このページは、Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスンです。

第3章 理科の授業

9 自然をセロテープで貼る

 私の授業は、物・化・生・地の分野をとわず、セロハンテープをたくさん使います。観察したもの、実験に使った道具など、セロハンテープで張り付けることができるものは、全て学習プリントに添付させます。これらの自然物は、ゴミ箱に捨てられてしまうものですが、学習プリントに張り付けることで、言葉や図表よりも雄弁で有効な資料になるのです。

 具体例は、私の中学校理科の授業記録にたくさんありますが、下に典型的なものを紹介します。


1 自然をセロハンテープで貼る例

分 野

具体例
物理学
 実験10コイルのまわり磁界2年(2003年)では、エナメル線を巻いてコイルり、電流を流して、その周りの磁界を調べました。私は、次の時間もコイルを使う実験をしたかったので、電流を流すことができる状態でプリントに添付させました。クラスによって進度は違いましたが、鉄粉を捲いたり、方位磁針を並べたり、いろいろな実験に使えました。、この実験装置(写真左)はプリントに固定することで、半永久的に使えるようになったのです。もちろん、生徒全員が作りました。
化 学
 実験9 酸化銅の還元(2年)2003年では、反応前の酸化銅と炭素、反応後の銅を添付させました。いろいろな化学物質は、それぞれ固有の性質をもっています。その全ての特徴をプリントに添付することはできませんが、ここでは、色・輝き・手触り感などが分かります。また、反応後の中途半端な状態は、実験中の様子を思い出させてくれます。特に、この実験では、自分で試験管を割って取り出したので、そのガラスの小片を添付している生徒もいました。
生物学
 実習3果実・種子・胚1年(2002年)では、いろいろな植物の種子を割り、胚、胚乳、種皮などを観察しました。観察したことは、言葉とスケッチによって記述させましたが、その隣に実物を添付することで、説得力が高まります。また、セロハンテープの上からですが、もう一度観察することができます。
地 学
 実習2私の岩石標本1年(2002年)では、1時間で18種類の岩石標本を作りました。この実習は、地学分野の総復習だったので、これだけの短時間でできたのです。また、この標本は誰1人として同じものではありません。自分で気に入った小片を選び、自分の視点で岩石の正面と裏面を選んで作ります。自宅で観察し直すことができるのは言うまでもありません。

2 セロハンテープで貼る長所
 生徒の立場になって、自然をプリントに貼る長所を考えてみましょう。

(1)やった!という満足感を得られる
 観察や実験に失敗しても、学習内容がわからなくて、一定の満足感が得られます。先生の話を聞いていれば、全員がセロハンテープで貼ることができます。学力レベルに関係なく、授業に真面目に取り組んだ満足感が得られます。

(2)標本を観察し直すことができる
 植物や化学物質を添付した場合、自宅に戻っても観察し直すことができます。いろいろな標本作りは、自然を調べる方法の1つであることはいうまでもありません。繰り返し観察することで、自然に対する理解が深まっていきます。

(3)記憶を蘇らせ、復習の起点になる
 後から見直した時に、観察や実験をしたときの様子が生々しく蘇ります。これは復習をするための大きなキッカケになるだけでなく、学習意欲も喚起させます。私は、この学習プリントが一生の宝物になるように頑張っています。

2008年1月6日

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