このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録> 1年(2012年度)です |
第32時
実験8:金属(メタル)2012 7 9(火)、15(月)、18(木)
理科室はじめに
金属は、自然界に存在する92種類の元素のうちの70種類を占めます。これらは金属として共通の性質をもつ比較的身近な存在であるだけでなく、1種類の元素だけでできた単体の純物質です。したがって、自然界の事象を小さな粒子から解明する学問『化学』の導入として、中学1年の先頭に配置すべき最有力候補の1つです。また、物質の特性の1つに密度がありますが、密度の学習に最適な教材は金属です。金属は常温で固体として存在し、手にとって確かめたり密度を測定したりできます。
本年度の実践
『実験1:1円硬貨の密度』『実験2:いろいろな物質の密度』したがって、化学分野のシラバス(部分)の王道の1つは、いろいろな金属→ 金属に共通する性質→ いろいろな金属の密度→ (いろいろな物体、固体の密度)→ 液体の密度→ 気体の密度です。ただし、物体の浮き沈み(アルキメデスの法則)は中学1年で扱うべきではありません。浮力を正しく理解するためには、中学3年以上の空間認識力が必要だからです。3年の物理分野で扱うのが適切でしょう。
ということで、今日はいろいろな金属があることを知り、全ての金属に共通する性質をまとめます。
上:理科便覧でいろいろな物質の中から金属を選び出す生徒
本時の目標
1 自然界には、70種類の金属があることを知る
2 すべての金属がもっている特徴をまとめる
3 いくつかの金属を手に取り、標本にする準 備
生 徒 教 師
- 筆記用具
- 教科書、理科便覧、ファイル
- 本日の学習プリント (1/人)
- ガスバーナー、マッチ (各2/班)
- 薬さじ (1/人)
- ピンセット (1/人)
- アルミホイル (200mm×50mm/人)
- セロハンテープ
- ぬれ雑巾
- アルミニウムの小片 (1/人)
- マグネシウムの粉末 (少量/人)
- スチールウール(鉄) (少量/人)
- 塩化ナトリウム (少量/人)
- 炭酸カルシウム (少量/人)
- 亜鉛の小片 (1/人)
- 銅の小片 (1/人)
授業の流れ
(1) 本時の内容紹介
今日は1学期最後の授業であり、2学期初めに行われる実力テストの範囲の最後内容となる『金属』について学習します。授業は、次の3つのステージに分かれています。
(1) いろいろな金属の例
(2) 金属の性質
(3) 金属の標本づくり「私たちの宇宙はいろいろな物質からできていますが、詳しい研究から、この自然界にあるもの全ては、92種類の小さな粒、あるいは、それらを組み合わせたものからできていることが分かっています。92種類の中でも1番小さな粒は何か知っている? ・・・おー、よく知っていますね。水素です。逆に、1番大きな粒は? ・・・誰も知らないようなので紹介すると、ウランです。ウランって知っている? ・・・鉄腕アトムの妹の名前は? ・・・知っている子がいますね。ウランは自然界にある最も大きくて重い粒で、鉄腕アトムの妹の名前はそこからとったのでしょう。」
(2) いろいろな金属の例
「さて、水素からウランまでの92種類のうち、70種類は金属と言われる粒です。そのうち、みなさんは何種類知っていますか? 金属の性質や共通する特徴を調べる前に、いろいろな金属の例を出してみましょう。金属の例を出して! ・・・アルミニウム! そうですね。アルミニウムは純粋な金属です。・・・超合金! それは超・合金ですから、2種類以上の金属を混ぜて合わせてつくった『合金』の中でも、すごいものをさしているので違います。2種類以上の金属を混ぜたつくった合金の例は、切りがありません。1種類の粒からできている金属に限定します。わかる人! ・・・金! 正解です。金が出れば、もうオリンピックのメダルで3種類出てきますね。 ・・・はい、発表はストップ! 数分間、自分のプリントに金属の例を書き出してください。その後、黒板に1つだけ発表してもらう形式にします。質問はありますか? ・・・では、始め!」
上:黒板にいろいろな金属の例を発表する生徒
元素や原子という言葉を使わないように注意しました。これらは2年生になったら学習しますが、元素と原子の違いを正しく理解することは容易ではありません。ある1つの元素は複数の原子の集まりの総称です。それらの原子は、原子の中心である原子核の電気量(陽子の数)が等しく、質量(中性子の数に左右される)が異なるものです。これらの原子を同位体といいますが、この同位体の意味を正しく説明できなければ、元素と原子の違いを指摘することは不可能です。みなさん! 中学2年生でも難しい(不適切)だと思いますが、1年生には無理でしょ。彼らには他にも学ばなければいけないことが山積しています。理科だけで良いなら簡単なことですが、大人や教師は欲張ってはいけません。子どもはバランス良く、かつ、主体性に成長していくものです。
参考資料:元素周期表、水素の同位体(アイソトープ)(中学理科の化学2011年)
生徒から出た『1種類の粒の金属』ではないものの例
※いろいろな意見が出ると思いますが、わからないものは「わからない」と答えましょう。自由研究のテーマとして調べさせるのも良い方法の1つです。合 金 ・2種類以上の金属を混ぜた物質
(非金属を混ぜても性質が金属のようなら、合金という)超合金 ・おもちゃのロボットに使われる名称
※超耐熱合金、特殊合金、超硬合金鋼(はがね)
スチール・鉄と炭素の合金
・日本刀、鉄鋼、たたら製鉄ステンレス ・鉄とニッケルとクロムの合金
・さびにくく金属光沢を保つ鉄鉱石 ・鉄を含む岩石 白 銅 ・銅とニッケルの合金 赤 銅 ・銅と金の合金 青 銅 ・銅と錫(すず)の合金
※割合によって色が変わる(銅> 赤銅・黄金・白銀 <錫)
・ブロンズ像、オリンピックの銅メダル、銅鐸、銅鏡はんだ ・鉛と錫(すず)の合金
・融点が低く、接合に使われる
※2種類の金属を混ぜると融点が下がるレアアース ・稀(まれ)な元素
・17種類(原子番号21、39、57〜71)
※57〜71はランタノイド
・最先端物質や技術の開発に欠かせない物質レアメタル ・希少な金属(日本独自の語)
・金、銀、銅、鉄以外の珍しい貴重な金属
上:理科便覧の元素周期表を見て、金属を探す生徒
上:別クラスでの板書
生徒の発表後、それぞれについて1種類の粒からできた物質かどうか確認する。(3) 金属の性質
「いろいろな金属の例がそろったところで、第2問。これらの物質に共通する性質は何でしょう? 例外なく、全てに共通する性質です。それが金属の特徴になるわけです。では、黒板に発表する前に、自分のプリントに書きなさい。教科書は4つですが、みなさんなら5つ以上出すことができるでしょう。考える時間は3分。自力でダメなら教科書を調べても構いません。ただし、間違っても良いから教科書にないユニークな考えを期待しています。では、始め!」
上:別クラスでの板書
もう1つ上の板書と比較すると、2クラスとも『磁石にひっつく』という意見が出ました。これは間違いですが、せっかく間違えてくれたのですから尊重してください。黒板にきちんと書き、クラス全員に賛否を問います。どちからに挙手させます。その上で、間違っていることを指摘し、訂正します。このように、よく間違える内容は、きちんと明確に板書することで正しい知識が定着していきます。磁石にひっつくかどうかの問題は、ひっつかない金属としてアルミニウムがある、という意見が出されました。note
・展延性については、技術家庭科の授業で学習済みだったのでラッキーでした。(4) 金属の標本づくり
「次に、金属標本をつくりましょう。先生が7種類用意しましたので、それらをプリントに添付し、気づいたことをまとめましょう。本当は、加熱したり電流を流したりすると面白いのですが、時間が足りないので、今日はこのままの状態で見たり触ったりして気づいたことをまとめなさい。」
上:理科室のあちらこちらにおいた金属
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左:亜鉛の小片 (金属の名称は、ボトルのラベルを見ればわかる)
右:私が用意した金属標本のメニュー (特徴や気づいたことを記入することも板書する)
上:気づいたことをまとめる生徒
上:同上
上:A君の学習プリント
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上4枚:生徒4人の学習プリント(いずれもクリックすると拡大)
授業を終えて
金属は身近にある物質ですが、あらためて見つめ直すと不思議です。理科は当たり前の自然を見つめ直す教科なので、じっくり見つめさせましょう。金属の性質は当然のことばかりですが、当然と思っている事象ほど奥が深いものです。時間が許せば、掘り下げてみたいですね。このページの冒頭でも紹介したように、金属は化学分野の先頭に配置すべき教材の1つであり、金属から化学変化、状態変化、イオンなど、化学分野の全てを派生させていくことができます。私立中学校の理科教師なら、3年間かけて金属を調べても面白いのではないか、と思います。note
1 個別の金属の特徴
原子番号(元素)は、中心にある原子核の電気量によって決定されているが、金属(元素)としての性質は最外殻電子によって決まる。関連ページ
・ 実験2 炎色反応 1年(1999年)実践ビジュアル教科書『中学理科の化学』
第2章 原 子 元素周期表 p.16、p.17 水素の同位体(アイソトープ) p.18欄外 金属(70種類) p.22、p.23 金属の炎色反応 p.24、p.25 1円硬貨の密度 p.26、p.27 . 第8章 化学電池
第8章と電気分解主な金属のイオン化傾向 p.139 物質の分類 p.154
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考察9:1年理科2学期中間テスト