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第41時
実験15 炭酸水素ナトリウムの分解2017 9 15(金)
普通教室はじめに
炭酸水素ナトリウムは台所にある食品添加物『ペーキングパウダー(重曹)』の主成分です。これを混ぜた食材が膨らむ理由は簡単です。炭酸水素ナトリウムは加熱すると3つの物質に分解しますが、それらのうち2つは『二酸化炭素』と『水』です。ホットケーキの断面を見ると、無数の穴が空いていますが、それは二酸化炭素と水蒸気という気体が通り抜けたときにできたものです。
今回の実験では『二酸化炭素』『水』の他に、熱分解によってできた『炭酸ナトリウム』という物質についても調べます。『炭酸ナトリウム』と『炭酸水素ナトリウム』は似通った名前で、色は白です。区別する方法は、見た目(さらさら・しっとり)、水溶性(高い・ほどほど)、アルカリ性(やや強い・弱い)です。授業ではこれら3種類の方法で区別しますが、アルカリ性の強弱を示すことができた班は合格印をもらえます。
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上:各班の代表者が、両手に『炭酸水素ナトリウム水溶液』と『加熱後の炭酸水素ナトリウムの水溶液』を持ち、それらのアルカリ性の度合いをフェノールフタレインで調べるために待っている様子
本時の目標
・炭酸水素ナトリウムの加熱したときの化学変化をモデル図で表し、その化学反応式を理解する。
・炭酸水素ナトリウムを加熱し、炭酸ナトリウム・二酸化炭素・水の3つに分解する。
・石灰水で二酸化炭素の発生を確認する
・フェノールフタレインで『炭酸ナトリウム』と『炭酸水素ナトリウム』を区別する。準 備
生 徒 教 師
- ベーキングパウダー
- 教科書
- 理科便覧
- ファイル
- 本日の学習プリント(1 /人)
- 薬包紙 (数枚/班)
- 試験管 (炭酸水素ナトリウム用、1/班)
- 鉄製スタンド
- ガスバーナー
- チャッカマン
- 石灰水 (適量/班)
- 試験管 (石灰水用、1/班)
- 試験管立て(1/班)
- ゴム栓、ガラス管、ゴム管セット(1/班)
- セロハンテープ (1/班)
- フェノールフタレイン(適量 /組)
授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)(2)炭酸水素ナトリウムの熱分解の化学反応式(8分〜12分)
モデル図が複雑なので、下図のようにゆっくり書くようにしてください。炭酸水素ナトリウムのモデルは、化学式NaHCO3の並びに合わせ、ナトリウム・水素・炭素・酸素の順に書いていきます。まず、ナトリウムを書きます。Naと書いて、それを◯で囲めば良いでしょう。次の水素Hは宇宙で一番小さな原子なので、ナトリウムより小さく書きます。色は青が良いでしょう。ナトリウムとの位置関係は、上図よりベターな位置があるのですが、授業ではこだわりを捨てました。その次に、炭素1つと酸素3つを書きます。
ということで、炭酸水素ナトリウムを構成する原子は4種類(ナトリウム・水素・炭素・酸素)、合計数は6個です。
(3)炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水の確認方法 (3分〜5分)
炭酸ナトリウムは冒頭で述べたように、加熱前の『炭酸水素ナトリウム』と3つの視点で比較します。見た目(さらさら・しっとり)、水溶性(高い・ほどほど)、アルカリ性(やや強い・弱い)です。二酸化炭素は石灰水が白濁することで確認します。水は塩化コバルト紙によって確認しますが、本日は時間がないので後日行います。
上:3つの指示薬(塩化コバルト、フェノールフタレイン、石灰水)についてまとめた板書(4) 実験手順の解説(5分〜7分)
事故を防ぐためのポイントは以下の点です。
- 試験管の口を下にする(角度は1度で十分)
- 火力は弱
- 石灰水が白濁したら、先生を呼ぶ
先生は白濁を確認したら、石灰水からガラス管を抜く(5)生徒実験 (30分〜35分)
どんどん準備させてください。全てセットできたら、点火前に先生の確認を受けさせるようにすると確実に安全確保できます。
上:炭酸水素ナトリウムを加熱する様子
写真奥にある石灰水はすでに白濁している先生は白濁を確認したら、その班全員の学習プリントに合格印を押す
(6)フェノールフタレインでアルカリ性の度合いを調べる(3分〜5分)
終業15分前に、次のように通告します。「理科室の時計を見てください。5分後の◯◯分になったら、フェノールフタレインでアルカリ性の度合いを確かめます。成功した班には班員全員に『A』、微妙な場合は『B』、失敗した場合や不参加の場合は『C』を差し上げます。よく聞いて、しっかり準備してください。説明は一度だけです」
「実験前にまとめたように、炭酸水素ナトリウム水溶液は弱アルカリ性、炭酸ナトリウム水溶液はアルカリ性です。班の代表者は両手に2本の試験管、すなわち、炭酸水素ナトリウム水溶液と炭酸ナトリウム水溶液を持って、前に集合・整列してください。一斉に調べます。先生が一気にフェノールフタレインを入れていきます。前者がうすいピンク色、後者が真っ赤になった班はAです」
「水溶液の作り方は試験管2本を用意し、それぞれに炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムを入れます。量は適当でよろしい。気になる人は指1本の半分、同じ量にしてください。それに水を試験管に1/5ほど入れ、よくかき混ぜたら出来上がりです。溶け方の違いも確認してください」
「炭酸水素ナトリウムがない班は、前の実験台にあります」
「炭酸ナトリウムは加熱後の試験管から取り出しますが、とてもサラサラしていることを確認してください。取り出すときに、試験管内に付着した水に溶けてひっつきますが、気にせず、試験管内にあるもの全部を薬包紙に出してください。そして、さらさらのものの一部をセロハンテープで学習プリントに添付し、残ったものを新しい試験管に入れて水溶液にしなさい。もし、すべて試験管内に付着して取り出せないようなら、その試験管に水を加えて水溶液にしなさい」
「水に溶かすときは、親指で押さえて振れば、完璧です。やってはいけないことは、同じ親指で振ることです。2つの水溶液が混ざってしまいますからね(その班はCになるでしょう)。アルカリ性水溶液はぬるぬるするので、そのぬるぬる加減でフェノールフタレインの実験が成功するか失敗するかわかると思います。なお、ぬるぬるはできるだけ早く洗ってください。放置すると皮膚が荒れたり痛くなります」
上:試験管が乾いていないので、途中で・・・
上:各班の代表者が、両手に『炭酸水素ナトリウム水溶液』と『加熱後の炭酸水素ナトリウムの水溶液』を持ち、フェノールフタレインで調べるために待っている様子
上:私がスポイトでフェノールフタレインを1滴ずつ滴下していく様子
上:うまく成功し、自分の班に向けて喜びを表現する生徒たち
上:自分の班に戻って、班員に見せる様子
この班は水を入れすぎ!!(6)本時の感想、考察 (5分)
授業を終えて
フェノールフタレインをクラスの前で確認すると、成功か失敗か一目瞭然になります。時間短縮、実験の片付けのめどもできるので、おすすめです。そうそう、この確認は95%の班が成功します。スナップ写真3枚
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