HomeMr.Taka 中学校理科の授業記録1年(2016年度)


観察16 光合成で使われるCO2

     2016 6 10(金)、13(月)、14(火)
     理科室

はじめに
 光合成で出入りする気体は、酸素と二酸化炭素です。本時はそれらのうち、二酸化炭素を確認します。光合成をしてもらうものはタンポポの葉、です。太陽がよく出ている日なら、5分程度で結果を出してくることがあります。

 二酸化炭素が吸収されることを確かめるために、3つの試験管を用意します。これらを比較・対照することで証明するわけです。このような手法を対照実験といいますが、生徒にとって初めてのことになります。本ページは記録写真が少ないので、4年前の『実験2 光合成で使われる気体(二酸化炭素1年(2002年)』を使いながら編集します。

 また、オオカナダモとBTB溶液を使う方法もあります。これも面白い実験ですが、目的・方法・実験準備から結果を出すまでに合計80分程度必要なので、週3時間の授業時間では無理を生じます。この方法に興味ある方は17年前の『実験1光合成 1年(1999年)』をご覧ください。

 なお、光合成では酸素がつくられますが、それを証明することは容易ではありません。中学生は『酸素を集めてから火のついた線香を入れる』という方法をとりますが、線香の炎が燃え上がるほど大量に集めることが難しいからです。


図1:本時の授業後風景(クリックすると拡大します)

 図1の机上をみると、オオカナダモとBTB溶液による対照実験セットが置いてあります。生徒に紹介だけしたのだと思います。


本時の目標
 対照区をつくる対照実験の考え方について、理解する
2 タンポポの葉と石灰水を使って、光合成でCO2が使われることを証明する
 BTB溶液の性質について理解する

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • 試験管  (3/班)
  • 試験管立て(1/班)
  • ストロー (1/班)
  • 石灰水  (20mL/班)
  • タンポポの葉(授業時間内に、生徒に採取させる場合は、よく日光が当たっているタンポポがある場所を確認しておくこと)

授業の流れ
1 本時の授業内容の紹介
(1分)

2 光合成における物質の出入りの確認(3分)
 前時『植物の光合成と呼吸』の復習です。

3 二酸化炭素が使われることを証明するための対照実験(12分〜15分)
 図2のように、3つの対象区をつくります。


図2:光合成で、CO2が使われることを証明するための対照実験A・B・C

 3つの実験区A〜Cのうち、タンポポの葉が光合成をするものは実験区Bだけです。それを証明するために、実験区Aと実験区Cをつくります。AとBを比較すれば、タンポポのはたらきが証明できます。BとCを比較すれば、光のはたらき(光合成)が証明できます。

3 実験結果、手順、考察のまとめ(5分〜10分)
 私の授業は検証実験です。初めに、実験目的・理論(仮説)・ 方法や手順・結果・考察のすべてを行います。その後、実際に実験を行い、それら全てを検証します。


図3:実験結果、考察、実験のポイント

 図3の実験のポイント『二酸化炭素の性質』は、タンポポの実験セットができてからまとめます。これは、教科書にあるオオカナダモとBTB溶液による実験を説明するためのものです。
1)二酸化炭素は水に溶けやすい
2)二酸化炭素が溶けた水を炭酸水(溶液)という
3)炭酸水から出る泡は、二酸化炭素(CO2)
4)炭酸水は酸っぱい
5)炭酸水は、ストローで水に息を吹き込むだけでできる
6)炭酸水に石灰水を入れると、白くにごる
7)炭酸水にBTB溶液を入れると、黄色になる
8)炭酸水から二酸化炭素がなくなると、BTB溶液を入れた水は緑色になる

4 生徒実験(20分〜25分)
 画像記録がないので、 4年前の『実験2 光合成で使われる気体(二酸化炭素1年(2002年)』を再編します。

以下は実験2 光合成で使われる気体(二酸化炭素1年(2002年)の再編です。

手 順
1)タンポポの葉を校庭から採取する
2)試験管A、Bに二酸化炭素を吹き込む


図4:試験管に息(二酸化炭素)を吹き込む様子

3)試験管Aにタンポポの葉を入れる
4)試験管A、Bにセロテープでふたをする
5)それらを直射日光の当たる場所に置く
6)20〜30分そのままにする


図5:試験管A、B

7)試験管A、Bに少量の石灰水を入れる
8)よく振って、二酸化炭素の有無を調べる


図6:左は試験管A、右は試験管B

※対象区Cは行っていませんが簡単で重要です。同時に行ってください。

5 オオカナダモとBTB溶液による実験、について(3分〜10分)
 前述の内容を学習・指導します。BTBの実演をすると盛り上がります。ただし、やりすぎると本時の目的が薄れてしまうので注意してください。

6 本時の感想・考察(5分)


図7:B組の板書(クリックすると拡大します)


図8:C組の板書(クリックすると拡大します)


授業を終えて
 タンポポの葉が取り出せなくなることがあるので、注意してください。無理に取り出そうとして割ってしまう生徒もいます。

 また、植物を長時間直射日光に当てると温度が上がり、元気がなくなります。光合成量も低下します。予備実験を行うことをお勧めしますが、太陽の条件が一番大切です。タンポポは直射日光を好みますが、植物の種類によっては嫌うものもあります。その中間もあります。

関連ページ
実験2 光合成で使われる気体(二酸化炭素1年(2002年)
実験1 光合成 1年(1999年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の生物学
第2章 細胞の構造とはたらき   動物細胞と植物細胞の比較
 核は生物の設計図
 リボソームは有機物を合成する
 核とリボソームがつくる物質
 ブドウ糖をつくる葉緑体(光合成) 
 植物の2つの同化作用
 代謝(異化と同化)のまとめ
 p.24 
 p.25
 p.25
 p.26
 p.32
 p.33
 p.38

 


光合成と呼吸

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植物がつくるデンプン

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