このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録> 1年(2012年度)です |
第67時
実験19 水の圧力2012 12 19(水)、20(木)
理科室はじめに
水圧は水深に比例します。教科書は水圧の大きさを扱いませんが、水圧の大きさは1cm深くなるごとに1g重ずつ大きくなります。例えば、深さ2cmなら2g重/cm2、深さ15cmなら15g重/cm2です。この単純な事実を教えられない理由は、文部科学省が国際単位系にこだわっているからです。重力単位系を使えば、子どもはごく自然に理解できます。今年度は教えられませんでしたが、興味ある方は1999年度の記録『実験6 水中ではたらく圧力1年』『水圧その21年』をご覧ください。
上:水が出る勢い=水圧は、深さに比例することを確かめる実験
本時の目標
1 水圧は水深に比例することを理解する準 備
生 徒 教 師
- 教科書
- 理科便覧
- 本日の学習プリント (1/人)
- 水圧の実験装置 (演示用)
- 水 槽 (演示用)
- 水圧の実験装置2(演示用)
授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)
みなさんの代表による演示実験を2つ行うこと、その結果を図に書いたり言葉でまとめたりすることを知らせます。数字は一切出てこないので、気楽にやれば良いことも紹介します。(2) 演示実験1:水柱から出る水の勢い (10分)
水圧を調べる実験装置を使って、水が出る勢いは水深に比例することを確かめます。実験装置は10個ありますが(←税金で無料配付されたもの)、私にしては珍しく演示実験にしました。方法と結果が単純過ぎるからです。みんなの前で私の代わりに演示してくれる生徒を募集ました。
上:水圧の実験装置を使って演示する代表生徒操作は簡単で、4つの穴があいた容器に水を入れます。4つの穴をふさいでいたゴム栓を、上から順に抜いていきます。飛び出す水の勢いは水圧を表します。水圧と水深が比例することはわかりませんが、水圧は水の深さを関係していることはわかります。
上:水が出る勢いは水深に比例している(3) 実験結果を図で表し、言葉でまとめる
(2)の実験結果を図示は簡単です。浅い穴から出た水はちょろちょろ、深い穴から出た水はぴゅーっと表現すればよいからです。もちろん、穴の位置と水の飛距離を数値するのは大変ですが、ここでは問題にしません。次に、(2)の結果を言葉でまとめます。さっさとまとめるだけでは面白くないので、生徒から当たり前の発見を発表してもらいました。以下に3クラスの意見を示します。
上:C組の意見
生徒の発見とtaka先生のコメント
1 水は下に落ちる
→ 水と地球の間にある万有引力の発見です
2 音の大きさが違う
→ これは音エネルギーの違いですね
3 水が出ていくと勢いがなくなる
→ 水が出ると、水面から穴までの水がなくなり、(後略)・・・A組の板書参照
4 水深と水の勢いは比例する
→ この実験からは比例かどうか不明ですが、正解です
5 水は穴から出る
→ 水圧に耐える容器、大気圧の発見です
6 水には重さがある
→ この実験は無重力状態の宇宙空間ではできません(4) 水圧は水深だけで決まることを図示する
下図のような複雑な形をした水槽を学習プリントに印刷しておきます。生徒に青色の色鉛筆で水を表現させてから、点A〜点Iの水圧の大きさを考えさせます。
指導手順とポイント
1 点Aと点Iを比較させ、どちらの水圧が大きいか考えさせる
・ 点Iはとても細いガラス管
・ 答えは同じ(点A=点I)
2 点Bと点Eを比較させる
・ 答えは同じ(点B=点E)
3 点B・点Eと点Hを比較させる
・答えは同じ(点B=点E=点H)
4 点Cと点Dを比較させる
5 点A<点B<点C、であることを確認する
6 点Fと点Gの大きさを考える
・答えは、点A<点F<点B<点G<点C
7 したがって、最終的な答えは次のようになる
点A=点I < 点F < 点B=点E=点H < 点G < 点C=点D
上:この水槽から、水圧は深さだけで決まることがわかることを発表する生徒(5) 演示実験2:水圧観察実験装置
下図のような実験装置を使って水圧を確かめます。初めに先生が楽しいパフォーマンスをすれば、たくさんの生徒が立候補してくれるでしょう。
上:水圧観察実験装置を操作する生徒
生徒に演示実験させる上でのポイント
1 実験装置の構造を詳しく説明する
2 1でもっとも重要なポイントは、先生が上図の生徒が手でもっている部分から口にくわえて、息を吹き込んだり、中の空気を吸ったりすること。観察装置のゴム膜がユーモラスに膨らんだりへこんだりする様子をくり返し見せ、雰囲気を盛り上げる。観察装置内部と外気がつながっていることがわかれば、ゴム膜が水中で凹む理由を簡単に説明できる。(6) 本日の考察
下図は生徒2人の学習プリントです。
授業を終えて
このページの冒頭に書いたように、水圧の大きさは1cm深くなるごとに1g重ずつ大きくなる、というシンプルな事実を教えたいです。そして、10m(1000cm)は1000g重(1kg重)=1気圧になることを教えたいです。13才のこどもでも理解できる内容だと思います。関連ページ
・実験6 水中ではたらく圧力 1年(1999年)
・水圧その2 1年(1999年)実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学』
第2章 静かな
力のつりあいペットボトルで調べる水圧 p.34、p.35
実習18 単位面積あたりにはたらく力=圧力 |
実験20 浮力の大きさ(アルキメデスの原理) |