このページは、Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスンです。

第3章 理科の授業

18 プレパラートの作り方

 プレパラートは、顕微鏡で観察する試料をスライドガラス上に準備したものです。プレパラートという日本語は、ドイツ語の『準備』に由来します。プレパラートの種類は、(1)永久プレパラート、(2)一時プレパラートに大別できます。市販の永久プレパラートは簡単に観察できますが、私は生徒が自分でつくる一時プレパラートにこだわっています。できあいのものでも感動はありますが、自分で準備した生の試料を調べて発見した時の大きさとは全く違います。自分の手で作ったフレッシュな自然を観る歓び、を教えることが私の仕事です。

1 いろいろな試料
 いろいろなものがあります。中学校で調べるものは、水中の微生物、花粉(花粉管)、いろいろな細胞、植物(葉緑体、気孔、維管束)、動物(卵、筋肉、血球)、細胞の染色体、食塩や硫酸銅などの結晶、運動場の砂、岩石、火山灰、などです。

2 試料の準備
 2で紹介した試料は、そのままスライドガラスに載せるだけので良いもの、薄くしなければならないもの、いろいろあります。準備する上で基本は次の通りです。
(1)ごく少量で良い → 5mm×5mmで十分
(2)向こうが見えるほど薄くする → 反射鏡からの光を透過する厚さ
(3)肉眼で見えなくても良い → 肉眼で見えないから顕微鏡を使う
(4)新鮮なものを調達する → 生物も物質も同じ

3 スライドガラスとカバーガラスの準備
 スライドガラスとカバーガラスを綺麗にします。生徒には水洗いさせますが、先生は70%エタノールでつけ置き洗いしてください。私は、理科室の掃除当番を使って洗わせます。また、ミジンコのように大きな動物を観察する時は、ホールスライドガラスにごく少量の脱脂綿を入れてください。ミジンコが潰れることなく、しかも動き回ることなく観察できます。

4 カバーガラスと水を使って切片を作る
 一時プレパラートの多くは、スライドガラスとカバーガラスの間に水を入れます。ここでのポイントは、(1)空気を入れないこと、(2)水の量を最小限度にすることです。初めにスライドガラス上に置く水は、1滴〜3滴です。次に、空気が入らないようにカバーガラスをかけます。この時、水がちょっと多いな、と感じるぐらいが適切な水の量です。少なくても多くて失敗します。次に、少し溢れて水をろ紙やこより(ティッシュペーパーをよじって作ったもの)で吸い取ります。水は毛細管現象で、ろ紙やこよりに浸透していき、カバーガラスの下の水はどんどん減っていきます。注意深く観察すれば、水量が減っていくことで、試料が押しつぶされていくことがわかります。後から水を吸い取ることで、観察する試料の完璧な切片をつくる、と考えてください。スライドガラスとカバーガラスという2枚の平面ガラスで切られた試料を作るわけです。水を吸い取り過ぎると、空気が入ってしまったり、試料が使えなくなることがあるので、吸い取り加減が重要になります。


上:作り方の板書例(2012年度授業記録:観察12 蒸散、いろいろな植物の気孔から)


上:教師用実験台の上に置かれたスライドガラスとカバーガラス(ろ紙の上)
 生徒は自由にスライドガラスとカバーガラスを持っていくことができます。割れたガラスは、先生に一言申し出てから専用のごみ入れに捨て、新しいものを持っていきます。

関連ページ
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2012年5月15日

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