このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第88時
実習16 地震の大きさ、伝わり方

     2013 3 12(火)、13(水)
     理科室

はじめに
 地震の原因はプレートテクトニクスから説明できますが、地震とは何か、地震を定義します。文字どおりの意味は『地面が震えること』ですが、どのような考えができるでしょう。中学生らしい自由な考えや定義を楽しんだ後、地震=プレートの急激な動きとしてまとめます。その次に『震源と震央』、さらに『震度とマグニチュード』を知らせます。最後に、兵庫県南部地震の伝わり方を調べます。

他年度の実践
地震の大きさ(震度とマグニチュード) 1年(2002年)
地震の大きさ 3年(2001年)


上:地震発生から揺れはじめるまでの時間を色分けする生徒


本時の目標
 地震とは何か考え、プレートの急激な動きとしてまとめる
 震源と震央をまとめる
 震源からの振動は同心円状に広がることを調べる
 震度とマグニチュードをまとめる
 地震と震災をまとめる

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書、理科便覧、ファイル
  • 色鉛筆
  • 本日の学習プリント(1/人)

授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)
(2) 地震とは何か (14分)
  地震は、プレートテクトニクスから説明できます。つまり、地球表面を覆う15枚の巨大プレートはゆっくり動いています(地殻変動)が、動く方向や速さが違うので、プレート内部に歪みが蓄積されていきます。蓄積されている間に、地震は発生しません。そして、歪みに耐えきれなくなったときに地震が発生します。歪みを解放するために、プレートの弱い部分が一気に動きます。

 震源は1番初めにずれた部分です。その場所はプレートどうしの境界面、立体的な広がりをもつ面です。また、震源=断層と考えることもできます。断層は地殻内部にできるものなので、その深さは地殻の厚さ(5km〜60km)になります。

 震源となるプレートずれ(あるいは断層)は1ケ所でも、それは四方八方へ数km/秒の速さで広がります。したがって、震源はある程度の広さをもった震源域として考えた方が良い場合があります。さらに、1番初めにできたずれ(あるいは断層)よりも、それがきっかけとなって生じたずれの方が大きな震源となることがあります。なお、ずれから生じるP波は5-7km/秒、S波は3-4km/秒の速さで伝わります。

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上3枚:3つのクラスで発表された地震

地震を定義するときのポイント
 プレートに蓄積した大きなエネルギーが一気に解放される現象
 プレートが弾ける、戻る、破壊される現象
 地殻内部の急激な動きが地表に達したもの
 地面の震え=地震

 地震についてまとめたら、別ページ『下敷きを使った歪みの説明』のように地震を再現してみてください。1分以内で終了する簡単な演示実験ですが、生徒の理解が深まります。


上:プラスチック下敷き1枚を使った演示実験(下敷きを使った歪みの説明から)

(3) 震源と震央 (10分)
 地震が発生した場所を震源(地下)、その真上の地点を震央(地上)といいます。震源の考え方は2つあり、1つはプレートどうしの境界面、もう1つは断層面(地殻)にあるというものです。震源をプレートどうしの境界面にあると考えるなら、その深さは数100kmに達します。震源を断層面とするなら、その深さは数10kmになります。『震源は大平洋側が浅く、日本海側が深い』とする見方は、震源をプレートどうしの境界面と関連づけたものです。この他、火山による地震などありますが、授業では触れませんでした。


上:震源と震央を説明するための板書

震源と震央を指導するポイント
 震源は地下にある
 震源から、地震波が発生する
 地震波は、同心円状に広がる
 震源の真上の地点を震央という
 震源から発生した地震波は、何秒か後に震央に到達する(上図は4秒後)

 震源は1ケ所ではなく、震源域として考えるべきである
 ↑ 生徒の理解度にあわせて省略する

(4) 地震の伝わり方 (5分)
 (3)の図からわかることを発表させます。この図から分かることはごく簡単なことですが、言葉にすることは大切です。ただし、『同心円』という語句は数学で学習していませんでした。生徒から「池に石を投げ入れた時にできる波紋のように広がる」という意見が出ましたが、実際は『球が拡大するように伝搬』します。到達時間は、震源からの距離にほぼ比例しますが、地震エネルギーは急激に失われることが推測できます。

 さて、(3)の図からわかることが一通り出揃ったら、知識として知っていることを発表させてください。地震の強さの表し方(震度とマグニチュード)について意見が出るでしょう。ただし、初期微動と主要動は次時にまわします。

(5) 震度とマグニチュード (7分)
 十分な時間があれば、単元『地震』の導入として30分程度使っても良いでしょう。実践例は別ページ『地震の大きさ(震度とマグニチュード)1年(2002年)』『地震の大きさ3年(2001年)』をご覧ください。今年度は教科書を使って、ごく簡単に確認しただけでした。

(6) 地震と震災 (3分)
 地震と震災の違いを確認します。地震は気象庁が決めた地震の名前、震災は政府が決めた震災の名前です。例えば、1995年1月17日の兵庫県南部地震は阪神淡路大震災、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は東日本大震災をおこしました。

(7) 実習:地震発生から揺れはじめるまでの時間 (10分)
 兵庫県南部地震について、地震発生から揺れはじめるまでの日本各地の時間を色分けさせます。私が用意した図は、20秒刻みでしたが、10秒、15秒でわけても良いでしょう。色は生徒の好みに合わせます。


上:綺麗に並んだ色鉛筆から、好きな部分のグラデーションを選ばせると意欲が高まる


上:色分けしたD君の学習プリント(図版:平成24年度 教師用付録CD-ROM 理科1年 学宝社)

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上:教科書を参考にして実習する様子

左:10秒毎に色分けしたもの

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上2枚:生徒2人の学習プリント(プリント番号とHP番号が1つずれています)


授業を終えて
 盛り沢山の授業になってしまいましたが、本当にもり過ぎてしまったようです。というのは、本時の2時間後に行った愛知県公立高校の入試問題『平成25年度 学力検査 全日制課程B 理科』で、震度とマグニチュードの問題ができなかった生徒がたくさんいたのです。これはショックでした。点取り問題だと思っていたのですが、申し訳ないことをしたと思います。しっかり解説させて頂きました。

関連ページ
地震の大きさ(震度とマグニチュード)1年(2002年)
地震の大きさ3年(2001年)
参考資料:下敷きを使った歪みの説明

実践ビジュアル教科書『中学理科の地 学
 第章 プレートの
     動きと地球 
 地震の大きさ    p.116 
 地震計のしくみ    p.117 
 震度と地震の伝わり方   p.121 

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実習15 地殻変動
(プレートテクトニクス)

→ 第89時
実習17 地震の揺れ方
(初期微動継続時間)

中学校理科の授業記録1年(2012年度)

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