このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 年(2017年度)です

第42時
実験16 水の電気分解

2017 9 20(火)、21(水)
普通教室

はじめに
 私はH管が大好きです。簡単に操作できる装置ではありませんが、きちんと教えれば良いだけのことです。美しい結果が得られるだけでなく、水以外の水溶液の電気分解もこのH管なら簡単に応用できます。本校は落ち着いた学校ですが、荒れた学校でも同じように安全に楽しい実験をすることができます。

 安全は実験器具によって得るものではなく、自分で確保するものです。その力を獲得させること、育てることが先生の仕事です。


上:酸素の確認作業を行う友だちを見守る生徒たち


本時の目標
・水の電気分解を行い、水素と酸素を確認する
・水の電気分解の化学反応式を理解する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • 水酸化ナトリウムを溶かした水(200mL/班)
  • H管(1 /班)
  • バット(1 /班)
  • 電源装置 (1 /班)
  • リード線(1組/班)
  • 線香(1 /班)
  • マッチ(3本/班)
  • マッチの箱(1 /班)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)水の電気分解の化学反応式 (3分〜5分)
 これまでに化学式のつくりかたを十分に学習できているので、モデル図も合わせて簡単に理解できます。

(3)実験結果を図で表す (5分〜8分)
 まず、H管を紹介します。それに水を入れ、電流を流します。すると、マイナス極に水素、プラス極に酸素が発生しますが、図を描くときのポイントは発生する量です。

 下図をみてください。ここでは水素(分子)10個、酸素(分子)5個を正確に数えながら書かせるように指導していることがわかります。H管上部にたまった気体の量も、水素:酸素=2:1になるように書くように指導します。


上:H管を使った水の電気分解の模式図(A組)


上:H管を使った水の電気分解の模式図(B組)

(4)実験手順 (3分〜5分)
 水は電流を流さないことを確認してから、電流を流すために『水酸化ナトリウム』を溶かすことを教えます。水酸化ナトリウムはこの実験では変化しない物質で、繰り返し利用できます。

水酸化ナトリウム水溶液の扱い
(1)本時の水溶液は比較的高い濃度(100gに10粒程度)ですが、
(2) 薄い濃度でも目に入ると大変危険です。
(3)ゴーグルを着用させてください。
(4)溢れて衣服に付着するとぼろぼろになるので、
(5)H管の下にバットを置いてください。
(6)手についた場合は、流水で10秒以上洗わせてください。
(7)ぬるぬるがなくなれば大丈夫です。
(8)こする必要はなく、水で流すだけで取れます。
(9)大声を出したり慌てたりしないようにさせます。

 実験手順説明中は、時間短縮&先生の言葉や動作に集中させるため、板書してはいけません。以下の手順は、生徒が準備を始めてから板書したものです。


上:実験手順の板書(A組)


上:実験手順の板書(B組)

(5)生徒実験(25分〜30分)
 H管の準備は難しそうに見えますが、水酸化ナトリウムが手についても慌てない十分な知識を与えれば大丈夫です。必ず手につくものですが、アルカリ性による『ぬるぬる感』を体験させれば良いだけの話です。皮膚が敏感な人は赤く腫れる可能性がありますが、そのような生徒は見たことがありません。後から痛くなってくる子どもは十分に洗っていないだけのことです。手は普段から洗わなければいけないことを体感できる、貴重な実験の1つです。


上:バットの上でH管に水酸化ナトリウム水溶液を入れる様子
 (ピンチコックを閉めてから入れる)


上:電圧9V以上。黒(-)に水素赤(+)に酸素がたまってきた様子
 泡の発生量が、水素:酸素=2:に見えることにも着目
 (電流を流すときは、ピンチコックを緩める)
 (コックを緩めておかないと、上のゴム栓が飛ぶ)


上:上のゴム栓を外し、線香で赤(+)の酸素を確かめる様子
(ゴム栓の外す前にコックを閉めないと、集めた酸素や水素がなくなる)


上:別の班の様子
(下の写真はそのアップ)


上:線香の火が酸素によって大きな炎になった様子(ぽん、と音が出る)


上:他の班の子どもが注目している

 酸素が集まった班には、挙手させます。そして、先生の目の前で酸素の確認作業を行わせます。ぽん、と音が出て線香の火が炎になれば合格です。班員全員に合格印を出してください。

 また、一番初めに挙手する班を見つけたら、その班に注目させます。電源は止めさせてください。先生が大型電源装置でコントロールしているなら、それを切断しください。そして、その班の子どもに操作させてください。操作が間違っていたら、全員にわかるように注意します。正しい操作をしている場合でも、何が正しい操作で、どんなことに注意しているのか言葉で解説を加えてください。子どもの集中度が高まり、理解が一気に進みます。

(6)本時の感想、考察 (5分)


上:本時の板書(A組、クリックすると拡大します)


上:本時の板書(B組、クリックすると拡大します)


授業を終えて
 線香による酸素の確認、マッチによる水素の確認、いずれも火を扱う楽しい実験です。できる班は数回繰り返して楽しんでいました。何度も繰り返すうちに、何が危険で何が危険でないのか肌でわかるようになっていきます。先生は慣れによる油断、に注意させてください。水素の確認方法については、別ページゆずります。

関連ページ
実験10 水の電気分解(2年)2000年
実験10 水の電気分解(2年)2003年

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