このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第87時
実習15 地殻変動(プレートテクトニクス)

     2013 3 8(金)、11(月)
     理科室(教室でもよい)

はじめに
 地殻変動は、プレートの動きにともなう地殻の動き(変動)です。そのペースは小さいものですが、長い年月による移動距離は大きなものになります。例えば、速さ8cm/年で計算すると、10年で80cm、100年で8mです。このプレートに蓄積された弾性エネルギーが一気に解放される現象を地震といい、100年毎に地殻が8m急変する計算になります。断層は弱く破断しやすい部分(比較的浅い部分にある地層)であり、地震の結果として地層が食い違う(断層ができる)、と考えることができます。

 また、プレートの動きは三次元です。上下動だけでなく、東西南北を合わせた立体的な動きです。ただし、ある地点で定点観測をすると、隆起と沈降をくり返しているようにも見えます。海岸は、隆起すると砂浜(平野)、沈降するとリアス式海岸になります。水底の堆積物も、隆起と沈降によって変わります。水底が隆起して陸上になると、堆積物=地層が見えることがあります。地層が見えるところを露頭といいます。また、地上に現れた地層は、侵食されて失われます。

 プレートテクトニクスは学習済みです。本年度の実践『実習2 地球の内部構造』 や『プレートテクトニクス(大陸移動説)1年(2002年)』をご覧ください。

写真右:プレートテクトニクスを説明した板書
(本年度の実践
実習2 地球の内部構造から)

.


上:教科書にある日本列島各地の上下動を調べる生徒


本時の目標
 地球上を移動する15枚の巨大プレートを知る
 日本は4つのプレートが衝突しあっていることを知る
 プレートは陸と海のプレートに大別されることを知る
 海のプレートは陸のプレートの下へ沈みこむことを知る
 海溝・海嶺についてまとめる
 プレートどうしの境界線で地震が発生することを理解する
 日本各地の隆起・沈降を調べる

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書、理科便覧、ファイル
  • 本日の学習プリント(1/人)
  • 検印、スタンプ

授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)
(2) 地球上を移動する15枚の巨大プレート (20分)
 世界規模のプレートの動きを学習します。その前に、現在の地球は15枚のプレートに分けることができること、さらに、プレートは陸と海のプレートに分類できることを紹介します。ただし、これらの分類は新しい研究によって変わることもの知らせます。重要なことは、何枚のかプレートが地球上を移動していること、大地や海が不変ではないことを知ることです。それを理解するために、学習プリントに印刷してある『世界のプレート』の色塗作業から始めます。


上:A君の学習プリント
(日本はユーラシアプレートと北米プレートからできている。また、フィリピン海プレートと大平洋プレートと接している)

地球上を移動する15枚の巨大プレートを指導する手順
 学習プリントに印刷したプレート15枚を紹介する
 実習2 地球の内部構造で学習したプレートテクトニクスを簡単に確認する
 プレートは24時間動いていることを板書、確認する

 日本を指差しさせる
 さらに、名古屋を指差しさせる
 名古屋(西日本)がユーラシアプレートにあることを確認する
 ユーラシアプレートに中国、ロシア、ヨーロッパがあることを確認する

 北海道を指差しさせる
 北海道(東日本)が北米プレートにあることを確認する
10 北米プレートにロシア、カナダ、北米があることを確認する

11 ユーラシアプレートと北米プレートをの色(好きな2色)で塗らせる
12 ユーラシアプレートを板書し、その位置を確認する(下図)
13 北米プレートを板書し、その位置を確認する(下図)


上:赤で着色したユーラシアプレート(地図の左右両端はつながっていることを示す)

14 ハワイを指差しさせる
15 ハワイは大平洋プレート中央にあることを確認する
16 大平洋プレートはのプレートであることを確認する
17 大平洋プレートを海の色で着色させる

18 2つのプレートが衝突すると、重いものが下へもぐりこむことを確認する(上図)
 → 時間がある場合は、重さではなく『比重』の違いから説明する
 → 大陸と海洋プレートの密度実践ビジュアル教科書『中学理科の地 学p.107)


上:陸と海のプレートのプレートの特徴を簡単に示した板書(ユーラシアプレートは名古屋、陸、密度小、白。大平洋プレートは海、密度大、黒、ハワイ)

18 インド・オーストラリアプレートを指差しさせる
19 インド・オーストラリアプレートを板書する(上図の黄色部分)
20 チョモランマ(エベレスト)を指差しさせる
21 エベレストの位置を板書する(上図の×
22 1万年前のインドの位置と形(▼)を板書する(上図の
23 は、現在も移動していることを矢印で示す(上図↑↑
24 ユーラシアプレートと衝突地点にチョモランマがあることを確認する
25 チョモランマは現在も毎日高くなっていることを確認する
26 チョモランマは火山(マグマがない)ことを確認する
27 チョモランマは海でできた石灰岩(サンゴ)からできていることを確認する
 → ユーラシア大陸にあるアルプス山脈は侵食・風化され低くなっていく
28 インドは今も北上し、小さくなっていくことを確認する

(3) プレートと海溝・海嶺 (5分)
 (2)で学習したことを言葉でまとめます。ポイントは、プレートの動き(プレートテクトニクス)と『地震』『海溝・海嶺』を関連づけることです。

 地 震 
2つのプレートが衝突するところで発生する
・プレートにたまった歪みが一気に開放されるときに発生する
・詳細は次時学習する

かいこう
 海 溝 
・海のみぞ(溝)
海のプレートが沈み込むところ
・世界第2位の深さを誇る日本海溝(第1位はマリアナ海溝)

かいれい
 海 嶺 
・海の山脈(海底火山)
海のプレートができるところ
・高温、粘性弱、黒色のマグマが吹き出している
・大平洋プレートにあるハワイは標高5000m級(富士山より高い)


上:B組の板書(右端に、1日0.2mmの割り合いで動くことを計算している)


上:C組の板書

(4) 日本各地の隆起、沈降 (20分)
 教科書の図『日本の各地の上下の動き』をコピーしたものを使って学習します。


上:名古屋やその他の地域を着色したE君の学習プリント(教科書のコピー)

日本各地の隆起、沈降を指導する手順
 日本各地の上下動を示す教科書の図を紹介する
 名古屋を指差しさせる
 名古屋は1年につき4.5mm以上沈降していることを確認する
 名古屋と同じように沈降している場所を指摘させる
 日本各地の隆起、沈降を示す図に着色させる


上:教科書を参考にしながら、日本各地の上下動をまとめる生徒

 着色作業からわかることをまとめる

まとめのポイント
(1)24時間動いていること
(2)その動きを地殻変動ということ
(3)上下だけでなく、東西南北にも動くこと
(4)上下の動きを隆起・沈降ということ
(5)動きを調べる基準になる点を水準点ということ
日本水準原点
・日本各地の標高(高低)を測量するための基準点
・国会の前庭、洋式庭園内に設置されている

 ※1等水準点、2等水準点などがある
 ※三角測量に使われる基準点は三角点
(6)最近はGPSで測量すること


上:A組のまとめ


上:B組のまとめ

(5) 考 察 (4分)


上:Eさんの感想


上:F君の学習プリント(学習プリント番号とHP番号が1つずれています)

.

上2枚:生徒2人の学習プリント


授業を終えて
 隆起と沈降は、混乱しやすいので注意してください。プレートの動きによる隆起と沈降はゆっくりしていますが(地殻変動)、地震による隆起と沈降は一瞬です。いずれの原因もプレートテクトニクス(ゆっくりしたプレートの動き)です。地殻変動はゆっくりした地殻の動きを指すことが多いので、地震による急激な隆起・沈降と区別してください。

関連ページ
隆起と沈降 3年(2001年) ―リアス式海岸、砂浜―
地殻変動 3年(2001年) ―褶曲、断層、不整合―
地震の発生場所と原因 3年(2001年)
世界の地震地図 1年(2002年)
日本付近の震源 3年(2001年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の地 学
 第章 プレートの
     動きと地球 
 現在の地球のプレート    p.106 
 大陸と海洋プレートの密度    p.107 
 地殻変動   p.108 

第86時 ←
実習14 校内の岩石採集

→ 第88時
実習16 地震の大きさ、伝わり方

中学校理科の授業記録1年(2012年度)

↑ TOP

[→home
(C) 2013 Fukuchi Takahiro