このページは、Mr. takaによる若手教師のためのワンポイント・レッスンです。

第3章 理科の授業

16 ルーペや顕微鏡の使い方

1 小さなものにできるだけ近づく
 小さなものを観察する基本は、できるだけ近づくことです。道具を使う前に、あなたの目を対象に近づけてください。中学生の場合、肉眼レンズは最短約8cmで焦点を合わせることができます。これは16cmで見たときの2倍、32cmで見たときの4倍です。したがって、道具を使う前に、自分ができるだけ近づくことを教えてください。

2 凸レンズを使う
 肉眼の限界を超えて観察したい場合、目と対象の間に凸レンズを入れます。虫眼鏡、ルーペ、顕微鏡、双眼鏡、望遠鏡などのレンズです。この凸レンズの形は、遠視の人が使うレンズと同じです。いわゆる老眼鏡をかけると、全てものが拡大して見えます。普通の人は遠くのもののピントが合わなくなりますが、近くのものは全て大きく見えます。同じように、老眼鏡をかけている人の目は、他人から見て大きくなります。

写真右:ルーペを使って、カラスノエンドウの種子を構成する子葉2枚、幼芽を調べる生徒授業記録2012年:観察8 双子葉植物の種子、子房、からだ

 彼はルーペを目に近づけて持ち、カラスノエンドウを前後させてピント合わせている。これは正しい操作なので合格!
 さて、彼はメガネ(凹レンズ)をかけているので、さらに拡大したいなら、メガネを外せば良い。ただし、その手間をかけなくても十分に観察できるなら、ルーペとメガネと眼球を一直線上にすれば良い。
 私は老化で肉眼レンズの動きが悪くなったので、ルーペを使うときは、必ずメガネを外す。遠視用凸レンズはむしろ好都合だが、現在はまだ近視用凹レンズを使っている。メガネの掛け外しは面倒だけれど、良い仕事をするために仕方ない。中学生はいいなあ、と思う。

3 眼球レンズと同じように感じる
 生徒の眼球に入っているレンズの形は、ルーペ、顕微鏡と同じです。これらのレンズはすべて同じように丁寧に扱い、常に綺麗にしておきます。自分の目と道具が同じように感じられるようになれば、違和感なく扱えるようになります。そもそも、あなたの目は最高の道具であり、ルーペや顕微鏡はあなた自身の一部です。

4 眼球レンズと凸レンズの距離
 目とメガネの距離が遠いと、視野が狭くなるだけでなくピント合わせも難しくなります。これと同じことは、目とルーペ、目と顕微鏡の接眼レンズの間でも起こります。したがって、ルーペはできるだけ近く、接眼レンズもできるだけ近付けます。ただし、睫毛の長い生徒は目とレンズと目に毛がはいることがあります。

写真右:ルーペを使って、ナズナの花弁の数(4枚)を調べる生徒授業記録2012年:観察3 種子植物の花の一生(ナズナ)

 彼女の場合、ルーペと目の距離が離れているので、もっと近づければ、さらに大きく観察できる。今より2倍大きくすることが可能だろう。ただし、この距離で十分に拡大観察できるなら、距離が離れていた方が光が良く入り、見やすくなることもある。

5 光を感じる
 レンズを通過するものは光、あなたの網膜上の細胞が感じるものは光です。したがって、もっとも注意しなければいけないのは光源です。肉眼、ルーペ、双眼顕微鏡、光学顕微鏡、いずれも場合も十分な光を確保してください。暗い部屋でルーペを使うと見難くなります。真っ暗な部屋では何もみえません。とくに光学顕微鏡は光が重要で、正しい反射鏡の使い方ができれば50%成功、といえるほどです。

関連ページ
・ ルーペの使い方
授業記録2012年:観察2 タンポポの花
・ 光学顕微鏡の使い方
・ プレパラートの作り方
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2003年5月12日

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