このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録> 3年(2018年度)です |
第23時
実験20 位置エネルギー2018 6 12(火)、13(水)
第2理科室はじめに
市販の実験器による位置エネルギー測定は、単純で良い結果が出ます。誤差の処理、グラフの書き方も練習できる楽しい実験です。1時間、ゆっくり取りくませてください。関連ページ
『振り子のもつエネルギー(力学的エネルギー)2004年度』
『国際単位系(SI)』
上:位置エネルギーを調べる実験の様子
本時の目標
・専用の実験器を使い『位置エネルギーと高さ』の関係をグラフにする
・グラフから、位置エネルギーと高さは比例する、ことを確認する
・位置エネルギーと質量は比例する、ことを知る
・位置エネルギー = 質量 × 高さ、を理解する
・1J=1N×1m=1Nm、を理解する準 備
生 徒 教 師
- 教科書
- 理科便覧
- ファイル
- 本日の学習プリント(1 /人)
- エネルギー実験器(1セット /班)
授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)
「今日は楽しい実験を行います。かなり単純な実験で、良い結果が出ます。美しい5本のグラフができるはずなので楽しみにしていてください。目的は学習プリントのタイトルにある『位置エネルギー』です。初めて聞く言葉だと思いますが、意味は簡単です。位置エネルギーは、高いところにある物体が持つエネルギーです。低いところにあるものを高いところに移動させると、位置エネルギーが大きくなります。(実験用鉄球を手に取り、腕を伸ばして真上に上げて)ほら、大きくなった! (生徒が「え、なんのこと?」という顔をしたら、鉄球を床や実験台の上に落下させて、大きな音を出して)ほら、高くなると、大きな位置エネルギーになるでしょ!」(2)実験方法と結果の解説(7分〜10分)
「それではさっそく、実験をしましょう。高さと位置エネルギーの関係を調べます」「A君、実験装置がみんなに見えるように持っていてくれませんか。(A君が持ったら)ありがとうございます。この装置には白いレールがあって、玉を転がせるようになっています。レールは、高さが変えられるようになっています。高さを変える穴が5箇所あります。5cmずつ、5段階に変えられる装置です。・・・とりあえず、高さ10cmにセットしましょう。(レールをセットしながら)こんな感じで、高さ10cmにします」
上:本時の実験装置(ガラス玉を転がし、木片に当てる様子)「鉄球は、これ(木片を見せながら)に当たりますが、これって何かわかりますか? 木できできた物です。・・・木の破片なので、木片といいます。レールを転がった玉は木片に当たり、木片を動かします。動いた距離を測ることで、玉のエネルギー、玉の仕事を測定することができるわけです。ポイントは、木片のスタート位置です。スタート地点にピン(上図)を立てますが、このピンがぐらぐらになっている装置が多いので、毎回、しっかり押さえてください。きちんとセットしないと誤差が大きくなり、使いものにならないデータになります」
「鉄球を転がしてみましょう。(鉄球をレールから転がし、木片に当てる。動いた木片を見て)お、いい感じですね。木片は、ざっと15cm移動したでしょうか。こんな感じで、高さを順に変えれば、移動距離も順に変わっていきますので、それをグラフにしてください」
「ただし、それだけでは単純すぎるので、この装置には鉄球とあわせて5種類の玉が用意してあります。(玉のセットを見せながら)これです。スレンレス製(鉄球)は大中小の3種類、透明なガラス玉(上図)、それに、白いプラスチックの玉があります。当然、木片の移動距離が変わると思いますので、5種類とも測定してください。5種類 × 5段階の高さ、で合計25回測定することになります」
(3)グラフの書き方(3分)
「筆記用具を用意してください。グラフを書くための準備をします」「横軸はみなさんが変化させる変数『玉を落とす高さ』、単位はcmです。(黒板に、玉を落とす高さ(cm)と板書)縦軸は実験によって求めたれた数値『木片の移動距離』、単位はcmです。(黒板に、玉を落とす高さ(cm)と板書)ただし、木片の移動距離は、玉が木片にした仕事を表していますが、これについては最後のまとめます」
「(大半の子どもが書き終えたことを確認してから)ここまで書いたら黒板に注目してください。・・・で、どんな結果になるかというと、比例です。高さ5cmよりも10cmの方がたくさん移動しますが、ちょうど2倍になります。15cmは3倍、20cmは4倍、25cmは5倍になります。(下図のように赤い線を板書して)こんな感じです。できたら、玉の名前も書いておいてください。一番よく移動するのは大きなステンレス玉、次に中ぐらいのスレンレス玉、小さいステンレス玉、ガラス玉、一番移動しない・仕事できないのはプラスチック玉、になります」
上:予想される結果を板書したもの(4)良いデータを出すための説明(3分)
(3)でグラフの説明をしてから、良いデータを出すためのコツを教えます。
理科の先生へのワンポイントアドバイス
(2)の実験手順は概要説明、(4)は良いデータづくりを目的としています。(2)と(4)は同時に行うより、2つに分けることで子どもたちの理解度が高くなり、失敗がなくなります。実験中の質問も激減します。このように2段階で説明する手法は、どの実験にも使えますので、理科の先生は是非実践してみてください。効果抜群、時間短縮にもなります。
良いデータを出すためのコツ
(1)スタートは、定規を使う(下図の左から2枚)
→ → → (2)ピンを毎回、押さえる
(3)木片とピンをピタッ、とさせる
(4)データは、毎回グラフに書く
(5)データが悪い時は、もう一度やる
(6)あるいは、3回やって平均をとる
(7)あるいは、何度かやって考える(5)実験準備(15秒〜2分)
「実験始め!」の指示を出す前に、実験装置や器具の場所を知らせます。「本体は理科室の後ろ(指をさしながら)の席、玉セットと木片とピンとレールを固定する棒は(指でさしながら)ここです」子どもたちが動き始めたら、準備に必要なものを板書します。
上:準備するもの一覧(板書)
理科の先生へのワンポイントアドバイス
先生の話をよく聞いていなっかた子どもは、「先生、◯◯はどこにあるの?」「△△は2つ持っていくのですか?」などと質問しますが、答えてはいけません。万一、説明不足だったとしても、声で追加説明してはいけません。必要なことは『板書』で回答・追加してください。子どもたちの活動を動き始めてすぐに停止させるのは、子どもたちの意欲を削ぐだけです。追加説明しなくても良いように、「これで準備できる?」「先生へ質問しなくても実験開始できますか?」と一声かけて、みんながうなずく顔を3秒ほど使って教室中見わたしながら確認して、「始め!」と命じください。
(6)生徒実験 (25分〜30分)
ここまでの準備がきちんとできれいれば、楽しい実験と美しい結果を楽しむことができます!
上:実験を楽しむ生徒たち
比例するグラフの書き方の解説
これまでに何度もグラフの書き方を解説していますが、今日も説明します。データを見て『比例』していることが予想される場合は、 原点を通る1本の直線にします。データは正確に打ちますが、各データを結ぶ折れ線グラフにしてはいけません。間違っているものどうしを正確に結ぶ、なんてことはやめましょう。
上:比例するグラフの処理方法(7)位置エネルギーに関するまとめ (3分)
さくっと下図のようにまとめてください。
上:位置エネルギーに関するまとめ教科書は『1kg × 1m = 10J』と掲載していたので、私は上図のように追加しました。
(8)本時の感想、考察 (5分)
授業を終えて
美しい結果に、多くの子どもたちが満足していました!関連ページ
『振り子のもつエネルギー(力学的エネルギー)2004年度』
『国際単位系(SI)』実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学』
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