このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第74時
実習2 地球の内部構造

     2013 1 25(金)、28(月)、29(火)
     理科室

はじめに
 3年で学習する地球の内部構造を簡単に図解してから、マグマを紹介します。地球内部は核・マントル・地殻の3つに分類されますが、実際は曖昧な部分が多いものです。マグマも同じように不明なことが多く、教科書は『岩石がとどろどに溶けたもの』としていますが、それがマントルでできるのか地殻でできるのか触れていません。明確にできないからです。さらに、プレートテクトニクスのプレートと地殻の区別も簡単ではありません。

 私は、生徒の混乱を避けるため明解な図を書きますが、専門家から見れば多くの間違いを含んでいると思います。明らかな誤りは問題外ですが、大切なことは、限界を知りながらも分類しようとする知的活動の楽しさを味わうことです。これは、地学と生物学に共通する究極の目標の1つです。興味ある人は高校、大学、研究所へ進み、より細かく分類したり、新しい視点で分類したりすれば良いと思います。もちろん、分類より大きな目標があります。それは、多様な自然の全てを同じように受け入れる心、個々の自然をありのままに見る目を養うことです。

他年度の実践
観察8 マグマと地球の内部構造 1年(2002年)
プレートテクトニクス(大陸移動説)1年(2002年)


上:地球の地表近くの断面図を書く私
 この写真は、静岡県公立中学校の理科教諭 八木先生に撮影して頂いたものです。遠方よりお越し頂いたので、次時に予定していた 演示実験:硫黄の状態変化をこのクラスで見学して頂きました。


本時の目標
 地球内部を核・マントル・地殻の3つに分けて図示する
 地球全体から見ると、富士山はとても小さいことに気づく
 日本付近のプレートの動きを図解する
 で、マントル・地殻・プレートとマグマを区別する

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書、理科便覧、ファイル
  • 色鉛筆
  • 本日の学習プリント、1/人)

授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)
(2) 地球の断面図に核・マントル・地殻を書く  (10分)
 私が学習プリントに印刷しておいたものは、1つの円(半径3.2cm)とその中心だけです。もっと印刷しておくことは簡単ですが、生徒の空間表現力を高めるために、あえて印刷しませんでした。『立体的な球』としての地球を平面に表す方法を知り、自分で表現できるようになることは重要です。立体表現ができたなら、地球内部を3つの部分『核・マントル・地殻』にわけることは簡単です。


上:A組の板書

(3) 地球の断面図に富士山を書けないことに気づく  (5分)
 地球の断面図に富士山3776m(3.7km)を書かせます。プリントに印刷しておいた地球は半径3.2cm。地球(半径6400km)を1/200000000(2億)に縮尺したものです。同じ割り合いで縮尺すると、富士山は0.02mmになります。これは、1mmに富士山50個を書くことになるので不可能です。なお、1/2億になる計算式は上図『A組の板書』の右にあります。また、10年前に行った同じ内容の実践観察8 マグマと地球の内部構造1年(2002年)も参考にしてください。

(4) 日本付近の拡大図を書く  (20分)
 富士山を表現できないことが分かったら、地表付近を拡大した図を書きます。教科書や理科便覧にある図を参考にして、何も印刷されていない学習プリント右ページに書かせます。最近は、いろいろなところで日本付近のプレートの図を見かけるので、どこかで見かけたものとして書くことができます。


上:B組の板書


上:C組の板書

日本付近の断面図を解説するときのポイント
 ユーラシア大陸(日本) = 地殻、とする
 プレート = 地殻、とする
 → 大平洋プレートは8cm/年の速さで日本へ向って移動している
 → プレートは1枚ではなく、何枚か重なって1枚のように動く
 プレートの下=マントル、とする
 沈み込んだプレートは溶けてマントルになる、とする
 日本付近にマグマができるのは、プレートによる摩擦熱が原因である、とする

 以上は口頭の解説とし、板書は下図のように簡単にする
 (1)地球内部は卵に例えられる
 (2)マントルが溶けるとマグマになる
 (3)実際は、区別し難いものばかり


上:B組のまとめ

(5) 本日の考察と次時のお知らせ (5分)

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上6枚:6人の生徒の学習プリント


授業を終えて
 できればプルームテクトニクスを図解しようと計画していましたが無理でした。プレートテクトニクスは、その名前を紹介しませんでしたが、教えてしまったも同然です。それにしても、マグマをイメージさせるのは難しいので、これからマグマに焦点を当てて授業を進めたいと思います。次の時間は、マグマが火山から噴出してできて火山噴出物を観察・スケッチします。

関連ページ
観察8 マグマと地球の内部構造 1年(2002年)
プレートテクトニクス(大陸移動説)1年(2002年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の地 学
 第章 地 球   地球の内部構造   p.62 
 地殻の割れ目から吹き出すマグマ   p.64、p.65 
 生物が顕われた顕生代   p.60 

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実習1 地球の誕生から現在まで

→ 第75時
観察3 火山噴出物

中学校理科の授業記録1年(2012年度)

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