Home > Mr.Taka 中学校理科の授業記録 > 1年(2016年度) |
観察5 火山灰に含まれる鉱物
2017 1 27(木)〜2 1(水)
理科室はじめに
火山灰は、桜島のものを使います。桜島は九州南部、鹿児島県にある活発な火山で、世界的に有名なものです。その火山灰は、袋に入っている時『白っぽい灰』のように見えますが、流水で洗浄すると『黒い砂』のようになります。これを顕微鏡で観ると、前時『観察4いろいろな鉱物』で調べた鉱物の集まりであることがわかります。黒く見える原因は、有色鉱物『角閃石』『輝石』などの割合が大きいからです。なお、本年度は画像記録がないので、4年前の実践『観察6いろいろな鉱物1年(2012年)』の後半部分を再編します。
図1:桜島の火山灰(左は洗浄後:ビーカー内、右は洗浄前:袋入り)
(観察6いろいろな鉱物1年(2012年)から)
本時の目標
1 桜島の火山灰を正しい手順で洗浄する
2 火山灰を顕微鏡観察し、それに含まれている鉱物を調べる
3 石英、長石、角閃石、カンラン石を識別する準 備
生 徒 教 師
- 筆記用具
- 教科書、理科便覧、ファイル
- 本日の学習プリント、1/人)
- 桜島の火山灰
- 大きな石英、長石、黒雲母
- 水晶(六角柱)
- 角閃石
- 輝 石
- カンラン石
- 磁鉄鉱
授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)(2)桜島火山灰の配布、紹介 (5分)
(3)火山灰の洗浄 (5分〜10分)
火山灰を50mLビーカーに入れます。入れる量は1gで十分です。何しろ、顕微鏡で観察するのですから、少なければ少ないほど良いわけです。次に、ビーカーに水を15mL〜20mLほど入れ、ビーカーをくるくる回すようにして火山灰を洗浄します。汚れた水を全て捨て、新しい水を同じように入れて洗浄します。これを10回以上繰り返せば、かなり綺麗な火山灰になります。汚れた水を捨てる時、小さな粒も一緒に流してしまいましょう。大きな粒だけが残るので、より一層観察しやすくなります。
図2:左は洗浄後、右は洗浄前の火山灰図2の量は100人分、です!
(4)顕微鏡観察(30分)
ごく少量の火山灰をスライドガラスにのせます。それを顕微鏡で調べると、驚くほど美しい粒を見つけることができます。粒を識別させるために、石英・長石・角閃石・輝石・カンラン石の鉱物標本を実験台中央に置かせましょう。それらと比較することで、微妙な質感や光沢・結晶の違いがわかるようになります。なお、黒雲母は洗浄によってほとんど失われてしまうので、配布しません。以下は、手順と注意点をまとめたものです。
1 ホールスライドガラスに、洗浄した火山灰をごく少量のせる
図3:ホールスライドガラスに載せた火山灰
2 顕微鏡で観る
3 カバーガラスをかけない
4 最低倍率とする
最低倍率でも大き過ぎる5 光を調節する
反射鏡の使い方がポイント。通常、光学顕微鏡は下からの透過光によって観察するが、不透明な岩石や分厚い岩石は光を通さない。透過光=逆光となり、逆効果となる場合がある。
顕微鏡はできるだけ明るい場所に設置する。そうすると、周辺部からの光できれいに見えやすい。6 顕微鏡やレンズを傷つけない
先生は、高倍率の対物レンズを使用している生徒がいないか常に気をつけること! 写真右の生徒が使用している対物レンズは、4倍ではなく10倍であるが、対物レンズをプレパラートの距離が約7mmなので合焦していることがわかる。つまり、彼は高倍率の対物レンズを使い、右手でプレパラートを動かしながら、いろいろな鉱物を探している=傷つける心配はない。
図4:板書例7 カンラン石の発見を目標とすると良い
カンラン石は、透過光で透きとおった黄緑色に見える。その美しい色を一度見れば、誰でも識別できる。一番初めに発見した生徒を紹介し、その顕微鏡を一目見るように誘導する。「A君がカンラン石を発見しました! A君の顕微鏡を一目見せてもらってください。透き通った美しい黄緑色で、宝石レベルです。A君、協力をお願いします!」
図5:カンラン石の標本(6) 後片付け、考察 (5分)
授業を終えて
前時学習した鉱物標本を置いておきます。その標本と顕微鏡で見える鉱物を比較することで、どれがどれであるか識別できるようになります。肉眼レベルと顕微鏡レベルの観察を一致させるわけです。4年前の実践『観察6いろいろな鉱物1年(2012年)』は十分な時間がとれませんでしたが、今年は時間を2倍使ったので、とても楽しい時間になりました。関連ページ
観察6いろいろな鉱物1年(2012年)
観察11 鉱 物 1年(2002年)
観察3 鉱 物 3年(2001年)実践ビジュアル教科書『中学理科の地 学』
第3章 地 球 マグマで決まる火山3種類 p.74、p.75