クロッキー F 美術館

主催者のためのお話
クロッキーを主催するには

1 主催者としての資質
 主催者に必要なことは、一般社会人としての常識を身につけていることです。その上に、会員(メンバー)から信頼が必要です。そして、裸体モデルをお願いすることになりますが、特別なことは何もありません。あえて挙げるなら、「責任感」「公平な態度」「参加者の非常識な言動を厳しく制止できる力」です。

2 会場を予約する
 ある程度のメンバーがそろったら、会場を予約します。確保したら、それを間違いなく連絡します。場所と時間を間違えることは、メンバーに対して大きな迷惑をかけることになるので絶対に許されません。何年も同じ場所と場所で、変更がない場合でも確実に連絡する必要があります。

3 モデルの手配をする
 会場と時間が決まったら、モデルを手配します。専属のモデルがいる場合は、速やかに連絡ができますが、モデル事務所を通す場合は、遅くとも1週間前には連絡して下さい。モデルの都合もありますし、決まってからもメンバーに連絡する時間も必要だからです。

4 メンバーに連絡する
 最近は、e-mailがあるので大変に便利になりました。HPの掲示もできますが、これは絶対に間違えないようにしましょう。信用を失うだけでなく、メンバーに不利益が発生します。また、めったにあることはでありませんが、暴風雨や大きな交通事故が発生した場合の対応も考えておかなければいけません。

5 会場の準備
 次のチェックリストを参考にして準備して下さい。会場に備え付けの備品があるなら、それを利用できるか確認して下さい。
(1)モデル台
(2)毛布
(3)暖房器具
(4)イーゼル
(5)カルトン(適当な大きさの板)
(6)椅子
(7)机
(8)小道具
クロッキーF
(ア)A3のコピー用紙(500枚)
(イ)ホットカーペット
(ウ)電気ポット
(エ)紙コップ
(オ)コーヒー、紅茶、緑茶
(カ)砂糖
(キ)クエン酸
(ク)チョコレート、せんべいなど

6 部屋の温度と湿度の管理
 モデルに合わせましょう。温風が出るタイプの電気ストーブは、肌が乾燥するのでお勧めできません。夏場のクーラーも同じように、冷風が直接当らないように配慮します。また、描き手は肌を露出しないようにします。

7 会場を外から見えないようにする
 カーテンを閉めるのは当然。できれば、出入り口は2重のカーテンになっていることが望ましいです。原則、ポーズ中は会場に入れないようにしましょう。鍵を閉めのも一案です。

8 モデル台(ポーズする場所)を設定する
 モデル台を用意し、その上に毛布を敷きます。私の会場は、雰囲気を出すために黒い布を敷いた上に毛布を乗せます。また、ホットカーペットも用意してあります。モデルに手伝ってもらうことは、原則ありません。

9 モデルと打ち合わせる
 事前に、1ポーズの時間や会の雰囲気をざっと知らせましょう。全体の人数、遅刻者の有無、描き手の性別や年齢や力量、などです。

10 誰にも見られない更衣室を確保する
 着替えた後の服は、鞄に入れてもらったり、一番上に上着を掛けるようにお願いします。参加者の中には、モデルさんの衣服に興味を持つ人もいるので、主催者として最低限度の責任をとるようにして下さい。

11 モデルは動くものとして考える
 20分も同じポーズを続けることは基本的に不可能です。

12 モデルに対して勝手に注文をつけないようにする
 描けない人ほど、モデルへ注文をつけるものです。勝手に指示を出している人がいたら、必ず間に入って意見を聞いて下さい。そして、それが適切なら、主催者としてモデルさんにお願いします。さもないと、描き手どうしのトラブルが発生することがあります。

13 不愉快になる発言や行動の禁止
 クロッキー会場は美しいものを創作する場所です。みんなが気持ち良く製作できるための環境を整えて下さい。とても若い女性モデルを励まそうと思い、年輩の男性が「とても良いプロポーションだね」と声をかけたとしても、十分な面識がなければセクハラになる可能性が非常に高いことを忘れないで下さい。誉めるのは身体ではなく、ポーズそのものです。

14 写真撮影の禁止
 絵画モデルと写真モデルは違います。「制作するための、記録のための1枚」という考えもダメです。どうしても撮影したいなら、本人の了解を得る必要があります。事務所に所属しているモデルなら、事務所を通す必要があります。もし、主催者に無断で撮影交渉している人がいたら、主催者は制止して下さい。

15 休息中の甘いものはモデルにとって嬉しいもの
 モデルにとって、休息中の甘いものは嬉しいものです。集中力を高めるチョコレート類は喜ばれます。ただし、カフェインを含む飲み物は小用に行きたくなるので、押し売りしないように、、、

16 クロッキーが初めのモデルの場合
 事前に、着衣のままポーズをとってもらいます。良ければ、しっかり誉めて下さい。バリエーションがないようなら、具体的に指導します。別ページ『クロッキー・ポーズの基本』『躍動感あるポーズのつくり方』『自然なポーズを輝かせる』『芝居を演じる』『クロッキー・ポーズを研究する』『固定とクロッキー、ポーズの本質的な違い』を参考にして下さい。指導する自信がなければ、ベテランモデルをお願いするようにしましょう。

17 お礼と謝礼
 クロッキーが終ったら、お礼を言うだけでなく、具体的に良かったことを付け加えましょう。モデルさんは、自分の仕事の出来を気にしているものです。そして、謝礼(交通費)をきちんと渡しましょう。モデルさんからの領収書は受け取って下さい。万一忘れている場合は、きちんと請求して下さい。ただし、あなたが必要としないなら請求する必要はありません。

2010年2月19日公開

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