このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第39時
実験15:沸騰した水の泡を集めよう

     2012 9 21(金)、24(月)
     理科室

はじめに
 単純な実験ですが、生徒の反応は上々。沸騰した水は身近な存在ですが、それを詳しく観察したり、泡の正体を考えたりする経験がないからです。状態変化を学習する上で、必ず行わせたい実験の1つです。ただし、操作を誤ると危険なので十分注意させてください。

実験上の注意
1:バスバーナーの炎は、ビーカー側面まで上がるようにしない
2:試験管は、その最上部ではさんで固定する
3:試験管の位置を移動させる時は、全員でよく注意しあう
4:実験台や三脚などは、100度C以上に加熱している
5:火傷事故は、実験中より後片付け中に起きることが多い

他年度の実践
実験7 水の状態変化 1年(2002年)


上:試験管に沸騰した水の泡を集める生徒


本時の目標
1 沸騰した水の泡を試験管いっぱいに集める
2 沸騰した水の泡=水蒸気は見えないことを確認する
3 水蒸気を冷やすと水に戻ることを確認する
4 安全に注意し、火傷しない

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書、理科便覧、ファイル
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • ビーカー(500ml)
  • 沸騰石(数10個)
  • 試験管
  • 鉄製スタンド
  • 三 脚
  • 金 網
  • マッチ
  • 小さな紙片
  • ぬれ雑巾

授業の流れ
(1) 本時の内容紹介 (1分)

(2) 沸騰した水の泡の正体を考える (9分)
 泡の正体は『水』です。水蒸気でも良いのですが、正しくは『気体の水』です。固体の水は『氷』、気体の水は『水蒸気』といいますが、液体の水は『水』です。つまり、液体の水は特別なニックネームをもっていないので、気体の水を『水蒸気』と呼ぶと混乱する生徒がいます。沸騰した水の泡=目に見えない=見えない状態になった水=気体の水=(水蒸気)、とまとめると良いでしょう。


上:実験装置と実験中の様子を示した板書

ポイント1:水ではなくH2Oと記すことで、混乱を避ける
 → 水蒸気(気体の水)と水(液体の水)は同じ物質

ポイント2:試験管内の泡は、上部にいくほど小さくなることを示す
 → 試験管上部にある水は冷たいので、気体から水へ戻る
 → この説明ができる生徒を挙手させ、説明さえれば良い

ポイント3:試験管の温度が100度Cになるまで泡を集めることはできない

(3) 実験装置の確認 (5分)
 先生が演示しながら実験装置を確認します。

(4) 生徒実験 (30分)

上:水をいっぱいに入れた試験管を逆さにして、鉄製スタンドに固定する様子
 この操作手順は、以下の通りです。

水をいっぱいに入れた試験管を逆さにして、鉄製スタンドに固定する手順
1) 試験管に水をいっぱい入れる
2) 小さな紙片を、試験管の口に当てる
3) 試験管を逆さにする
4) 紙片をつけたまま、水をいれた300mlビーカーの入れる
5) 紙片を取る
6) 鉄製スタンドの2つのねじを緩め、試験管をはさむ
7) 試験管の位置を決め、ねじをしめて固定する
 → ガスバーナーで鉄製スタンドが加熱しないように注意する


上:ガスバーナーの炎の大きさを調節する生徒

.

左:温度計で、水温を測定する生徒
右:沸騰した水の泡を観察する生徒

机間巡視ながら注意すること
1) ガスバーナーの炎がビーカー上部まで上がっていないか
2) 温度計に直接炎が当っていないか
3) 鉄製スタンドや試験管ばさみが異常に加熱していなか
4) 三脚やビーカーや試験管が安定、固定されているか
5) 沸騰石の量が十分あるか(数10個)


上:ビーカーや試験管内で状態変化する水を観察する生徒


上:試験管いっぱいに集まった気体を液体に戻す様子


上:同上

試験管に水をかけて『気体を液体にする』ときの注意点
1) 試験管いっぱいに気体がたまったら先生を呼ぶ
2) ガスバーナーの炎を見て、もれていなかったか先生が確認する
 → 上の写真5枚は、鉄製スタンド側にもれていた
 → 鉄製スタンドや試験管ばさみの温度を、水やぬれ雑巾で先生が確認する
 → 水は100度C以下でも、試験管は100度C以上
3) 先生が見ている前で、生徒に操作させる
 → くり返し実験させても良いが、先生はその度に確認する

(5) 後片付け、および、考察 (5分)
 火傷事故は、後片付けの時に起ります。鉄製スタンドの試験管ばさみ、金網、三脚、実験台に触れた時が危険です。数100度C以上に加熱している場合は触った途端に火傷します。慌てて反射的に手をひくと、ビーカーや試験管内の湯をこぼす事故が起ります。これを未然に防ぐために、下図のように危険箇所を板書しながら注意してください。


上:火傷する危険が高い場所を示した板書

後片付けの前に注意を喚起する例
 「実験中に火傷した人はいますか? ・・・大丈夫のようですね。しかし、火傷事故はこれから発生します。とくに、鉄製スタンドの試験管ばさみ、金網、三脚、実験台が危険です。絶対に触らないでください。ガスバーナー付近の実験台をぬれ雑巾でふくと、じゅーっと音を立てるぐらいに加熱しています。いきなり中央部を触るのではなく、冷えている部分から確かめるようにしてください。万一、火傷した場合は5秒以内に流水で冷やし、友達が先生に報告してください。質問? ・・・では、片付け始め!」

○ 生徒の学習プリント

上:A君の学習プリント
 右ページは、時間切れで全クラス空欄になりました。ここには2つの気化(沸騰と蒸発)をまとめる予定です。


授業を終えて
 今年の生徒達も本気で楽しんでいました。火傷事故もなく良かったです。次から2時間、同じような加熱実験を行うので、注意力散漫にならないよう注意させたいと思います。

関連ページ
実験7 水の状態変化 1年(2002年)
実験5 液体窒素による状態変化 1年(1999年)
演示実験 液体窒素 1年(2002年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の化学
第3章 分 子 大気に含まれる物質 p.30
第5章 状態変化  見える状態の水 p.79欄外
物質の三態(固体・液体・気体) p.80
分子運動実験機でイメージする p.81

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実験14:物質の状態変化

→ 第40時
実験16:エタノールの沸点

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