このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第21時
実習18 滑車の技能テスト  

     2018 6 1(金)、11(月)
     第2理科室

はじめに
 子どもたちの強い探究心に押され、もう1時間『滑車』を行うことにしました。 『滑車技能テスト』と銘打ち、基本から応用まで、滑車を班で組ませます。

 基本は6つの装置、すなわち、前時『実験17 滑車』で学習した定滑車、動滑車、単滑車2個による2種類の装置、単滑車と2連滑車による装置、2連滑車2個による2種類の装置です(下図@〜E)。これらは糸のかけ方まで黒板に図示します。


上:滑車技能テストで組み立てる装置

 その後、上図Fができたた班から、自由に装置を組みます。組み方は自由ですが、合格印をもらうためには、設計図と装置が一致していなければなりません。また、引き上げる力を正しく求めることができている場合は、合格印が追加されます。値は、実験による測定、あるいは、理論的に計算して求めます。


上:装置Bを完成させ、拍手で喜ぶ子どもたち(合格です!)


本時の目標
・定滑車1個、動滑車1個の装置を組み立てる
・単滑車2個の装置を組み立てる
・単滑車と2連滑車による装置を組み立てる
・2連滑車2個による装置を組み立てる
・いろいろな滑車装置を設計図を書き、その通りに組み立てる
・それぞれの滑車装置で、力が何分の1になるか正しく計算する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • 滑車(3 /班)
  • 2連の滑車(2 /班)
  • 太さ2号のタコ糸(70cm〜2m/班)
  • 鉄製スタンド
  • 1m 定規(1 /班)
  • 合格印

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

 「まるっと1時間、滑車装置を組み立ててもらいます。はじめは前の時間に学習した定滑車・動滑車、そして、同じ前の時間に組み立てた複数の滑車による装置を組み立てます。全てできたら、各班でオリジナルの装置を考え、組み立ててください。設計図と装置が一致していれば、合格印を差し上げます。合格印の数は無制限なので、各班で協力してください。終了は、チャイム10分前とします。

(2)技能テストのルール(2分)
 「学習プリントを見てください。滑車装置が印刷させています。この順序で組み立ててください。適当に組みたてていたらできてしまった、という班には合格印をあげません」

 「物体に『120N』と記入してください。(生徒が記入しはじめたら)本来は、質量『12kg』と書くべきですが、混乱を避けるために120Nとしておきます。また、重さとして重すぎるように思いますが、割り算しやすい数値なので我慢してください。そして、先生に合格印をもらう時は、糸を引く力の大きさが何Nになるか、記入してください。間違っている場合は合格印なし、応用の場合は合格印の数が減ります」

 「学習プリントは、全員分を机のふちに綺麗に並べておいてください。先生は1人で、かなりの数を押すことになるので協力してください。できない班は後回しにします」

(3)装置、設計図の書き方(3分)
 「
(黒板に滑車、糸を書いてから)黒板を見て、学習プリントに、正しく糸を書いてください。間違っている人は、もちろん合格印なしです。これは個人プレーになりますが、わからない人は友だちに教えてもらってください。ただし、書き込んでもらうことはダメです。書き込んだ人も不合格とします。最終的に書くのは、自分です」

「2連滑車を書く時は、滑車どうしをつなぐバーを書き忘れる人の多いので注意してください。(黒板にバー、を書きながら)ここです。書き忘れた人は、合格印を1つ失います。チャンスは1度なので、先生に見せる前にしっかり点検しておいてください」

(4)技能テスト(35分〜40分)
 「テスト始め!」の合図をしても、子どもたちはすぐに始めません。上記(2)と(3)の内容を書き終えていないからです。確実に準備を整えてから始める、という姿勢は、大したものです。ま、日頃から私が一瞬のうちに合格と不合格を峻別し、不備だった場合は容赦なく不合格にすることを学習しているからでしょう(と自賛しておきます)。


上:連滑車を使って、複雑な装置を組む生徒たち

 テストをはじめて15分ぐらい経過したところで、設計図から力の大きさを求める方法を確認します。求め方は前時と同じでですが、日を改めて繰り返すことで、より深く理解できるようになるものです。以下に前時の内容を再掲載しておきます。

設計図から、力の大きさを求める
 「何人で持ち上げているか、を考えます」


 「上図の場合、@とA、2人持ち上げていることになるので、答えは1/2、60Nになります。最後は下向きの力になっていますが、最後は定滑車なので、上図のように順に向きを変えていけば、糸は、滑車から外れます。つなわち、@とAだけ、になります」


 「上図はたくさんの糸がありますが、何本の糸で持ち上げているのでしょう! 3本なら1/3、4本なら1/4になります。1本にかかる力はすべて同じなので、均等割です。さもなければ、一番大きな糸の方向に持ち上がってしまいます」
 「では 、糸の始点から数えていきましょう。フックから順に数えます。
(順に板書しながら)@、A、B、まではいいのですが、最後の4本めはどうですか。数えることができますか、それとも、できませんか? ・・・そうですね。最後は向きが変わっているだけなので、Bで終わりです。先ほどと同じように、最後の糸は外してしまうことができます。したがって、3人で割ることになるので、答えは120N÷3=40Nで、40Nです」


 「上図もフックから順に数えていきましょう。
(順に板書しながら)@、A、B、・・・、で、最後の1本は数えることができますか? できませんか? ・・・これは上向きなので、当然、持ち上げているので、数えなければいけません! (Cと書いて)Cです。したがって、答えは4人で均等割りなので、120N÷4、30Nです」


図5:合格して合格印をもらう生徒、すぐに次の準備をする生徒

(5)本時の感想、考察 (5分)


授業を終えて
 定滑車、動滑車の装置はすぐにできるように思いますが、実際に作ろうとすると、思わぬトラブルにみまわれることがあります。必ず、一番簡単なものから行うようにしてください。

 この技能テストは、私の他にもう1人先生に助けてもらうことがありました。ダブルチームで点検したときは、かなり楽でした。1クラス39人なので、1人で点検する場合は、本当に忙しくなります。

 生徒の感想を読んでいると、滑車を2時間行うことで、理科を学ぶ楽しみや喜びを味わってくれたことがよくわかるので、本当によかったなと思います。

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