このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 年(2017年度)です

第87時

実習16 2つの熱量の関係
    付録:有効数字

2018 2 7(水)、9(金)
理科室

はじめに
 熱量(熱エネルギー)には2つの単位があります。カロリーとジュールです。それは本質的に違うものから求められた熱量ですが、熱量という点で統合することができます。それら2つの単位を結びけるための定数は、実験から得られた中途半端な数字(定数)になります。

1cal= 4.2
1J= 0.24cal

 4.20.24のうち、どちらか1つを覚えれば十分です(もう一方は、算数で求められる)。そこで、どこちを覚えるかが問題ですが、私は4.2をおすすめします。4.2のイメージ作りは次の通りです。

 本物の炎は電気より強い、とイメージしてください。

 火は電気よりも4.2倍強い、とイメージしてください。炎や火は原始的で、その単位はカロリーです。カロリーは身近な単位で、火で水を温めたり、食べ物のエネルギー計算に使われます。

 後から出てきた電気の単位は、炎の単位よりも弱いのです。

 火は電気よりも4.2倍強い、はイメージです。また、算数アレルギーの子どものために以下の表を作成してください。かなり楽になると思います。カロリーはシンプルでいいですね! 

熱量(calカロリー 熱量(Jジュール
0.24cal 1J
0.48cal 2J
0.72cal 3J
0.96cal 4J
1cal 4.2J
2cal 8.4J
3cal 12.6J
4cal 16.8J
5cal 21J

 1cal= 4.24.2W秒)

 1カロリーは、水1gを1℃上昇させる熱量(熱エネルギー)です。


図1:本時の学習プリント(クリックすると拡大します)


本時の目標

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)2つの熱量をまとめる (15分〜20分)
 前時『実験15 熱エネルギーの計算』でカロリーの学習をしました。カロリーは原始的な熱量の単位で、日常生活でもよく使われます。13年前の記録『熱量(calとJ)について2年(2003年度)』はわかりやすい話をしていますので、興味ある方はお読みください。


図2:M君の熱量

 図2は、M君が水100%の物体である、と仮定して計算した熱量です。すると、60kg×35℃=60 000g × 35℃=2 100 000cal(2100kcal)になります。その数値は、人の基礎代謝の数値ととても近いので、私はとても不思議に思っています。誰か、その理由をご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。よろしくお願いします。

 カロリーについてまとめたら、次に、ジュールについてまとめます。両者の定義やポイントをまとめたら、連続して、それらの数量関係を表にしてまとめます。下図3をみてください。ポイントは、1ジュール、および、1カロリー、それぞれに対する数値を連続した表に組み込んでいることです。


図3:2つの熱量

(3)練習問題(10分〜15分)
 今日は2年物理『電流』の最終授業でもあるので、これまでの復習をかねた練習問題を行いました。下図4をみてください。第1問は、電圧と電流から、電力と抵抗を求める問題です。


図4:練習問題(A組)


図5:練習問題(B組)

(4)付録:有効数字 (15分〜20分)
 私は、中学理科で有効数字を教える必要はないと思います。中学ではそれよりも先に教えなければいけないことがあるからです。

 有効数字は、自然を計測した時、測定値の正確さ考察するためのものだからです。私は実験授業で、実験誤差ができる理由を考えるようにしています。定性実験よりも定量実験が好きなので、誤差の許容量を指定することもよくあります。ただし、誤差の原因は多様なので、子どもに正確な数的表現(有効数字の桁数など)を求めることはしません。

 例えば、電圧計で電圧を測定した場合、電圧計そのものが誤差を含んでいます。目盛りの1/10まで読むことは、もとより不適切な計測器もあります。理科室にある1本600円程度の温度計の誤差は、初めから±1℃です。家庭用の電圧は100ボルトですが、1×100Vという意味なら、0.5〜1.4×100V(50V〜140V)まで許容されることになります。

 とくに問題なのが、テスト問題における有効数字です。例えば、『3Vの電圧をかけた』という問題文では、全く不明です。『定格電圧3V』だとしても、電源装置の値段によって、精度がかわります。3V、3.0V、3.00V、3.000V、と精度が一桁上がるにつれて、価格も一桁上がります。


図6:有効数字に関する板書メモ(クリックすると拡大します)

 図6右下に、よくある間違いを示しています。15.0Vと3.0Vの有効数字は、違います。前者は3桁、後者は2桁です。3桁でそろえるなら、15.0Vと3.00Vです。2桁でそろえるなら、15Vと3.0Vではなく、1.5×10Vと3.0×10Vです。

 上記内容は、理解できる人にとっては簡単なことですが、不得意な人は蕁麻疹になるような内容です。『2桁でそろえるなら、1.5×10Vと3.0×10V』の意味が理解できない人はご賛同していただけると思いますが、中学理科には他に優先すべき内容がたくさんあります。

(5)本時の感想、考察 (5分)


授業を終えて
 いかに簡単なことのように教えるか、それがポイントです。ポイントは燃えさかる炎です。

関連ページ
熱量(calとJ)について  2年(2003年度)
電力・電力量(熱量)    2年(2000年度)
物理単位

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学

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