このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 年(2017年度)です

第88時

実験17 磁界(磁石がつくる空間) 

2018 2 20(火)
理科室

はじめに
 今日から新しい分野『電流と磁界と力の世界』に入ります。これらは不思議で面白い世界で、子どもから大人まで楽しむことができるものです。ぐるぐる巻いた導線(コイル)に電流を流すと電磁石になり、いろいろなものを引き寄せます。この物理現象を利用した家電製品はたくさん見つけることができます。

 しかし、磁石は相手に触れることなく引きつけたり斥けたりします。この現象のしくみを説明することは、中学生レベルでは不可能です。授業でできることは限られています。両者は区別できないこと(右手の法則・左手の法則)、それらに力を加えると電界や磁界を発生させること(電磁誘導・誘導電流)など、をまとめることしかできません。

 したがって、授業は楽しい実験中心のものにすることができます。先生は理科室を確保し、子どもたちと楽しい時間を過ごしましょう。 授業では現象を整理するだけです。正しく表現・説明する方法を学ぶだけなので、実験器具に触れる時間を十分に確保してあげてください。定量的に扱うこともありません。


図1:本時の学習プリント(クリックすると拡大します)


本時の目標
・磁石にまわりには磁界があることを理解する
・磁界は磁力線によって表現できることを知る
・磁力線はN極から出てS極は入ることを知る
・引力と斥力を磁力線によって正しく表現する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • 棒磁石 (2/班)
  • 鉄 粉 (適量/班)
  • 古 紙 (2/班)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)磁界、磁力線の基本の紹介 (10分〜15分)
 以下は13年前の記録『実験9 磁石のまわりの磁界2年(2003年)』を編集したものです。

1)磁石のまわりには、磁石がつくる世界『磁界』がある
2)磁界は、鉄粉をまくことで観察できる
3)よく見ると、鉄粉は上や斜めにも飛びしている
 → 磁界は3次元空間にひろがっている


図2:棒磁石の上に紙をおき、鉄粉をふりかける

4)磁石にはN極とS極がある
5)異極どうしは引きつけあい、同極どうしは斥けあう

図3:異極どうしによる『引力』



図4:同極どうしによる『斥力』


図5:引力と斥力の磁力線


(3)実験ポイントの説明(5分〜10分)
 以下は13年前の記録『実験9 磁石のまわりの磁界2年(2003年)』を編集したものです。

生徒実験の手順
1)棒磁石2本、鉄粉、紙2枚を準備する
2)引力の磁力線を作り、観察・スケッチする
3)先生から『合格印』をもらう
4)斥力の磁力線を作り、観察・スケッチする
5)先生から『合格印』をもらう
6)棒磁石を1本追加し、オリジナルな実験・観察・スケッチを行う
7)先生から『合格印』をもらう
8)6)、7)の繰り返し
9)さらに棒磁石1本追加し、同様に活動する


図6:すべて同極
→『斥力』だけになる
 


図7:下2本が同極
→下2本は『斥力』


(4)生徒実習(30分〜35分)
 できるだけ時間を確保ましょう!


図8:実験中の様子


図9:同上

美しい磁力線をつくるコツ
1)棒磁石は弱いほど、磁力線が観察しやすい
2)磁力線がうまくできないのは、磁石の距離が不適切だから
 → 磁石を離してやり直す
 → 磁石を近づけてやり直す

3)鉄粉で指が汚れることを厭わない
4)鉄粉は、できるだけ上からまく


図10:鉄粉は、もっと上からまいた方が均一になりやすい

5)磁力線ができる位置を予測して、鉄粉をまく
6)鉄粉をまんべんなく、まく
7)巻き終わったら、机や紙を軽く叩く


図11:紙を軽く叩いて、磁力線を観察しやすくする
  (クリックすると拡大します)

8)磁力線が現れてくるので、適切なところで叩くのをやめる
9)叩き過ぎた場合は、初めからやり直す
10)磁石の距離が不適切だった場合も、 初めからやり直す

実物を観て、注目すべきポイント
 下図12をみて、ワンランク上の発見をまとめてみましょう。


図12:実物の一例

1)棒磁石の上にできた磁力線
2)垂直に伸びるような砂鉄
3)棒磁石の両端から、四方八方に伸びる砂鉄
4)磁力線が上下左右非対象なのは、N極とS極の強さが違うから
5)上下2本の磁石の力と比べると、下の方が強い
 → 理由:斥力4本の中心が『やや上』だから

机間巡視で示すこと
 実験9 磁石のまわりの磁界
2年(2003年)を編集して作成

1)班の仲間で、クイズにして楽しんでも良い
2)下図13の場合、NとSが逆でも正解


図13:同極を交互に配置したもの

3)磁力線のスケッチは、最小限の数で行う
4)図13は4本、図14は7本になる
5)最小限の数の正解者には『ボーナス印』を与えると盛り上がる


図14:棒磁石2本の一例

 図8や図9の説明は、机間巡視しながら班単位で行う。

磁力線の最小限の数の説明方法
1)鉄粉をまいた古紙の上に、太い黒マジックで直接書き込む
2)これで、完璧に理解できるはず!
3)マジックのインクは出にくくなるが、理解させる方が重要
4)マジックの代わりに、色チョークでも良い
5)磁力線を書き込んだ古紙は廃棄、新しい古紙を使わせる

(5)本時の感想、考察 (5分)


授業を終えて
 楽しい時間でした!!

関連ページ
実験9 磁石のまわりの磁界
2年(2003年)
実験7 磁 界
       2年(2000年)
磁力線を立体的に観察する

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学

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