このページは『世界自然遺産に指定されたばかりの
父島と毋島を巡る13日間の旅
2012 march.20 - april 1 です。

12日目:また来るよ! 小笠原

3/ 28
(水)
午前: 宿で荷造り、小笠原ビジターセンター 
14:00 おがわわら丸出港→ 東京竹芝へ
おがさわら丸
2等船室

5:30 起床
 食堂でコーヒーを飲みながら日記を書いています。

 今日で父島とお別れです。船の出港は14時ですが、荷物をまとめたり、写真や日記の整理をしたりするつもりです。今回の旅を振り返ると、毎日ビールを飲みました。飲まなければもっと仕事ができましたが、毎日美味しく飲むことも立派な仕事です。普通の生活、食事や飲酒の愉しみがあることを気づけたことも旅の成果の1つです。旅行前に計画していた『旅の展覧会のようなものをすること』は没です。昨年夏に東日本大震災後の地域を訪問した時のような発見やインスピレーションはありませんでした。今回の小笠原は、毎日の生活が旅、というこれまでの感覚の延長線上に位置します。

 6時になると、Yさんが朝釣りからかえって来ました。大きなアタリはなかったようです。手に何も持っていませんからね。それにしても、何時から釣っていたのかなあ。

6:40 食料の調達にでかける
 Yさん、Tさん、えみちゃん、それと私の4人で食料の調達に出かけました。おがさわら丸で食べるものです。船内レストランはあるのですが、それより美味しいものを買いたいからです。島内にはいくつかの美味しい店がありますが、人気店は早朝から行列ができます。狙っていたパン屋さん『たまな』は6時半開店ですが、昨日は7時半過ぎでほとんど売り切れ状態でした。ま、売れ残っていた菓子パン類は美味で、調理パンがあっても選びたくなるほどですが、、、


上:ほどほどの行列ができていた開店15分後の『たまな』

10:00 小笠原ビジターセンターで質問大会
 今回の旅で撮影したもののうち、不明なものをピックアップし、それらを地質、植物、魚類の3つ分けました。そして、小笠原ビジターセンターで教えてもらいました。職員のみなさんは明るく親切で、5人の方々に世話になりました。それぞれ専門分野を持っていらっしゃるので、詳しく教えていただきました。逆に、専門分野がない私は自然科学全般の多角的な質問をするので、みなさんに楽しんで頂けたのではないかと思います。

13:10 船乗り場へ移動
 父島ペンションから乗船場まで歩く途中で、島寿司と魚の酢漬けを買いました。乗り場では、クーポンを乗船券と引き換え、お見送りをする人々の様子を見学させて頂きました。これで2回目ですが、今回の私は完全に送られる側の立場です。

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上4枚:小学校の先生達のお見送りの会の様子
 最後まで明るく、そして、みんなに手を振る校長先生の姿がとても印象的でした。今日は先生方のお別れ会ですが、前の出港では先生を含めた子供達が卒業生を送っていたのではないかと思います。先生方は子どもたちを愛する仕事に徹しているな、と思いました。

 その後、1週間前の出港と同じように、チアガールのダンス、太鼓の始まりました。


上:ダンスが始まりました


上:太鼓が始まると、いよいよ出港間近です

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上:素敵なTシャツでした

14:00 出港
 ほぼ定刻通りに出港です。もっと遅れるのではないか、予想していたのですが、皆さん早く乗船していました。また、ほどんど最後に乗船した私にとって、2等船室の場所取りはそれほど難しいものではありませんでした。ポイントは同じようなことをしようとしている人に声をかけることです。連帯意識ができて安心して行動することができます。明るいキャラクターが大切です。なお、よく観察すると、早く乗船した人達のスペースは、後から乗船した人達より広くなっていました。毛布が置かれている間隔が違うのです。おがさわら丸の乗務員さん達も工夫をしているので、遅く乗船すれば良い、という時代は終了したと言えるでしょう。この記事を読んだみなさんは、良いマナーで乗船してくださいね。


上:豪華客船の隣を通過しました。


上:いよいよ飛び込みの準備です。この船はPAPA'Sの船で、1週間前に私がお見送りをした船です。今回、その同じ船に見送られるのは、まさに感動の二文字でした。船の2階に緑色の水着で立っているのは、インストラクターの渚さんです。1週間前には彼女の隣に立って飛び込んだのですから、やっぱり感動の二文字です。


上:渚ちゃんが飛び込みました。 あー、僕も飛び込みたいよ。


上:続いて、美しいフォームで入水です。


上:生きていました。良かった、良かった。1週間前は「また来いよ!」と楽しげに何度も叫びましたが、今回は心の中で静かにつぶやきました。

 また来たいな、小笠原!
 じゃなくて、
 また来るよ、だね。


上:おがさわら丸を見送るたくさんの船


上:同上


上:オオミズナギドリ(ミズナギドリ目>ミズナギドリ科>オオミズナギドリ属)

===船室での手記===
 お見送りは感動的だったなあ。見送る方は毎週同じなので大変だと思うけれど、渚ちゃんが飛んで、・・・1週間前は彼女の隣で一緒に飛んだかと思うと感傷的になりました。出港直前の偶然の出会い(まあ当然ともいえるわけですが)、そして、別れの握手の感触が残っているうちに出航し、別々の船から何10回、何100回と手を振りました。私は、目立つようにカメラを片手に両手を挙げて何度もジャンプしました。声は届かないから手を振るしかないのですが、切ないさようならです。やがて、彼女は冷たい海に飛び込む準備を始めました。そして、「また来いよ」と叫び、続いて1、2、3と数えてジャンプです。声は聞こえませんが、私は手順を知っていました。だから、また来いよ! の応えは、また来るよ! です。

 私は写真撮影のときファインダーに集中しますが、(今回もファインダーを覗いて撮ったけれど)撮影より別れの気持ちを楽しみました。別れを楽しむ、というのは不思議な感覚だけれど、それは出会いがあったからでしょう。父島で素敵な出会いがあり、忘れ難い時間を過ごせたのだと思います。また会いたい気持ちもありますが、会うことはもうないのかな、とも思います。また会えたら運命かもしれませんね。でも、運命は自分で拓く、拓けるものだから、運命という言葉を撤回し、私は今、おがさわら丸に乗って東京都竹芝桟橋に向っている、という旅に専念したいと思います。

 みなさんお元気で!

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