クロッキー F 美術館

第1章 クロッキーの描き方(基礎)
私の群像クロッキーのあゆみ

1 6年7ヵ月の変遷
 私が初めてダブル・ポーズを描いたのは2003年5月7日のことです。それから2010年1月10日までの6年7ヵ月に描いた全18回の変遷を、以下に紹介します。初回は何をどうすれば良いのか分からないまま終りましたが、4回目で、群像クロッキーの楽しみを知りました。

2 未解決の「飛び込み」問題
 10回目までに7回、「飛び込み」によるダブルポーズがありました。それは予期しないハプニングです。私はそこで多くのことを学びましたが、仮説「飛び込みは良い作品づくりにつながる」は検証されていません。この問題はチャンスを逃さないように実験します。

3 男性モデルHiroに集るモデル達
 12回目となる2009年7月19日、京都の路樹絵ろじゅえを拠点にして世界で活躍する男性モデルHiroに出会いました。それ以降、路樹絵で群像クロッキーを描かせて頂くチャンスを得て、とても楽しんでいます。月1回のペースですが、確実に勉強していきたいです。

4 関連ページ
 ・ 複数モデル(群像)のクロッキーの描き方
 ・ 群像クロッキーの楽しみ方


2003年5月7日
fluona
飛び入り女性

 初めて女性ダブルポーズを描くチャンスを得た時、私はその美しさを見るだけで満足してしまいました。視点が定まらず、何を描きたいのか分からないまま描き始めたので、結果としてのクロッキーも何が描かかれたのか分かりません。このダブルポーズが全く予想外の飛び入り女性によるものだとしても、私の経験と技術の低さを露呈しています。

2003年5月16日
SAKI-KO
飛び入り女性

 2回目の2人ポーズは、前回と同じ飛び入りによって起きました。初回は狙いが定まらず苦労しましたが、今回は『無作意の作意』で乗り切りました。当時の私は、クロッキーに『無我の境地』を求めていたのです。

2003年9月5日
mt. fuji
飛び入り女性

 3回目は長いブランク後だったので、クロッキーに対する感性が鈍ってたようです。なお、クロッキー後、モデルと作家の両者から飛び入りを許可した私に対するクレームが来ました。主催者の私からの突然の相談(依頼)に対して、モデルがその場で拒否するのは難しいものだ、と反省しました。

2003年11月13日
グスタフ
わだち

 4回目は初めての男性ダブルポーズです。2人は共にインテリジェンス溢れる方なので、さまざま創造的ポーズをくり出します。この日は、外見や身体に囚われない質の高い表現ができたと思います。飛び入りではない、周到に計画されたダブルポーズであることも大切な要因です。/ このページは、美術モデルにとっても参考になると思います。

2004年8月29日
蒲公英
薔 薇

 5回目は特別な会でした。2人の女性モデルのうち、1人はヌード、1人は着物です。そして、2人は関係しているに見えるけれど実際は何もなく、2時間のうちにクロッキーとデッサンを行う、というものです。/ 私はクロッキーとデッサンが全く別物であること、前者は有機物、後者は無機物になることを再認識しました。そして、私は得体の知れない有機体(クロッキー)が好きなことを再確認しました。

2004年12月18日
NATU
飛び入り女性

 6回目は反省したはずの飛び入りを許してしまいました。相手のモデルさんはその場で了承してくれたのですが、出来上がったクロッキーを見直しても、明らかに私の失敗です。収穫は、私が2人の関係だけでなく、それぞれの思いを描けるまでに成長したことを発見したことです。遠方よりお越し頂いたモデルNATUさん、ご免なさい。

2005年 g 7
ゆっくん
飛び入り女性

 7回目は男性モデルのだけの予定でしたが、女性からの飛び込みが申し込まれました。男性モデルにとっても、私にとって初めて経験だったのチャレンジしました。結果としての作品の出来はみなさんの判断に任せますが、大きな混乱があったことは事実です。原因は『飛び入り』ではなく他にあると思われますが、それは推測なので言及しません。

2005年 h 4
まゆこ
飛び入り女性

 8回目も飛び込みでしたが、今回は条件が違います。当初に依頼していたモデルが勧誘したのです。モデルどうしで事前の打ち合わせがあったのかも知れませんが、私にとってはハプニング(飛び込み)です。さて、この会はダブルポーズを描くというより、モデルの人間性そのものに着目しました。クロッキーはモデルの人間性を描く、という重要な発見ができた貴重な会でした。

2005年 k 3
まいこ
しゃこ

 9回目は事前の打ち合わせがあったので、モデルどうしの関係は良好でした。振り返ってみれば、事前に予定された女性のダブルポーズを描くのは初めのことです。モデル2人の持っている空気感は非常に近く、まるで1人を描いているように感じました。

2009年1月21日
み こ
飛び入り女性

 10回目は3年以上の空白があったので、飛び入りの失敗を繰り返してしまいました。しかし、私は主役となるモデルを明確に決め、飛び入りに左右されないように硬い意志を持って描きました。結果として、デッサンのようなクロッキーになりましたが、「ダブルポーズはソロよりも簡単」という事実を発見することもできました。何故なら、ダブルは描くべきものがたくさんあるので、正確な形がとれるからです。

2009年7月15日
K 子
S 氏

 11回目は男女のダブルポーズです。以下に当日のnoteを抜粋します。『明るく開放的なK子と明晰で的確な決定力を持つS氏は、まるで夫婦のように息が合っていた。二人によるポーズが2回めとは思えない。それは、S氏の十分なポーズの下調べと、K子の自由闊達な性格によるものだろう』

2009年7月19日
咲 生
瞳 子
HIRO

 12回目は女性2人、男性1人によるトリプルポーズで、大変楽しい時間でした。何が何だかよく分からないポーズでしたが、モデルさん達も同じだったと思うので、私はその「ごちゃごちゃ感」を表現しました。なお、各モデルのソロ・ポーズは、とても質が高いので、私の作品も同じようになりました。これは、男性モデルHIROの力によるところが大きい、と思います。彼を中心にして集るモデルはとても質が高く、今後の群像クロッキーの中心になっていきます。

2009年9月6日
キャメロン
Hiro

 13回目は高い実力を持った男女2人のダブルポーズでした。男性は前回と同じHIROです。私はモデル2人のあいだへ入り、3人でクロッキーをしている気分でした。私以外の描き手数10人は観客です。ただし、作品としてのクロッキーは、当日の心の葛藤を上手く表現できていないので「ごちゃ」っとしています。でも、この日のメモは詳細で楽しいと思います。是非ご覧下さい。

2009年9月19日
アキト
ゆ か

 14回目は特記事項なし

2009年10月10日
キャメロン
Masaya

 15回目は、モデルHIROと同じように高い実力を持った男女のダブルポーズでした。各モデルの表現力が高ければ、確実に面白くなることは当然のことです。何度繰り返しても、飽きないモデル達による群像クロッキーは無限の楽しみを産み出します。

2009年11月1日
Masaya

 16回目は前回と同じ男性モデルMasayaと若い女性モデル葵によるダブルポーズ。この会では、正確な形を取ることを心掛けましたが、やはり、単独ポーズよりもダブルポーズの方が、明らかに簡単なことが分かりました。このことは10回目の女性ダブル・クロッキーで発見していたので、再確認です。

2009年12月20日
ヨウコ
Hiro

 17回目は実力派男性モデルHiroと若い女性モデルヨウコによるダブルポーズでした。当日の私は小さくなり、自分がクロッキー会に影響を与えないとどうなるか、モデルに関わらないようにするとどうなるか実験しました。その結果、やはり面白くないということが分かったので、次回は、がっつりいきます。作家とモデルは同じようにやらないとねっ!

2010年1月10日
小 梅
Hiro

 前回は控えめだったので、18回目は気合いを70%ぐらい出しました。前半のソロポーズはかなり上手くいきましたが、後半ダブルポーズは喰いつき足らなかったようです。モデルさん達はどうだったのかな。2人は最高レベルの実力を持った美術モデルです。

2010年1月25日公開

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