Home 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)

第87時
観測12 四季の星座の見え方

     2019 1 9(水)、11(金)
     普通教室

はじめに
 『観測6 星は1日に360度+1度動く』で、星は毎日4分ずつ早くなることを学習しました。1ヶ月で2時間、3ヶ月で6時間、半年で12時間、1年で24時間(元に戻る)という計算もしました。

 本時は、星が見える時間と方位に着目します。調べる星は、前時『観測11 88星座と黄道12星座』で学習した四季の星座4つに絞ります。そして、時間によってかわる星座の方位を表にまとめます。これが完璧に理解できれば、テストでどのような問題が出題されたとしても、機械的に正解することができるでしょう。

 なお、本時の模式図は本年度、初めて作ったものです。中心から『太陽→地球→四季の星座』、視点は『天の北極』です。なお、天の北極からの視点は『観測10 宇宙から見た地球の時間と方位に続き、2回目です。


図1:星座の見え方を解説するA君(クリックすると解説します)


本時の目標

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)太陽・地球・4つの星座の確認(5分〜10分)
 図2を書き、以下の内容を復習・確認します。


図2:中心から太陽、地球(春夏秋冬)、星座(春夏秋冬&黄道12星座)

図2の確認内容
1)天の北極(北極星、地軸の延長線上)から見た図
2)地球の春夏秋冬
3)四季の星座
 春:しし座、夏:さそり座、秋:ペガスス座、冬:オリオン座
4)四季の星座の南中時刻は深夜0:00(24:00)とする

(3)夏に、四季の星座はどのように見えるか(20分〜25分)
 ここから本番です。地球が夏の位置にあるとき、4つの星座がどのように見えるかを一覧表にします。これができれば、地球が他の季節でも、同じように考えることができます。学習プリントには、夏の一覧表と冬の一覧表を印刷しておきます。

 「これから夏の一覧表を書きますが、考え方が理解できれば、冬も同じように答えることができます。夏ができてしまった人は、さっさと冬を書いてください。書き終わった人は、自習とします。ただし、友だちが助けを求めてきたら、教えるようにしてください。わかりやすく教えることができれば、応用問題にも対応できる力がつきます」

 「四季を代表する4つの星座の見え方を考えます。表を見ると、星座は3つしか書けないようになっています。なぜなら、夏の位置にあるとき、見えない星座があるからです。それはどれでしょう。全員に答えてもらいます。4択です。・・・(中略)・・・では、オリオン座が見えない理由を説明してくれる人はいますか? ・・・(中略)A君の説明の通り、太陽と重なるので、眩しくてみえません」


図3:夏の位置にある時の見え方を説明する生徒(B君

  B君は初めに、すべての天体は地球の自転により『東→南→西』へ動くように見えることを確認しました。次に、夕方、3つの星座が見える方向を表に書き込みました。ペガスス座は正反対の位置にあるので『見えない』と書きました。それが図3です。

 夕方に見える方位が決まれば、そこから機械的に 『東→南→西』と書くだけです。西の次は北ですが、一覧表には『(地平線の下になるので)見えない』と書きます。


図4:同上(C君)


図4:同上(別学級のD君)


図5:冬の位置にある時の見え方を説明する生徒(Eさん)

 Eさんは、黒板右に大きな地球を書きました。そして、太陽が当たって見えない位置(半球)と太陽が当たらない位置(半球)を示してから、夕方・深夜・朝における方位を解説しました。


図5:同上(F君)

 F君は初めに、3つの星座が南中する時刻を考えました。しし座は夕方、さそり座は深夜、ペガスス座は朝です。その次に、機械的に方位を入れていきます。図5は、南→『西』と書くところです。


図7:同上(Gさん)

 Gさんは学習プリントを回転させながら、説明しました。この説明方法は、これまでの方法と根本的に違います。地球は動かずに、天体が回転するという天動説によって考えます。

 図7の夏の地球をよく見ると、小さな赤い点があります。真夜中の位置、さそり座が南中している位置です。点の位置を変えずに、さそり座がどのように動くのか、プリントを回転させます。中心は地球、方向は時計回り(天動説なので・・・ここで混乱する生徒がいますが・・・)です。6時間後(の朝)、太陽は東、さそり座は西になります。

(4)冬に、四季の星座はどのように見えるか(10分〜15分)
 (3)で夏が理解できれば、冬は自動的に理解できます。


図8:夏の位置にある時の見え方を説明する生徒(G君)


図9:同上(Hさん)

 Hさんは、教室の天井中央にある火災警報器を指差し、「あれを北極星だと思ってください」と言いました。そして、「教室の中心に太陽があると考えてください。太陽がある方向は眩しくて見れないので、みんなが見ることができるのは、教室の壁です」と続けました。


図10:冬の位置に移動して、説明を続けるHさん

 Hさん教室後ろに移動し、背中を向けて両手を広げました。「私がみることができる星は後ろの黒板です。それから、両手を広げた前半分です。・・・(後略)・・・」


図11:冬の位置にある時の、星座の見え方


図12:南中する時間から説明するI君

(5)本時の感想、考察 (5分)


図13:本時の板書


授業を終えて
 授業後、家庭学習や復習をした生徒は、テストで100点しかとれない力をつけたのではないかと思います。

実践ビジュアル教科書『中学理科の地学

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