このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第58時
実験10 音の三要素をオシロスコープでみる

     2012 11 21(水)、22(木)、26(月)、27(火)
     理科室

はじめに
 2学期期末テスト直前になりました。教科書は楽々完了できますが、生徒と一緒に遊ぶ時間が足りません。本時の目標は下記のように盛り沢山なので、時間ができたクラスは、2時間に分けてストローの笛など楽しい実験を堪能しました。

関連ページ
実験11 いろいろな音 1年(2002年)
実験13 ストーローの笛 1年(2002年)
実験14 ビーカーで音楽会 1年(2002年)
実験8 ビーカーで演奏会

上:


本時の目標
1 
音はオシロスコープを使って視覚化できることを知る
 音の三要素を理解する
 音叉の共鳴実験を体験する
 ドップラー効果を理解する
 ストローの笛をつくり、音階をつくったり音色を楽しんだりする

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • いろいろな素材のストロー
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • オシロスコープ、マイク
  • 音 叉

授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)

 前半オシロスコープで音の三要素を学習してから、後半ストローの笛で遊びます。時間にゆとりがあるクラスは、ストローの笛で遊んでから、ストローの音をオシロスコープで観ながら音の三要素を学習します。

以下は、複数のクラスを実践をつないだものです。

(2) ストローの笛づくり        (15分)
 これは外せない実験です。自分でつくった笛が鳴ることは、文句なしに嬉しい体験です。リードがぶるぶる振動して、唇がびりびりする感覚も体験させるべきです。ストローの笛づくりは、音の三要素(高さ、大きさ、音色)を学習すために最適な教材の1つなので、是非試してください。教科書には弦1本を使った実験が紹介されていますが、それより多くの工夫・発見・考察をすることができます。なお、笛づくりの方法を含む記録が別ページ『実験13 ストーローの笛 1年(2002年)』にありますので、合わせてご覧ください。2000年度はより生き生きと記録されていますが、本年度も授業実践は負けていません。ほとんどの全員の生徒がストローを持参していました。


上:笛を示した板書

ストローの笛のまとめ方: 音の高さの場合
 ストローの笛から、音の三要素を全てまとめることができますが、ここでは音の高さ(音程、ドレミファ)の例を示します。下図左上を見てください。笛の長さは波長、すなわち、音の高を決めることを示しています。長い=低音短い=高音になります。その下の表は、可聴音(周波数20Y〜20000Y)を中心に超低周波と超音波をまとめています。生徒の発言を取り入れながら進めても、5分あれば十分でしょう。


上:ストローの笛から音の高さをまとめた板書(クリックすると拡大)

ストローが長い=振動数(周波数)が少ない=低音、とまとめても良いでしょう。

note:ストローの笛(開管)の音の高さは、管楽器と同じように決まります。リードは振動体、ストロー本体は共鳴体です。共鳴体の中における基本振動の長さは、ストローを短くすれは短くなります(振動数が増えて高音になる)。興味がある人は、実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学p.77の『ストローの笛(空気柱:開管)の原理』をご覧ください。

(3) 音の三要素
 学習プリントに印刷しておいた音の三要素の表を完成させました。以下に板書案、実際の板書、Bさんの学習プリントを掲載しましたので、参考にしてください。また、別ページ『実験11 いろいろな音 1年(2002年)』にも音の三要素をまとめた表があります。

音の三要素の板書案
 実際の授業は、計画(板書案)通りに書きません。生徒の発言を活かし、より印象的な言葉や順序でまとめていきます。生徒の心に焼きつけるようにします。さもなければ、教科書や資料集で十分です。間違いを怖れることなく、色鮮やかな授業をするように心掛けてください。

音の三要素
(実際の音)

高 さ
(音階、音程)

(ドレミファ・・・)

大きさ

音 色
(音源や楽器がもつ特色)

オシロスコープ
波の形 ・1つの波の ・1つの波の高さ ・波のぎざぎざ
(特徴的な形)
名 称 振動数、周波数
 (1秒間の波の数)
振  ・な し
単 位 ・Hz(回/秒) ・dB(デシベル)
・ホン
・な し
備 考 ・音が高くなる=
 振動数が増える
音が大きくなる=
 振幅が大きくなる
・好きな人の声はすぐ判る
・おんさは音色がない
・物体は固有振動数をもつ ・固有な大きさはない ・音源には固有な音色がある

Bさんの学習プリント
 プリント左側に、音の三要素の表があります。もっとも時間を使ったのは、最下段のオシロスコープの波形です。

※右上のAAは、ストローを持参した、ストローの笛を10秒間鳴らしたです。


上:Bさんのクラスの板書


上:C組の板書


上:D組の板書

(4) オシロスコープによる音波の観察
 オシロスコープにマイクをつなぎ、クラスの人気者に出てきてもらいます。歌をうたってもよし、面白い声を出してもよし、オシロスコープに映し出される音の波形を楽しんでください。もちろん、(3)で学習した音の三要素を確認することが目的なので、大きな声と小さな声、高い声と低い声、人間離れした声を確かめてください。

(4)の最後に音叉の波形を観測しましょう。正弦波、音色のない振動を観察することができます。叩いた直後は大きな振幅(音)ですが、だんだん小さな振幅(音)になることが確認できます。

(5)音叉の共鳴実験
 音叉の正弦波を確認したら、2つの音叉で共鳴実験を行います。実験方法はどの教科書にも掲載されているでしょう。実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学はp.78〜p.79に『音叉の共鳴』として詳しい実験手順と結果、しくみをまとめています。

(6) ドップラー効果
 ドップラー効果を簡単に確かめる実験として、アラーム付きの時計を鳴らし、それを長さ1mほどの糸に結んで回転させる方法があります。今回は、F1レースの物真似をしてくれる生徒に頼みました。それより面白かったのは、サイレンを鳴らしながら猛スピードで駆け抜ける緊急自動車を実演してくれた男子生徒です。大声を上げて教室を駆け抜けてくれました。ドップラー効果は確認できませんでしたが、何度も挑戦する姿にドップラー効果に対する愛情が湧いてきました。生の授業の醍醐味です。


上:大声を上げながら駆け抜けるE君
 誰もが予想しない展開に、クラス中がびっくり仰天でした。この時は思いつきませんでしたが、「もっと速ければ、(通過前)、ーん(通過後)、となります」と私が追加実演すればよかったなあ。

(7) 本時の考察


上:Fくんの学習プリント


授業を終えて
 盛り沢山だったけれど、楽しんで頂けたのではないかと思います。

関連ページ
実験11 いろいろな音 1年(2002年)
実験13 ストーローの笛 1年(2002年)
実験14 ビーカーで音楽会 1年(2002年)
実験8 ビーカーで演奏会

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学
第4章 耳で聞く 音   オシロスコープで音を見る  p.68、p.69 
 ストローの笛と管楽器(開管)   p.76、p.77
 音叉の『共鳴』   p.78、p.79

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