このページは中学校2年理科『化学』/takaの授業記録2003です

 実験9 酸化銅の還元
              
                   2004 3 1(月)
                   第1理科室

  前時の『酸化銀の還元』と比較し、本時は『酸化銅』を還元する。

  酸化銀は加熱するだけでピカピカの銀に還元されるが、酸化銅はいくら加熱しても真っ黒の
  まま。しかし不思議なことに、真っ黒な『酸化銅』と真っ黒な『炭』を一緒に加熱すると、
  二酸化炭素とピカピカの銅が生まれる(銅の還元、写真下)。
 

  → 2年理科の授業記録(2000年度)『
実験5酸化銅の還元』も御覧下さい


 <授業の流れ>
 1 前時『酸化銀の還元』との比較

  <説明の例>
  「酸化銀の還元の復習をしましょう。プリントに化学反応式を書いて下さい。」
    AgO→ Ag+ O
    酸化銀  →  銀 + 酸素

  

  「今日は酸化銀のかわりに酸化銅を還元します。しかし、酸化銅は加熱するだけではピカピカ
  になりません。むしろ空気中の酸素と化合して、さらに酸化してしまいます。何時間か前の授
  業(実験4 銅の酸化)で、燃焼皿に銅粉を載せて加熱したことを覚えていますか。とても鮮
  やかに色が変化したものです。(写真下)」


Cu+O→ CuO
銅+ 酸素→ 酸化銅

酸化銅を加熱しても「変化しない」


 2 酸化銅を還元させる方法

  <説明の例>
  「では、どうすれば酸化銅を還元できるか、その方法が教科書にあるの調べて下さい。」
  「よく分かりましたね。A君、何ページに書いてあるか皆さんに紹介して下さい。」
  「これは3年生の実験ですが、やってしまいましょう。方法はとても簡単で、炭と一緒に
  酸化銅を加熱するだけです。これから化学式も書きますが、今日覚える化学反応式はこれ
  だけです。頑張って下さい。と言っても、とても簡単ですが、、、」
    CuO+ C→ Cu+ O
    酸化銅+ 炭素 →  銅+ 二酸化炭素


 3 実験
  <手順>

  1 試験管に酸化銅(適量、2〜5グラム)を入れる
  2 さらに、炭(適量、1〜3グラム)を加える
  3 酸化銅と炭を混ぜる
  4 試験管の口を下にして(水平に対して−1度)、鉄製スタンドにセットする
  5 試験管の口に、ゴム栓・ガラス管セットをはめる
  6 5のセットの先を、石灰水に入れる
  7 ガスバーナーの火力を最大にして熱する
  8 満足したら火をとめる
  9 試験管を割るなどして、還元させれた銅を取り出す


<注意点>
1 試験管の口を下に向ける
 → 炭から出た水蒸気で割れるのを防ぐ
2 火を止める前に、石灰水に入れたガラス管を外す
(写真右のように)アルミホイルの舟に載せて加熱しても良いが、温度が上がり難いので結果は良くない。


  (上右:試験管が溶けて曲がってきた。)

  
  (上:これぐらいガンガンに熱するとピカピカの銅がたくさんできる。二酸化炭素もたくさん発生する。)
   加熱している途中、試験管を回転させるとさらに良い感じに仕上がる。


  (上:紙に包んでから試験管を割り、還元された銅を取り出す。)




 ◎ A君の学習プリント

  ◎ B君の学習プリント
  


 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  B 酸化銅、銅を学習プリントに添付できる

 2 科学的な思考
  A 銅原子、酸素分子をイメージしながら実験することができる
  B 銅の酸化と還元を関連づけて捉えることができる

 3 実験・観察の技能・表現
  B 酸化銅を還元して、銅を取り出せる
  B 酸化銅を還元するときに発生する二酸化炭素を石灰水で確かめられる

 4 自然事象についての知識・理解
  B 炭を使って酸化銅を還元する化学反応式を正しく書くことができる


  授業を終えて
  3年前の実践より、はるかに生徒の理解度が高い。その原因として次の5点が考えられる。
  1 前時に『酸化銀の還元』を学習した
  2 実験『酸化銀の還元』より難しいので、手ごたえがある
  3 還元してできた銅が、ピカピカしている
  4 9時間前の実験『銅の酸化』を覚えている生徒が多い
  5 化学反応式が、比較的簡単
  
  以上のことから、今日のタイミングで『酸化銅の還元』を学習したことはベストに近いと
  判断できる。

  余談
  さて、実は、この実験を行わなかったクラスがある。前時、あまりに五月蝿かったので教
  室にしたのである。真面目な生徒は、五月蝿い生徒に邪魔されることなく机上で学習がで
  きたので喜んでいた。先生は悲しいけれど・・・

  

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