このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第79時
実習7 運動場の砂から宝石を探そう

     2013 2 12(火)、14(木)、19(火)
     下駄箱→ 理科室

はじめに
 運動場の砂1粒ひとぶつを識別します。見慣れた砂に違いがあり、1粒ずつに名前があることを知り、それらを自分で識別できる力を実感する歓びは格別です。とても楽しい1時間になるでしょう。前時に、下駄箱集合するよう連絡しておきます。

 なお、先生は『学校のどこに適切な砂粒があるか』下調べます。本校の場合、運動場は水けが悪く、泥が目立ちます。直径2mmの砂がある場所は、1年下駄箱付近では北校舎と南校舎の間と木工室裏側でした。また、最近できた花壇から黒雲母を採取させました。花壇の土には、鹿沼土に代表される何種類かの軽石も入っているので、余裕があれば軽石の標本として採取させても良いでしょう。

他年度の実践
観察4 鉱物を探そう 3年(2001年)
観察12 運動場から鉱物を探そう 1年(2002年)


上:花壇の土から黒雲母を採集する生徒達


本時の目標
 運動場の砂は、いろいろ鉱物や岩石の集まりであることを確認する
 運動場の砂から、石英と長石の粒を選別する
 運動場の砂から、チャートや磁鉄鉱の粒を選別する
 花壇の土から黒雲母を採集する 

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書、理科便覧、ファイル
  • 色鉛筆
  • 本日の学習プリント(1/人)
  • シャーレ(1/人)
  • A・Aピンセット(1/人)
  • ろ 紙
  • 色画用紙
  • セロハンテープ
  • バット

授業の流れ
(0) 始業前の準備
 1年生の下駄箱前に集合させます。今回は下駄箱付近で採取しますが、採取場所が離れている場合は、そこで集合させても良いでしょう。時間に余裕があれば、理科室に学習道具を置いてから集合させてください。手ぶらの方が良い仕事ができます。先生は、生徒人数分のシャーレを用意しておきます。理科係に運ばせても良いでしょう。

(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)
 屋外で本時の紹介を行います。。砂を採取してから理科室へ移動し、砂を洗浄、その中から石英や長石などの鉱物を選別し、標本にします。この作業はすべて個人で行います。

(2) 運動場砂の採取  (5分)
 採取するポイントは、採取する場所選びです。おおまかな場所は、先生が下調べしておきますが、毎日少しずつ違います。当日の風、雨による流水などで変わります。一般的に、大きな粒は風の吹きだまりに見られます。


上:名南中学校 運動場の砂を集める様子(観察12 運動場から鉱物を探そう 1年(2002年)から)

 採取する場所を決めたら、しゃがみます。そして、両手の手の平を使って表面をなでるようにして砂を集めます。大きな粒は表層にあるので、下を掘らないようにすることがポイントです。手が汚れることを嫌い、2本の指でつまむようにしている生徒は注意してください。また、粒を選びながら集める必要もありません。そぉーっと表面をなでるようにし、できるだけ広範囲から無作為に集めさせてください。選別は、砂を洗ってから行います。良い砂が採取できなかった場合は、もう一度運動場に出て、採取させれば良いことです。

(3) 黒雲母の採取  (3分)
 萩山中学校の1年生下駄箱付近には最近できたばかりの花壇があります。よい土を使っているので、それに含まれている黒雲母を採取させて頂きました。


上:土を踏まないように丁寧に採取する様子


上:砂粒を採取したシャーレに、黒雲母(中央左)を入れたもの


上:理科室で、ろ紙の上に取り出した黒雲母(金色に光って見える)

note:黒雲母
・黒雲母という鉱物はない(白雲母という鉱物はある)
・黒雲母は、金色に輝く『金雲母』や鉄を含む『鉄雲母』などのグループ名
・雲母は、白雲母や金雲母などの総称
・雲母の特徴や性質などは以下の通り
(1)薄くはがれる
(2)六角形の結晶
(3)黒雲母と白雲母は、火成岩の中によく見られる
(4)ケイ酸を含む鉱物のグループ
(5)きら(きらら、きらきら)ともいい、愛知県三河吉良氏はこれに由来する。

(4) 鉱物の選別・採取・標本づくり  (35分)
 主な手順は以下の通りです。


上:手順を板書したA組の黒板

砂を洗うポイント
 シャーレ全体を動かし、砂粒どうしで擦り洗いする
 
→ 指で擦る場合は軽く
 10回以上、水を変える
 小さくて識別できないものは、水と一緒に流しても良い
 → 小さな磁鉄鉱や珍しいものは流れてしまいますが、、、

砂を識別するポイント
 シャーレに入れる砂の量は、シャーレの底 2/3 に1列
 → 多すぎると見分け難い
 シャーレの下に黒い紙を置く
 シャーレに水を5mm程度入れる
 → 砂は、水中で識別する(重要!
 砂をシャーレの一部に寄せ、識別した鉱物を水中に置くスペースを作る
 長石→石英→チャートの順に、以下のように指導する

長石を選別するポイント
 長石3個以上を、シャーレ内1ケ所に集める
 長石の特徴は『不透明で光沢がない白』『光を感じない白』『ぼそっとした白』『艶がない白』『どうにもならない感じの白』『汚れて黄色くなった白』
  水中で、水中に集めること
 → 水中から引き上げると不透明感が分りにくくなる
 長石だけの粒を集める
 → 石英や黒雲母など他の鉱物と混じっているハイブリッドは避ける
 → 長石を3個集めれば、透明感があるものとの違いが明確になる

石英(水晶)を選別するポイント
 石英3個以上を、シャーレ内1ケ所に集める
 石英の特徴は『透明で透き通っている』『無色透明』『ガラスのよう』
 長石の隣に集め、透明感の違いを明確にする
 → 非常に小さな石英(直径0.3mm)は、まさに無色透明

チャートを選別するポイント
 チャート10個以上を、シャーレ内1ケ所に集める
 チャートの特徴は『不透明だけどガラスのよう』『緑色、黄色、黄緑色、黄土色、茶色、赤色など多様な色』 「緑色の石を集めなさい。それがチャートです」と指導すれば、多くの生徒が「本当だ!」と声をあげる。
 10個以上集めることができたら、それらの質感に着目させる。チャートの質感を感じ、長石や石英との違いがわかるようになったら、白色のチャートを選別させる。多様な色のチャートを集めていくうちに、しだいに質感の違いがわかるようになるだろう。
 黒色のチャートを選別させる


上:A君が選別した鉱物


上:手前がチャート、ピンセットでつまんでいるものが石英、その奥が長石(画像をクリックすると拡大します)

 シャーレの底から磁石を当て、磁鉄鉱を選別する


上:採取できる鉱物のポイントをまとめた板書


上:ろ紙上に置いた鉱物から、石英を黒い画用紙に並べる様子


上:黄緑色の画用紙に並べた鉱物や岩石(上段:石英、中段:長石、下段:チャート)


上:ろ紙の上に集めた鉱物や岩石

.
上:磁石で集めたもの(磁鉄鉱と鉄くずの混合物)


授業を終えて
 1つひとつのテーブル(班)ごとに丁寧に巡視していきましたが、個別に指導しなくても半数近くの生徒が識別できていました。良い目が育ってきているな、と思いました。

関連ページ
観察4 鉱物を探そう 3年(2001年)
観察12 運動場から鉱物を探そう 1年(2002年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の地 学
 第章 地 球   運動場の砂から宝石を探そう  p.82、p.83 

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観察6 いろいろな鉱物

→ 第80時
観察8 浸食される大地、風化する岩石

中学校理科の授業記録1年(2012年度)

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