このページは、Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスンです。

第9章 評価は不要物か?

10 授業を反省するための定期テスト

─先生自身が、単元単位で授業を反省する─

1 単元という長い単位で、授業を振り返るチャンス
 あなたは、どのようにして自分の授業を振り返っているでしょう。授業の反省材料はすべて子どもから提供されること、生きた授業では授業中に内容が修正されることは、別ページ『評価って何?』で紹介した通りです。さて、このページでは単元(10〜20時間で1つのかたまりとなる学習内容)を振り返る方法について考えましょう。アンケート調査も悪くありませんが、子どもが単元を振り返って勉強する絶好のチャンス、『定期テスト』を逃す手はありません。

2 根幹をつくる重要語句の定着度
 各単元には、それぞれの中心や柱となる考えがあり、それを理解するために絶対欠かすことができない重要語句があります。先生は、その語句を問う基本的な問題をいくつか作成して下さい。これらの語句は授業で日常的に使われているはずなので、全員正解でなければいけません。もしも低い正解率なら、あなたは自分の授業を猛反省する必要があります。それは、あなたの授業が枝葉末節に陥っていたことを意味するからです。

授業の反省点

(1)授業の初めに、今日の授業内容が『単元のどの位置にあるか』示していたか
(2)授業中、重要語句をくり返すように意識していたか
(3)授業をする以前に、あなた自身が重要語句を幅広く理解しているか
 ・重要語句は、いろいろな視点から説明できる語句です。
 ・1つの単語から、多様な授業が展開できはずです。
(4)10〜20時間の単元の中で、重要語句の理解が深まっていったか
 ・重要語句は、深遠なる意味を含んでいます。
 重要語句は、授業中に何度もくり返されるので、生徒は家で復習しなくても覚えてしまうものです。 

3 定期テストの平均点をコントロールできているか
 まず、平均点55〜65点になるように問題を作成します(関連ページ『定期テストの作り方』)。そしてテスト後に、予想点と平均点を比較してみましょう。その差が1〜2点なら、あなたは生徒をよくみて授業を展開し、問題を作成できたと言えます。逆に、予想と5点以上違うなら、それは問題が難しかったと言うよりも、先生が生徒をみていなかったと言うべきです。先生自身がよく反省し、毎日の授業を改善して下さい。そして、生徒の実態をよく把握した上で、次のテストを作成して下さい。

4 単元後の意識調査
 私は、定期テストの最後に「意識を調査する問題」を用意しておきます。これは『関心・意欲・態度』を調べる問題として、まじめに書いてあれば正解(2点)とします。私は、この問題はとても有意義だと思うのですが、ほとんどの先生から反対意見を頂いています。話し合いの結果、問題にできないでも、無得点のもの(アンケート以下のレベル)として末尾に印刷ぐらいできるように頑張っています。
 これらの分析は、先生自身が反省するための貴重な資料になります。その分析例は、別ページ『1学期中間テスト返却2004年』『2学期中間テスト返却2004年』『テスト返却1(1学期中間テスト)2001年』などを参考にして下さい。


note
 定期テストは、数カ月にわたる単元レベルでの知識理解を調べるのに最適です。どのような分野にも、基本となる語句や知識があるので、それらを確実に定着させるのは教師の仕事です。テストの結果が悪いからといって、それを子どもの責任にしてはいけません。単元を通した柱、樹木の幹にあたる部分は、先生がくり返し指導しなければいけません。基本となる知識や概念は、日々の授業の中で先生がくり返し指導すべきことです。

授業にフィードバックしよう(単元毎に先生自身が反省するため)
 自分自身の授業の検証です。生徒の到達度をチェックすることによって自分の指導方法を振り返るのです。生徒を採点するのではなく、自分自身を採点するのです。これは毎時間行わなければなりません。生徒の反応を良く見て、分かっていないようならすぐさま改善します。授業内でも改善します。あなたが同学年で3クラス受け持っているなら、同じ教え方を3回するのではなく、毎時間改善していくことは当然のことです。「公平を期するため」同じ教え方をする必要はありません。そのようなことをしていたら死んだ授業になります。生きた授業を行っている先生は、毎時間の生徒のつぶやきや疑問を取り上げるので、絶対の同じ手順にならないのです。同じになるなら、生きた教師は必要なく、プログラムされたロボットで十分です。授業中に見つけた修正点は、その時間内に修正できなければ若手教師のレベルです。

 現場の先生が出題する問題は、地域や子どものの実態に合わせた授業、先生が個人的に重要だと考えて取り上げた内容に関する問題です。これらが、きちんと理解できているか確認することが、テスト本来の目的です。もし、十分に理解できていなかったなら、先生が子どもを十分に把握してなったことになります。

生徒の理解度(復習度)の調査
 生徒の家庭学習の内容に左右されます。授業中は理解していても、時間とともに忘れてしまうのは当然のことだからです。また、「理解していること」と「テストで得点すること」は違います。この点については、別ページ『テストで点をとるテクニック』を参照して下さい。

2008年6月25日

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