・・ですが、心温まるものがあります。素敵な時間をありがとうございました。


上:南洋踊り


上:南洋踊り

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