このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第58時
実習5 原子の構造

     2018 10 23(火)、24(水)
     普通教室

はじめに
 前時は、『原子は中心にある原子核とその周りを飛ぶ電子からできていること』、さらに、『電子が飛ぶ軌道は決まっていること』、さらに、『最外殻電子の数を安定させるために電子を出したりもらったりする結果、イオンになること』を学びました。

本時は電子から離れ、原子核の内部の構造について学習します。※本時のタイトル『原子の構造』は、『原子核の構造』とした方が適切だったかも知れない。

 原子核には『+の電気を帯びた陽子』と『電気を持たない中性子』という、2つの粒子があります。陽子数は、原子番号と同じです。例えば、水素は1個、ヘリウムは2個、リチウムは3個、・・・、ウラン92個です。自然界において、陽子の数が最も多い原子核はウランであり、陽子は92個です。したがって、自然界における元素(エレメント)は92種類になります。元素という言葉を突然使いましたが、元素と原子を区別します。自然界における元素は92種類ですが、原子は3000種類ほど存在します。

 なぜ、原子が3000種類になるのでしょう。理由は<中性子の数が違うから>です。陽子の数は同じでも、中性子の数はいろいろあるのです。それらを同位体(アイソトープ)といいます。

 例えば、自然界における水素の同位体は3つです。私たちが『水素』といっているものは陽子1個・中性子0個の軽水素で、自然界における割合は99.99%です。その他、ごくわずかに重水素(陽子1個・中性子1個)と三重水素(陽子1個・中性子2個)のものがあります。実験室では四重水素、五重水素、・・・と無限につくることが可能ですが、それらはすぐに自然崩壊します。いわゆる核分裂を起こします。

 『水素原子は3種類ある』と言い切りましたが、軽水素99.99%という事実を常識的に判断すると、『水素原子は1種類』になります。この常識レベルで考えるなら、元素と原子という言葉を区別する必要はありません。

原子(原子核)の質量(g、グラム)
 原子の質量は、原子核(陽子•中性子)と電子の合計になります。しかし、それらの質量を比較すると、電子は無視できるほど小さいので、原子の質量=原子核の質量、と考えることができます。

 陽子と中性子の質量は、ほぼ同じです。したがって、原子の質量は、陽子と中性子の合計、となります。原子の質量は原子量、といいます。

参考・関連ページ
原子の構造(3年)2011年
原子の大きさ(2年)2003年


図1:ナトリウムの原子番号(陽子)、原子量(陽子+中性子)、電子


本時の目標
・原子番号=陽子の数=電子の数、であることを確認する
・原子核には、陽子と中性子があることを知る
・陽子と中性子の質量(g)は等しいことを知る
・原子量=陽子+中性子、であることを理解する
・同位体(アイソトープ)について理解する
・元素(エレメント)について理解する
・原子(アトム)について理解を深める

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • イオン周期表テスト問題用紙(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)イオン周期表の小テスト(5分〜10分)
 今日は小テスト2回めです。前回は両面で8つの枠を印刷した紙を配布しましたが、今回は片面に4つの枠を印刷した紙を配布し、それを使って小テストを行います。

 小テスト後は、4つの原子団を追加紹介し、次回小テストまでに覚えてくるように指示します。


図2:3つの原子団(−イオン)
 もう1つの原子団(+イオン)は、NH4+(アンモニウムイオン)

本日は16点満点でしたが、次回は原子団4つを加え、20点満点になります。

(3)原子番号は陽子の数で決まる(分〜分)
 イオン周期表の枠を書きます。


図3:原子番号=原子核の陽子の数、を示した板書

 それぞれの枠の中心に、陽子を書いていきます。陽子の数=原子番号、です。陽子は+の電気の粒です。

(4)原子核には陽子と中性子がある (分〜分)
 次に、中性子を書いていきます。その数は決まっていませんが、原子量を調べるとその数がわかります。

中性子の数 = 原子量(陽子+中性子) − 原子番号(陽子)

 図4はナトリウムの場合です。元素周期表を調べると、ナトリウムの原子量は23です。したがって、ナトリウムの中性子の数は、12個(原子量 − 原子番号=23-11=12)になります。


図4:ナトリウムの原子量、原子番号


図5:中性子に関する板書

(5)電子を描く (分〜分)
 電子は書く必要がありません。本日のメインは原子核でした! 


図6:電子軌道を書くための板書

(6)本時の感想、考察 (5分)


図:本時の板書(クリックすると拡大します)


授業を終えて
 同位体(アイソトープ)を教える予定がないなら、2011年度の実践『原子の構造(3年)2011年』の方が優れています。

note
 小テスト後に無理やり『原子団』を教えたクラスがありましたが、最終的に良い結果になりました! 中学生は柔軟性と記憶力が高いので、先生の無理やり授業でも何とかなってしまうし、その方が良い結果になるものです。大人の頭脳とは構造・性能が違うことを忘れてはいけません。吸収力においては、彼らの方が明らかに優れています。

関連ページ
原子の大きさ(2年)2003年

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