このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第27時
練習3 密 度

     2012 6 27(水)、28(木)
     理科室

はじめに
 すぐに始まる1学期期末テスト対策として、同僚の先生に準備して頂いた問題を解きました。密度の基本から応用まで、幅広い内容の練習問題です。ぞれぞれの生徒が自分のレベルの応じた課題を1つでも多くクリヤーできるようにがんばります。


上:空気1m3(密度0.0012g/cm3)の質量を求めるための板書(クリックすると拡大)


本時の目標
・定期テストに備えた密度に関する練習問題を解く
・体積の単位変換(cm3→ m3 )をできるようにする

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 理科の自習教材
  • 本日の学習プリント (1/人)

授業の流れ
 「今日は、定期テスト直前の最後の授業なので、1時間使って密度の練習問題を行います。プリントは1枚。大きな問題は4つです。速い人は15分で終了すると思うので、終ったら手を挙げてください。先生が確認します。合格をもらったら、自分で用意してきた自習教材をやっても構いません。できない人は、先生と一緒に1時間かけてやりましょう。」 

問題1-(1) 密度の定義
 「では、問題を読みます。密度は、体積1cm3あたりの何、で表しますか。答えをプリントに書きなさい。(5秒待ってから、正解『質量(g)』を板書して)正解は質量、その単位はg(グラム)です。」

問題1-(2) 水の密度
 「第2問。水100gの体積を測定したら、100cm3でした。水の密度はいくらですか。計算式と答えを書きなさい。制限時間20秒です。(20秒間待ってから、計算式と正解を板書して)密度は質量(g) ÷ 体積(cm3)、= 100g ÷ 100cm3、= 1g/cm3。 したがって、水の密度は1g/cm3になります。・・・答えあわせに間に合わなかった人は、必ず計算式と答えの両方を書きなさい。手抜きはダメです。単位を省略することもダメです。すべて同じように写しなさい。・・・3分後に次の問題の答え合わせをするので、次の問題も間に合わなかった人は同じように書いてもらいます。書いているうちに、だんだん慣れてきます。当然! と思うことが、できない人の目標です。がんばってください。」


上:上記問題に関する板書
 ここで大切なことは、単位を確実に書くことです。絶対に省略してはいけません。単位は物理学の命です。割算の意味も確実におさえます。単位の読み方も再確認します。先生は、単位を強調して読むようにしましょう。

問題1-(3) ある物体の密度
 「第3問。ある物体を測定したら、質量13.5g、体積5.0cm3でした。密度を求める計算式と密度を書きなさい。2分あげます。(1分ほど机間巡視で様子を見てから、計算式と正解を板書して)密度=質量(g)÷体積(cm3)、=13.5g ÷ 5.0cm3、= 13.5 ÷ 5 g/cm3、=2.7 g/cm3。ということで、この物体は純粋なアルミニウムからできている可能性があります。ところで、みんな! 割算できる?」

割算の方法の確認
 「みんな! 13.5 ÷ 5、できますか。一応、確認しておきます。割算するときは、(13.5を板書しながら)割りたい数を書いてから、その数を(割算の形を書きながら)こんな形のもので囲んで、その左に割る数を書きます。今回は、13.5を5で割ります。まず、13の中に5はいつくあるか調べると、2個あります。5・2・10になるので、13の下に10を書きます。(13の下に10を書いて)すると、3余ります。3を割っていないわけですね。だから、13-10を計算して、(引き算の示す線を白色チョークで書き、次に、黄色チョークに持ち替えて3を書いてから)その下に3を残しておきます。今度は、ひと桁下げて5で割ります。この時、先ほど残しておいた5、を一緒に割算しましょう。つまり、35を5で割ります。35の中に5はいくつあるかな。・・・7ですね。ちょうど7で割り切れました。したがって、今度は7を書けば終了ですが、その前にしなければいけない大切なことがあります。小数点です。13.5の小数点の位置を、答えにも書きます。(緑色のチョークで13.5の小数点を緑色に変え、その真上に緑色で小数点を書いて)これで小数点の問題は解決です。次に、先ほどの7を書きましょう。5、(赤色のチョークで7と書いて)・7、(35と書いて)35、35から35を(横線を書いて)引いて、(0を書いて)0。これで割算終了です。13.5÷7は、2.7です。」


上:小学校で学習する割算の方法の確認を含めた板書

問題1-(4) ある物体の質量
 「第4問。ある物体(密度8.9g/cm3)の体積を測定したら、10cm3でした。物体の質量を求めなさい。2分あげます。(30秒ほど机間巡視で様子を見てから、質量・密度・体積の関係を板書して)質量・密度・体積の関係は、黒板のようになっています。まだ答えが出ていない人は、必ず写しなさい。これは、距離・速さ・時間と同じ関係です。」

 「(さらに30秒ほど机間巡視で様子を見てから、計算式を答えを板書して)質量=密度(g/cm3)×体積(cm3)、=8.9g/cm3 × 10cm3、= 8.9×10  cm3、=89g。ということで、質量は89g、です。さて、この問題で注目すべき点は、単位も計算できることです。この式の単位に注目してください。g/cm3 × cm3= g。美しい! 実に美しい計算式です。これを美しいと感じられる人は、物理の達人です。達人は単位を必ず書き、単位も計算するので、絶対に間違えることがありません。」


上:単位に関する板書

問題1-(5) 空気1m3の質量
 「第5問。空気1m3の質量を求めなさい。ただし、密度0.0012g/cm3とします。制限時間は2分です。(1分ほど机間巡視で様子を見てから、質量・密度・体積の関係を板書して)質量・密度・体積の関係は、黒板のようになっています。まだ答えが出ていない人は、必ず写しなさい。これは、距離・速さ・時間と同じ関係です。・・・(さらに30秒ほど机間巡視して様子を見てから、計算式を答えを板書して)質量=密度(g/cm3)×体積(cm3)、=8.9g/cm3 × 10cm3、= 8.9×10  cm3、=89g。ということで、質量は89g、です。さて、この問題で注目すべき点は、単位も計算できることです。この式の単位に注目してください。g/cm3 × cm3= g。美しい! 実に美しい計算式です。これを美しいと感じられる人は、物理の達人です。達人は単位を必ず書き、単位も計算するので、絶対に間違えることがありません。」


上:問題1-(4),(5)に関する板書

問題2、問題3
 省略


上:問題を解く生徒

問題4 体積と質量の関係のグラフを読み取る
 体積と質量の関係を表したグラフは、密度を表しています。グラフを読み取るポイントは、横軸と縦軸です。横軸は変数(変化させる数)、縦軸は変数に伴って変化した数です。この問題の場合は横軸:体積(cm3)、縦軸:質量(g)です。次は、それぞれの単位です。問題を解く前に、単位変換する必要があるか確認します。今回は横軸:cm3、縦軸:gなので、このまま使えます。

グラフから、同じ物質を選ぶ方法
 次に、グラフ上にある複数のデータ(点)から、同じ物質を選びだすための方法を紹介します。生徒に説明する基本的な流れは、次の(1)〜(12)です。
(1) ある物質を測定したら、体積2、質量1でした。
(2) この値、データをグラフ上に示すと、ココになります。
(3) 次に測定した物体が同じ物質なら、体積4のとき質量2になるので、データはココになります。
(4) さらに大きい物体なら、体積ココのとき、質量はココです。
(5) さらに大きい物体は、体積ココのとき、質量はココ。
(6) つまり、同じ物質のデータ(点)は一直線上に並びます。
(7) したがって、グラフから同じ物質を選ぶために、密度を計算する必要はありません。
(8) 同じ物質を探す方法を紹介します。
(9) 1本の定規を出しなさい。
(10) このように、定規で一直線上に並ぶものを選ぶだけです。
(11) なお、原点を通ることを忘れてはいけません。
(12) 定規は原点を中心に動かします。


上:問題2、3、4『体積と質量の関係のグラフ』のための板書

グラフから、浮くか沈むかを読み取る方法
 初めに調べることは、何に対して浮き沈みするのか、です。多くの問題は水ですが、水の他にエタノールや石油などの液体が考えられます。気体でも同じような浮き沈みの問題が考えられます。液体と気体を合わせて『流体』と言いますが、生徒に一度に教えてはいけません。水に物体(固体)を入れる基本問題をしっかりおさえてから、応用問題として触れます。次の(1)〜()は生徒に説明する基本的な流れです。
(1) 基準になる水の位置を確かめましょう。
(2) 水の密度は1g/cm
3なので、1gのとき1cm3、2gのとき2cm3です。
(3) したがって、このライン上が水になります。
(4) となると、水に浮くものはラインより上か下か、どちらでしょう。
(5) 沈むものはラインより上か下か、どちらでしょう。
(6) 密度が大きければ沈み、小さければ浮きます。
(7) ということで、同じ体積もので調べましょう。
(8) 同じ体積なら、質量が大きければ沈む、密度大です。


上:定規を使って、同じ密度の物質を調べる生徒


上:A君の学習プリント(クリックすると拡大)


上:B君の学習プリント(クリックすると拡大)


上:他クラスの板書


上:他クラスの板書


授業を終えて
 中学1年生で密度の練習問題を解かせる場合、先生が主導権を握ることが多くなるでしょう。しかし、3年生になれば生徒に委ねましょう。計算、グラフ、単位に慣れてきているからです。別ページ『生徒が教壇で教える授業』で紹介しているように、生徒を教壇に立たせる方が理解が深まります。できる生徒は説明する力をつけ、できない生徒は友達の声で理解が進むからです。もちろん、中学1年でも十分な時間があればできます。時間が欲しいです。

関連ページ
実験16 1円の密度 
1年(2002年)
基本操作 メスシリンダー、上皿てんびん 1年(1999年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の化学
第2章 原 子 1円硬貨の密度 p.26〜 p.27
いろいろな物質の密度 p.28

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学
第1章 量と単位 数字、という言葉 p.7
単位には意味がある p.8
国際単位系(SI単位系) p.8〜 p.10
長さと面積と体積の関係、そして、密度へ p.12

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