このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2004年度)です

慣性の法則(斜面上の物体に働く力)
              
                   2004 6 16(水)
                   第1理科室

 前時、斜面上の物体に働く力を作図できなかったクラスがあったので、今日は復習を兼ねて同じ作図練習をすると同時に、慣性の法則をまとめた。なお、等速直線運動は、実験3斜面を滑り落ちる台車(等速直線運動)で学習済み。

(上:A君の学習プリント)

 生徒の持ち物: 三角定規セット
 教師が配付したもの: 物体、矢印、斜面を印刷した学習プリント


◎ 授業の流れ
 「今日は昨日の復習です。変わった形の台の上に8個の玉が置いてあります。これら全てについて、昨日と同じように3つの力を書けたら今日の授業は半分終了。出来た人には合格印をあげます。全員1個を予定していますので、全員合格するようにお願いします。また、力の作用点は本当は物体の中心(重心)にするのですが、混乱するといけないので黒板では物体と斜面の接点から書きます。自信がある人は物体の中心から書けば合格印も2つもらえますが、混乱して分からなくなっても責任は取れません。それでは、さっそく1番の玉から復習しましょう。」
1 水平な台に置かれた物体に働く力

 → 前時の授業記録を御覧下さい

2 斜面上に置かれた物体に働く力
 → 前時の授業記録を御覧下さい

3 自由落下している物体に働く力
<説明の例>
 「8番の玉について調べると、重力の大きさは?・・・2cm。垂直抗力の大きさは?・・・えっ、違いますよ。よく考えて下さい。垂直抗力の垂直は、床や斜面に対して90度・直角という意味。垂直抗力の抗力は、この場合、重力に反抗する力ですよ。・・・となると、・・・そうですね。ゼロです。ですから、重力と垂直抗力の合力は、2cm+0で、2cmとなります。つまり、玉に働く力は重力と同じです。」


4 等速直線運動している物体に働く力

<説明の例>
 「4番の玉について調べましょう。重力はいくらですか?」
 「そうです。2cmです。斜面の上でも、斜面を転がっている時も、下に落ちた後も同じです。では次の質問です。この他に働いている力は何ですか?」
 「正解! よく分かりましたね。垂直抗力です。大きさは分かりますか?」
 「正解です。2cmです。他に力はありますか?・・・もうありません。ということなので、重力と垂直抗力の合力を求めると、つまり・・・そうです。ゼロになりますから、合力の色で、ぐるぐるっと点を書いておきましょう。合力はゼロです。しかし、ここで考えて欲しいのは、玉は上からごろごろ転がってきたので動いていますが、どんな運動ですか? 前の実験で学習しましたよ。」
 「その通り! 等速直線運動です。不思議なことに、力が働いていないのに転がり続けます。摩擦力が働けばだんだん遅くなりますが、つるつるの床なら永遠に等速直線運動を続けます。これを世界で初めて発見した人はニュートンで、慣性の法則と言います。いつまでも動き続けるので馴れ馴れしい性格の法則と言います。では、ここまでまとめましょう。」
物体に外から力が働かない限り、
・ 静止しているものは永久に静止し、
・ 運動しているものは永久に等速直線運動を続ける。

4 物体に働く力を大中小で表わす
<説明の例>
 「今日の時間のまとめとして、物体に働く力を大中小で表わします。まず、1番の玉は?・・・ゼロ。2番は、・・・一応『中』にして下さい。あとから、緩やかな斜面と急な斜面が出てくるので、『中』でお願いします。となると3番は、・・・そうですね。『中』、2番と同じです。4番は?・・・ゼロ、5番は?・・・ゼロ、6番は緩やかな斜面なので・・・『小』、7番は急な斜面なので・・・『大』、そして、最後の8番は・・・マックス!『最大』です。」

5 本時のまとめ、感想




◎ A君の学習プリント



(上:板書案)

<評価基準>
1 自然事象への関心・意欲・態度
 B 3色使って、3つの力を丁寧にまとめられる

2 科学的な思考
 B 静止している物体と等速直線運動している物体に働く力を考察できる

3 実験・観察の技能・表現
 B 三角定規を使って、プラスマイナス1mmの誤差で作図し、合力を求められる

4 自然事象についての知識・理解
 B 慣性の法則を正しく理解できる


授業を終えて
 2時間完了で平行四辺形の作図、および、斜面を滑り落ちる物体に働く力を学習させたが、授業終了直後は落ちこぼれている生徒(合格印をもらわなかった生徒)は皆無に等しい。10日後に迫った期末テストで、同じ作図問題の出題を予告したが、どれだけ家庭学習してくるか楽しみである。

詳しく知りたい先生のために
この授業における重力と垂直抗力は、便宜的に完璧に書かれていない部分があります。前時や別頁『力を矢印で表す1年(2012年度)』ご覧ください。

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物体に働く2つの力(合力)

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復習問題1(速さの単位変換)

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