このページは、Mr.Taka による中学校理科の授業記録:物理学 2年(2003年度)です

 実験13 左手の法則
              
                   2003 9 19(金)
                   第1理科室

  細いアルミ箔に電流を流し、磁石を近付けるとアルミ箔が動く。つまらないようで面白い
  実験なので、「すごい」と思わせるように演示しよう。

  いきなり問題を出します。みなさんも解いて下さい。
  <問題>
  下の写真のようにU型磁石を近付けると、アルミ箔が磁石の間に引き寄せられた。さて、
  アルミ箔に流れる電流は左向きですか、それとも、右向きですか。フレミングの左手の法
  則を使って考えて下さい。
 
  → クリックすると解答のページにジャンプします

  <参考>
  授業記録実験10磁界から電流が受ける力(2000年度、中2物理)


 <授業の流れ>
 1 左手の法則

  深く考えてはいけません。とにかく、「でん・じ・りょく」と丸暗記することが大切です。
  理論も何も要りません。痛てててて、と指を直角に曲げて、指に「電流」「磁界」「力」
  と書き込んで下さい。指に色を塗っても構いません。今日は、これだけできれば十分です。
  <説明の例>
  「それでは、お待たせしましたフレミングの左手の法則を紹介します。みなさん、左手を
  出して下さい。えっ、A君、それは右手ですよ。左手を出して下さい。」
  「そうです。そしたら次に、ピストルを作ります。親指を人さし指を直角にしてピストル
  を作って下さい。はい、上手にできましたね。今度は、中指を立てます。直角に立てます。
  ちょっと痛いと思いますが頑張って下さい。今日の授業は、これができればお終いですか
  らね。」
  「では、この指の形をスケッチする前に、指の名前を教えます。中指から順に、でん・じ・
  りょくです。電流・磁界・力です。先生のあとについて5回繰り返して下さい。でん・じ・
  りょく、でん・じ・りょく、でん・じ・りょく、でん・じ・りょく、でん・じ・りょく。」
  「はい、よくできました。さらに、指に電流・磁界・力と書き込んでからスケッチして下
  さい。そうですよ、自分の指に書くのですよ。もうすぐ中間テストがありますが、テスト
  のチャイムが鳴ったら同じように書き込んで下さい。チャイムの前はカンニングになりま
  すが、テストが始まったらすぐに書き込みなさい。では、自分のプリントに左手をスケッ
  チしなさい。その間に、先生が皆さんの指の形を確認するので1人ずつ見せて下さいね。」
  
  (上:A君の学習プリント)

 2 ブランコの実験
  人生に役立つような感じはほとんどありませんが、高校入試によく出題される問題なので
  丁寧に説明しましょう。出題される理由は、正解が単純なのに対して、考え方が分かりに
  くい問題を作りやすいからです。
 
  (上:電気ブランコの実験装置)

  <説明の例>
  「これを見て下さい。これは電気ブランコの実験装置で、高校入試によく出題されるも
  のなのでよく聞いて下さい。答えは二者択一で、ブランコが手前に来るか後ろの行くか
  のどちらかです。ほら、ブランコがぶらんぶらんしているのが分かりますか。」
  「さて、このブランコの仕組みですが、U字磁石があって、その間にブランコがありま
  す。電流を流せば動きますが、電流の+−を逆にするとどうなると思いますか。分かる
  と思いますが、一応質問してみましょう。方向は、変わらないと思う人?」
  「・・・」
  「動かなくなると思う人?」
  「・・・」
  「逆に動くと思う人?」
  「良いですねえ。全員正解です。+−を逆にすると逆に動きます。同様に、磁石のNS
  を逆にしてもブランコは逆に動きます。それは、簡単に予想がつくと思いますが、入試
  では、どちらの方向に動くか、つまり、ブランコが手前か奥かを答えなければなりませ
  ん。これはちょっと難しいです。それを調べる方法として、左手の法則があります。そ
  れでは早速、プリントに印刷してあるブランコに電流や磁界の方向を書き込みながら、
  左手の使い方を勉強しましょう。」
  
  「まず、ブランコの中心に点を打ちます。」
  「そして、この点に流れる電流の方向を書き込みましょう。+から−なので『左向き』で
  す。これで、中指は決まりました。しかし、磁界の方向は調べていないので、左手は中指
  を左に向けたままぐるぐる回ります。」
  「さてBさん、ここであなたに質問です。この点に働く磁界の方向は上向きですか、それ
  とも、下向きですか。」
  「・・・」
  「ヒントは、磁界はNからSに向かって働きます。だから?」
  「そうですね、上向きに働きます。すると、中指と人さし指の方向が決まったので、左手
  は動かなくなりました。親指を出してみましょう。黒板の方に突き出ましたか、それとも、
  自分の方に出ましたか。」
  「分からない人は、黒板を見て下さい。2本の指は、こうですか、それとも、こうですか?」
  「そうですね。こうです。ですから、親指は黒板を突き刺すようになるので、答えは『奥』
  です。」
  <指導のポイント>
  ・ 右手を使っている生徒がいるので注意する
  ・ 中指と人さし指が、変な方向に曲がっている生徒がいるので注意する

  
  (上:C君の学習プリント)

  3 練習問題(クラス全員で)
  立方体を使って問題を作り、クラス全員で左を使う練習をしましょう。
  <説明の例>
  「D君、君の好きな点を1つ選んで下さい。」
  「E君、電流は向きを決めて下さい。」
  「F君、磁界の向きを決めて下さい。」
  「ではG君に、左手の法則を使って力の向きを答えてもらいましょう。」
  
  (上:電流を『下』、磁界を『奥』にしたら、力が立方体から飛び出した。)
  
  (上:これも、力が立方体から飛び出してしまった。)


  (上:H君の学習プリント)

  4 アルミ箔の実験
  演示実験の後、班毎に実験をさせます。
  <準備するもの>
  ・ アルミ箔(幅1cm、長さ20cm)
  ・ 電源装置(直流3アンペア)
  ・ 鉄製スタンド(2)
  ・ 自在挟み(2)
  ・ リード線(2)
  ・ アルニコU字磁石(1)

  (上:回路はショートしているので、電流を3アンペアに設定するところが味噌。)

  ◎ 生徒の発見・感想
  
  

  ◎ C君の学習プリント


 <評価基準>
 1 自然事象への関心・意欲・態度
  B 学習プリントを丁寧かつ正確にまとめることができる

 2 科学的な思考
  B 
電流・磁界・力の関係を3次元空間で捉らえることができる
 3 実験・観察の技能・表現
  B アルミ箔を使って、左手の法則を確かめることができる

 4 自然事象についての知識・理解
  B 電流・磁界・力の関係を、左手の法則を使って説明できる


  授業を終えて
  数があれば電気ブランコの実験も生徒にさせたいが、本時のようにアルミ箔を使った
  実験も意外性があって面白い。とくに、アルミ箔が引き寄せられているとき電源を切
  ると、ふにゃぁーと箔がしおれるので、磁石の力だけで動いているのではないことが
  確認できる。

  <参考>
  授業記録実験10磁界から電流が受ける力(2000年度、中2物理)

← 前 時
実験右手の法則2

次 時 →
これまでの復習

↑ TOP


→home本ページに関するお問い合わせは、taka1997@ons.ne.jpまで
Copyright(c) 2003-2005 Fukuchi Takahiro, All rights reserved.