このページは中学校2年理科『生物』/takaの授業記録2000です

生物の分類
                    2000年 10月

 動物界を超えて植物界までを系統的に分類することにしました。図1に示した生物の系統樹は、3年生物分野で学習する範囲(教科書:新版中学校理科2分野下、大日本図書、平成12年)からコピーしたものです。


図1 生物の系統樹


授業の流れ

1 導 入
・ 図1のような生物の系統樹を印刷したプリントを配付する
・ 系統樹の意味について簡単に説明する

系統樹について
 植物(1年)と動物(2年)の分類基準は生物の形態ですが、図1の系統樹はDNAの類似にもとづいて分類、樹木のように表したものです。したがって、これを説明するためにはDNAについて理解する必要がありますが、3年生になってもDNAについて詳しく説明することはなく、この系統樹についても生物をさまざまな観点から分類した、という説明にとどめています。ですから、生徒には進化の歴史にもとづいて分類したんだよ、と簡単に説明すれば十分です。必要なら、3年生になってから同じ系統樹を使って、再び学習すれば良いでしょう。

2 生物進化の大きな流れ
 セキツイ動物の分類で学習したように、生物は水中から陸上へと進化してきました。また、原始生命(生物)は水中で誕生したと考えられています。これを表すために、下から上へ、大きな矢印を書かせて下さい(図1の左端)。

3 生物の分類
 図1の系統樹の特徴は、1:原始生物(生命)から細菌類を分けたこと、2:動物界と植物界と同じように早い時期から枝分かれ、進化したものとして菌類を位置づけたことです。しかし、これは中学生にとって難解すぎる可能性が否定できません。もし、本時のように植物と動物のまとめとして扱うなら何とかなりますが、生物学の導入として扱う場合は問題が生じるでしょう。生物の分類方法については、別紙中学生のための分類方法を用意しましたので参考にして下さい。なお、表1は前述のページから抜粋したものです。

表1 taka先生による中学生のための生物の分類
分類名

細胞数
生態系での役割 生物例、備考
動 物

多細胞
消費者 ・脊椎動物(クジラ、カエル)、無脊椎動物(タコ、昆虫)、ミミズ、ウニ、サンゴ
植 物 生産者
光合成を行う
・種子植物(桜、イチョウ)、シダ、コケ
その他

単細胞
(群体も含む)
分解者が多い ・キノコ、乳酸菌
・ゾウリムシ、ミドリムシ
注意1:微生物という語句は使わないで下さい。微生物は小さな生物という意味なので、一部の多細胞生物を含みます。
注意2:菌類、細菌(類)という語句も使わないで下さい。それらに該当する生物が出てきた場合は、具体的な生物の例としてその他に分類して下さい。
注意3:細菌(類)とウィルスの違いについては
生物(生命)とは何か?を御覧下さい。

 また、生物(生命)とは何か?も参考にして下さい。表2は前述のページから抜粋したものです。
表2 taka先生による中学生のための生物の分類
分類名

細胞数
生態系での役割 生物例、備考
動 物

多細胞
消費者 ・脊椎動物(クジラ、カエル)、無脊椎動物(タコ、昆虫)、ミミズ、ウニ、サンゴ
植 物 生産者
光合成を行う
・種子植物(桜、イチョウ)、シダ、コケ

その他の生物
単細胞
(群体も含む)
分解者が多い ・キノコ、乳酸菌
・ゾウリムシ、ミドリムシ

生物と物質の境界線上にあるものの例
生物としての可能性をもつものの例

ウィルス(細胞構造をもたないけれど、くり返し自己複製する)
太 陽(現在エネルギーを放出しているだけなく、爆発してばらばらになった後も新しい恒星としてエネルギーを放出するようになる)
地 球(すべての生命産み出した母体・・・文学的ですね


生物学分野を終えて
 2年生では動物に関することを学習しましたが、全体を見渡してみると体系的に学習カリキュラムが整っていないと感じます。時間配分を調べると、結果として半分近くを人体に関する部分に消費しています。ヒト以外の動物については、興味感心を引き出すレベル、つまり、小学校でも学習可能な範囲にとどまっています。一刻も早く文部科学省が指導力を発揮してカリキュラムの再編を行うか、あるいは、法的な規制を外すことを望みます。

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