このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第1時
観察1 サクラの花

     2012 4 18(水)晴 
     普通教室→ 屋外

はじめに
 中学生になって初めての理科の授業です。時間にゆとりがあれば、中学理科の紹介、教師の自己紹介、1年間の授業計画、アンケート調査などをしたいのですが、今年度から完全実施される学習指導要領の内容は客観的にみてオーバーフローです。どこかで無理をしなければ1年で終了できないので、初日から少し授業に入ることにしました。

 今年の指導順序は、生物学物理学地球科学化学です。生物学は植物について調べますが、植物学のカリキュラムは、2005年公開の『植物学入門』をご覧ください。2012年完全実施のものを先取り、網羅しています。ざっくりとした指導順序は、マクロ(花、葉、根)→ミクロ(細胞)→光合成と呼吸(化学変化)→植物分類、にすると良いでしょう。

 したがって、1時間目は花のつくりです。今年は珍しくサクラの花が残っていたので、サクラを観察することにしました。私にとっても初めての試みです。大半のサクラは散ってしまいましたが、いくつかの花は残っています。


上:正門に並んだ3本のサクラ (2012年4月19日撮影)
 この写真の左端のサクラの1枝は白い花がよく見えるが、実際は他のサクラ2本もに生徒の手が届く範囲に数100個の花が残っている。


本時の目標
前 半

(1)中学校の理科について知らせる
(2)中学校1年の理科について知らせる
(3)理科の教材を確認させる
(4)理科の評価基準を知らせる
後 半
 誰もが知っているサクラの花を各自で採取し詳しく調べる※1ことで、中学理科への期待を膨らませる。
※1サクラの花は雌しべ1本、雄しべ5の倍数本、花弁5枚、がく片5枚にわけられ、雌しべの下部にある子房はサクランボになる

授業の流れ
 前半は理科の教材(教科書、理科便覧、問題集、ファイル)と通知表で最高評価をとる方法について、後半はサクラの花の観察をしました。

前半:省略(別ページ『オリエンテーション2002年』などをご覧ください)
後半:サクラの花の観察

(1)教室で、観察ポイントの確認
 一般的な花のつくりを確認しました。「小学校で花のつくりを調べたと思うけれど、花を4つの部分にわけるとしたら、何ですか?」生徒から出た答えは、雌しべ、雄しべ、花びら、がく、子房、花粉などでした。
花の観察ポイント4つ
・雌しべ
・雄しべ
・花びら
・が く


上:あるクラスでの板書
 かなり大きな文字で書きました。

(2)花びら、がく、雄しべ、雌しべの数
 「サクラの花びらは何枚か知っていますか。全員に手を挙げて答えてもらいましょう。正解は3枚、4枚、5枚、6枚のどれかです。 1回だけ手を挙げてください。では、3枚だと思う人・・・3人ですね! 4枚だと思う人・・・6人! 5枚だと思う人・・・たくさんいますね。正解です!! 次に、がくの数を同じように答えてもらいます。がくは、花びらの下にある緑色の小さな部分で、花びらを支えているものです。正解は1枚、2枚、3枚、5枚のどれかです。(花びらと同じように答えさせる) 次に、雄しべは何本でしょう。分かった人は手を挙げて発表してください。・・・A君『たくさんあります』・・・正解ですが、具体的な本数を答えてください。・・・Bさん『20本』・・・惜しい! ・・・C君『21本』・・・それは外れ! ・・・D君『19本』・・・それも外れ! ・・・Eさん『15本』・・・惜しい! ・・・Fさん10本・・・惜しい! さあ、そろそろ規則性がわかりませんか? G君『5の倍数』・・・大正解、答えは5の倍数本です。最後に、雌しべは何本でしょう! ・・・Hさん『1本』・・・みなさんにも聞いてみましょう。1本だと思う人は手を挙げてください。・・・正解です!

(3)サクラの果実はサクランボ
 どこクラスでも『子房』という答えが返ってきたので、サクランボについて簡単に触れることにしました。小学校で学習済みのようです。

 「雌しべの下をよく見ると少し膨らんだ部分があいって、それを子房といいます。子房は成長すると、もっともっと膨らんで果実になりますが、サクラの果実の名前を知っていますか。とても有名で、知らない人はいないと思います。」  「学校のサクラの果実は小さいのでヒヨドリが食べるぐらいですが、農家の人は品種改良されたものをつくっています。高級な果物の1つで、全員食べたことがあるし、嫌いな人はほどんとないフルーツです。」

 「では、これから外に出てサクラの花を1つだけとって観察します。今、授業で押さえたポイントを確認しながらセロハンテープで標本をつくってください。教科書p11を開いて、どのように貼ったら良いか確認しましょう。・・・順序よく貼ってあることがわかりますか。雌しべ、雄しべ、花びら、がく、の順です。これは花の中心から順に並べて貼ったわけですね。それから、花びらをばらばらにして1枚ずつ貼ってあることもわかりますね。みなさんが採取するサクラは、ちょっと触るだけで花びらがパラパラ落ちてしまうと思いますが心配いりません。むしろ教科書のようにばらばらにして、綺麗に5枚並べれた方が良いですからね。」

 「外に持っていくものは、プリント、筆記用具、セロハンテープです。・・・準備はいいですか。それでは、移動中は話をしてはいけません。正門前に到着したら、友達と小さな声で話しも構いません。何か質問がある人? それでは移動してください。」

(4)校庭でサクラの花の採取、調査するための準備
  生徒全員が集まったことを確認してから・・・「前にあるサクラを見てください。ほとんど散っていますが、よく探すと咲いているものがあります。良く咲いているものは、雄しべの先端に黄色い花粉があります。咲き終ったものは雌しべや雄しべがしおれているだけでなく、サクランボのような色に変わっていきます。元気な花を探して、1輪だけ採取してください。数が少ないので、よく選んでから1輪だけです。また、採取するときに、花を引っぱると、採れたときの反動で他の花が散ってしまいます。根元をもって、上手に採取してください。採取する時間は2分、そして、それを観察したりセロハンテープで貼ったり気づいたことを書く時間は8分です。採取に時間をかかると失敗しますよ。質問がある人? ・・・解散!」


上:サクラの花を採取する生徒


上:屋外でまとめる生徒


上:同上


上:サクラの標本づくりを終え、気づいたことを記述する生徒


上:教室に戻り、放課時間を使ってまとめる生徒


上:同上
 貼るだけではなくて、当たり前のことも書くんだよ。自分にとっては当然でも、他から見たら大発見かも知れないからね。それに、テストには当たり前の簡単なことしか出ないから、しっかり自分の手で書くこと!

◎ A君の学習プリント

上:短時間でよくまとめられたプリント
 子房のまわりの蜜(べたべた)、雄しべの数(20本)、黄色い花粉の採取、子房の色を記述している。


授業を終えて
 満開を過ぎたサクラは目に入らなくなってしまいますが、明確な視点をもって調べることで興味深い対象になったのではないか思います。サクラの蜜にサクランボを知らない生徒はたくさんいたので、これからヒヨドリが食べに来る頃にもう一度観察したいです。

関連ページ
ゆとりと遊び心がある授業

中学3年生の授業で、野生?のサクランボを食べに行きました(2007年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の生物学
第1章 生命とは何か 観察の基礎 p.20
第5章 花と植物 花の構造とはたらき p.88

授業の始まりです
Let's enjoy !

→ 第2時
観察2 タンポポの花

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