このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第38時
実習14:物質の状態変化

     2012 9 20(木)、21(金)
     理科室

はじめに
 今日から6時間、状態変化について学習します。これを理解するためには、粒子の運動状態をつかむこと、目に見えないものをイメージする力が必要です。これは中学1年生にとって限り無く難しいので、がんばって指導してださい。最善の指導方法の1つは、1つひとつの実験の中で、先生が的確な言葉と身ぶりで『粒子の運動状態』を表現することです。一流の演劇家は、舞台に花がなくても花をプレゼントしたり受け取ったりできます。花の色やにおいを表現します。本物の花よりも心に迫るイメージを観客に与えるわけです。あなたも一流の理科教師といわれるよう、頑張ってください。

 ということですが、本時は実験がありません。机上の空論を行います。いつかは指導しなければならない教科書の内容なので、状態変化の冒頭でやってしまう作戦です。ただし、これに長時間使うと無駄な疲労と混乱を招くので、20分程度とします。その後、次時の実験『水を沸騰させたときにできる泡を集めよう!』の予習、そして、これまでの学習で抜け落ちたところを補填します。

他年度の実践
状態変化 1年(1999年)


上:状態変化を示した板書


本時の目標
1 物質は小さな粒子でできていることをイメージする
2 固体・液体・気体は、粒子どうしの配置が違うことをイメージする
3 固体・液体・気体を粒子の運動状態にからイメージする
4 固体・液体・気体の粒子そのものは変わらない、ことをイメージする

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書、理科便覧、ファイル
  • 本日の学習プリント (1/人)

授業の流れ
(1) 本時の内容紹介 (1分)

(2) 粒子8個を使った固体、液体、気体のモデル (20分)
 同じ大きさの粒子8個を使って、3つの状態を表します。下の写真2枚は2つのクラスにおける板書、その下に指導上のポイントを示します。


上:A組での板書


上:B組での板書

指導上のポイント
1:
3つの円(固体・液体・気体)を印刷しておく
2:1つの円に書く粒子の数は、すべて8個 =粒子の数は変化しない
3:粒子の大きさはすべて同じ =粒子そのものは変化しない
4:気体の粒子は、すべてばらばらに離して配置する
5:液体の粒子は、すべてひっつけるが、ばらばらに配置する
6:固体の粒子は、規則的に配置する
7:すべての粒子は運動している
8:運動エネルギーの大きさを矢印の長さとして表現する

(3) 沸騰した水が入ったカンから出る白い湯気 (7分)
 下の写真のように、沸騰した水が入ったヤカンから出る白い湯気を板書しました。その『白い湯気』の正体を全員に発問したところ、液体と気体で半々に分かれました。それぞれについて自分の考えを説明できる生徒と求めたところ、どのクラスも数人の生徒が正しい考えを紹介してくれました。


上:沸騰した水が入ったヤカンから出る白い湯気の板書
 正しい考え方は、白い湯気 = 目に見えもの = 液体、です。逆に、気体 = 目に見えないもの、なので、やかんの周り全体には無数の気体(水蒸気)があるわけです。あなたがいる部屋には、無数の水蒸気が飛び回っていますが、それは気体なので見ることができません。

 あるクラスで、私は冬の寒い朝を演じました。両手を口に当てて手を暖めたり、口から白い息が出る様子を演じるわけです。

(4) 大気に含まれる気体 (7分)
 前後の脈略はありませんが、教科書の配列に合わせて『大気に含まれる気体』を確認しました。


上:大気に含まれる気体
 教科書は水(水蒸気)の割合を省略してますが、私は0〜3%として紹介しました。これは質量に対する割り合い(%)で、湿度(%)とは関係ありません。この相違点を明確にすると面白いのですが、中学1年生の子どもには過酷です。

※ 本時の学習プリント

上:A君の学習プリント

(5) 気体の捕集方法3つ (7分)
 気体の第1時『実験10酸素をつくって調べよう』に時間切れになった『気体の捕集方法』をまとめをしました。記述させた場所は『実験10』の右ページです。


上:気体の捕集方法のまとめ


授業を終えて
 今回は私自身が頭でっかちになってしまったと思う。反省!

関連ページ
状態変化 1年(1999年)
実験5 液体窒素による状態変化 1年(1999年)
演示実験 液体窒素 1年(2002年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の化学
 私の著書実践ビジュアル教科書『中学理科の化学は、状態変化を第5章に配置しています。なぜなら、状態変化は化学変化(第4章)よりイメージする力を必要とするからです。第5章『状態変化』で粒子をイメージする力を養った後、第6章『水溶液』でさらに複雑な粒子の状態を学習します。
第3章 分 子 大気に含まれる物質 p.30
第5章 状態変化  見える状態の水 p.79欄外
物質の三態(固体・液体・気体) p.80
分子運動実験機でイメージする p.81

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実験13:アンモニアの噴水

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実験15:沸騰した水の泡を集めよう

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