このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第81時
実験9 水底で生まれる地層、堆積岩

     2013 2 15(金)、18(月)、19(火)
     理科室

はじめに
 礫・砂・泥と水を使う、大掛りな実験を2つ行います。1つは『流水による運搬と水底での堆積』、もう1つは『粒の大きさと沈降速度』を調べる実験です。いずれも大きな演示用実験装置を使い、代表生徒に操作してもらいます。これらのテーマは、水底にできる堆積物の層『地層』です。

 なお、時間に余裕があれば、生徒1人ひとりに実験させることも可能です。実は、事前連絡で大きなペットボトル(1.5リットル)を持参させましたが、時間の都合で省略しました。もっと他に重要で面白い学習内容があるのですから、仕方ありません。持ってきた人、ごめんなさい。それから、この実験を暑い夏に行うなら、屋外が良いでしょう。体操服に着替えさせ、中学生らしく泥や水と戯れるわけです。先生は担当クラス数だけの着替えが必要になるかも知れません。わくわくしますね。中学理科の思い出の1ページができるかも知れません。実践された学校がいらっしゃいましたら、教えてください。小学校の実践例は多数あると思いますが、よろしければ教えてください。

他年度の実践
観察3 地層のでき方 1年(2002年)
地層、そのでき方 3年(2001年)


上:『粒の大きさと沈降速度』を演示実験する代表生徒


本時の目標
 演示実験の結果から、次の3点を理解する
(1)小さな粒は、流水により遠くまで運搬される
  → 遠くに堆積する
(2)小さな粒は、水底への沈降速度が遅い
  → 上に堆積する
(3)事件が起ると、運搬・堆積するものが変わる
  → 地層ができる

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書、理科便覧、ファイル
  • 色鉛筆
  • ペットボトル(1.5リットル以上)
  • 本日の学習プリント(1/人)
  • 土砂の運搬・堆積実験装置(演示実験)
  • 土砂の沈降実験装置(演示実験)
  • バケツ(大きなプラスチック製ゴミ箱)
  • 雑 巾
  • モップ

授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (2分)
 始業前に、『土砂の運搬・堆積実験装置』を教師用実験台に準備しておきます(写真下)。もう1つの『粒の大きさと沈降速度』を調べる実験装置(写真上)は、教室の後ろの準備しておきます。それらを見せながら本時の紹介をすると良いでしょう。大まかな実験内容と結果を説明しておくと、代表生徒を募集しやすくなります。集まり過ぎてと困る場合もありますが、、、


上:『土砂の運搬・堆積実験装置』で、流水による運搬と水底での堆積を調べる生徒

(2) 演示実験1:運搬と水底での堆積  (20分)
 代表生徒に演示実験してもらいます。排水口にスタンバイする生徒もいます。その他の生徒は見える位置に移動させますが、実験装置に近づき過ぎると良くないでしょう。

その1) 流水で、礫の混合物を運搬する
 ゆるやかな勾配をつけた斜面に、先生が礫・の混合物をセットします。水道の蛇口にゴムホースを取りつけ、ほどよく混合物が流れる水量にします。少し流れ始めたとろで、先生は代表生徒と交代します。また、堆積させる容器に、排水係の生徒を待機させます(写真下)。


上:ゴムホースから水を流す生徒

2) 水底に、礫を堆積させる
 礫・を堆積させる容器の深さによって、堆積の様子がかわります。写真下は、水が全くないところからスタートしました。時間があれば、水深20cmのものと比較してください。堆積する様子や場所が変化し、いくつかの発見を楽しめると思います。


上:水底に堆積するを観察する生徒達

 全て堆積したところで、粒の大きさと運搬・堆積の関係について確認します。『粒が小さいほど遠くに運搬・堆積する』、で良いでしょう。簡単なので、口頭で十分です。板書によるまとめは、次の2回目の運搬・堆積実験の後に行います。

3) 2回目の運搬・堆積実験
 1回目と同じ実験を行います。目的は、『地上の事件によって運搬・堆積するもの変わり、その結果として地層ができることを確認すること』です。小石や火山灰など、全く違うものを使えば理想的ですが、今回は同じものを使いました。

 あるクラスでは、水道の蛇口を全開にして、水をあちこちに飛ばしました。混合物も飛び散り、黒板に水しぶきがかかりました。これは私のお遊びですが、生徒への説明は『川の勢いの急変』です。私は、ちょっと暴れるのが好きです。

 写真下は、あるクラスでの連続写真5枚です。運搬力を高めるため、水圧を高くしました。しかし、1回目より水深があるので単純な比較はできません。水中に入った礫はほとんど垂直に落下し、逆に近づいてしまいました。は予定通り勢い良く流され(運搬され)、生徒達は喜んでいました。









上:最終結果

(3) 演示実験1『運搬と水底での堆積』のまとめ  (5分)
 前に集まっていた生徒を席に戻します。そして、実験からわかったことを口頭で発表させます。下3枚は3つのクラスの意見ですが、いずれも『運搬』と『堆積』をキーワードとして取り入れました。そして、『地上の事件→地層』の関係を導きました。


上:A組の意見


上:B組の意見

PM2.5
直径2.5マイクロ・メートル以下大気汚染物質
 
(粒子状物質、Particulate Matter)
・大気汚染の原因となる、比較的大きな粒子状物質はPM10
・固体
・その他の大気汚染物質は、硫黄酸化物(気体)、窒素酸化物(気体)
 光化学オキシダント(PAN ペルオキシアセチルナイトレートなど酸化物)
 炭化水素 + O2 + NO2 + → CH3COOONO2(PAN)


上:C組の意見

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上2枚:生徒2人の学習プリント

(4) 演示実験2:粒の大きさと沈降速度  (15分)
 当初、持参させたペットボトルで1人1実験の予定でした。生徒の1/4が持参しましたが、時間の都合でカット! 以下のような演示実験にました。持ってきた人、ご免なさい。


上:『粒の大きさと沈降速度』を演示実験する代表生徒

の混合物が沈澱する様子
 下の写真10枚は、混合物を何度か沈澱させた後のものです。沈澱させた数は、地層のような模様の数からわかります。下の写真上段6枚は、4回目の沈降実験の様子です。沈降装置の1番下を見てください。白い礫があります。その上に赤い砂緑の泥があります。初めの混合物は『を混ぜたもの』なので、この3色で沈降実験1回になります。したがって、白い礫の層を数えれば4回目になることがわかります。
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上:の混合物の沈降実験4回目


上:左端とその次は5回目、その隣2枚は6回目の沈降実験の様子、右端は拡大写真

(5) 演示実験2『粒の大きさと沈降速度』のまとめ  (5分)
(6) 本時の考察  (4分)


授業を終えて
 後片付けが大変でしたが、楽しい1時間になったと思います。粒の大きさや重さ、運搬と堆積の関係については十分理解できたと思います。

関連ページ
観察3 地層のでき方 1年(2002年)
地層、そのでき方 3年(2001年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の地 学
 第章 地層と堆積岩   水底で生まれる地層   p.90、p.91 

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考察10 1年理科 学年末テスト

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