このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第57時
実験9 糸電話

     2012 11 15(木)、16(金)、19(月)
     理科室

はじめに
 今日から音の学習です。本来は4、5時間使いたいのですが、諸般の事情で2時間です。濃密な時間になったことをお許しください。さて、音の1時間めは糸電話です。事前に、小学校で遊んだ経験があるか調べたところ、わずか数人でした。驚きの少なさですが、糸電話だけで学習指導要領を完了できるほどの発展性があります。学習の中心に糸電話を位置づけてください。子どもから大人まで楽しめる=発見がある教材です。

関連ページ
実験12 糸電話  1年(2002年)
実験10 糸電話 1年(1999年)
実験3 光の速さ、音の速さ  1年(2002年)
実験9 縦波・横波 1年(1999年)


上:糸電話を使って音を探究する生徒達


本時の目標
 自宅から紙コップ、糸を持参する
 糸電話をつくり、会話を友達と楽しむ
 新しい糸電話の遊び方を考え、実践、工夫、改良を加えて楽しむ
 音について考察し、音の性質をまとめる

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • 紙コップ
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • 小さな画用紙

授業の流れ
(1) 本時の授業内容の紹介 (1分)

 糸電話の理論を図示し、それをつくって遊ぶことを知らせました。時間が許すなら、音とは何か、自由な意見を求めたかったです。

(2) 糸電話で音が伝わる理由        (5分)
 糸電話で音が伝わる理由をQ1、として発問しました。「みんなが納得でるように説明できる人!」と問いかければ、十分です。何人かの生徒が元気良く手を挙げると思うので、先生が上手につなげ合わせながら板書していきましょう。制限時間5分ぐらいでどうでしょう。重要語句はその後、文を模式図でまとめ直すときに確認しましょう。


上:A組の板書
 A組のキーワードは、振動鼓膜でした。その後、音の速さ340m/秒を発表した生徒がいたので、音の速さは媒体によって変わることを紹介しました。上図では、水1500m/秒、鉄6000m/秒の2つを追加しています。調子に乗って、音速(マッハ)や光速も板書していますが、本日のメインは糸電話です。


上:B組の生徒の学習プリント
 左のQ1は簡素ですが、それで良いと思います。右の模式図で同じことを再確認すれば良いだけの話です。

(3) 糸電話の模式図 (10分)
 文字によるまとめ(2)よりも時間をとります。下図はB組での板書です。


上:C組の板書(クリックすると拡大)

糸電話のしくみの重要語句
1:音源としての声帯振動する
2:声を伝える媒体としての空気
3:空気中を伝わる振動疎密波縦波
4:鼓膜や空気と同じように振動するコップの底
5:さらに同じように振動する
6:糸が弛んでいると、振動は伝わらない
7:糸の振動をコップの底が受け取り、空気を振動させ、
8:相手の耳の鼓膜を振動させる
9:鼓膜の振動が電気信号に変換され、脳が音として認識する

(4) 生徒実習:糸電話をつくる
 材料は、紙コップと糸の2つです。これに糸を固定するための小さな紙片があると良いでしょう。以下に、糸電話の作り方の一例を示しますが、改良の余地はたくさん残されています。よりよく聞こえるための改良を重ねてください。

糸電話の作り方の手順とポイント
:紙コップの底に穴をあける
 ・プラスチックコップは振動し難い
 ・底がよく振動するように中心にあける
 ・穴は小さい方がよい

:糸を穴に通す
 ・糸はある程度太いほうが振動を伝えやすい

:糸を底に固定する
 右の写真の1番下を見てください。このよう
に、小さな紙片を使えば完璧に固定できる。し
かし、音の伝導性は悪化するので、さらなる改
良をがんばってください!

:糸3メートル以上で切る
 ・この長さを標準にしてください

:反対側に紙コップを取り付ける

.





(5) 生徒実習:糸電話で遊ぶ
 糸を引っぱったり緩めたり、歌をうたったり、何かを叩いた音を伝えたり、思いつく限りの遊びをさせてください。誰がやっても同じ結果を得られる遊びなら、それは科学的事実を発見したことになりまます。楽しい遊びをくり返すことが重要です。規則や法則を発見することもあります。


上:メインケーブルに糸をかけ、友達どうしの会話を聴く生徒


上:糸電話を改良する生徒達


上:実験中の理科室


上:楽しく糸電話する生徒達


上:同上


上:同上

(6) 後片付け、考察
 実験後の糸電話は、お持ち帰りです。立派な自由研究の材料になります。


上:Dさんの学習プリント


授業を終えて
 発見や疑問を板書させて、そのいくつかを拾い、もう1時間実験したいですね。最高に楽しい時間の1つになると思います。例えば、理科室に1本のメインケーブルを張り、それに生徒全員が自分の紙コップをつなげます。メインケーブルにいろいろな振動を与えて、どのように伝わるか試してみたいと思いませんか!

関連ページ
実験12 糸電話  1年(2002年)
実験10 糸電話 1年(1999年)
実験3 光の速さ、音の速さ  1年(2002年)
実験9 縦波・横波 1年(1999年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学
第4章 耳で聞く 音   鼓膜と耳小骨  p.66欄外
 糸電話で遊ぼう   p.80、p.81 
 いろいろな媒体の中を伝わる音の速さ   p.82欄外 

第56時 ←
実験8 凸レンズがつくる実像と虚像2

→ 第58時
実験10 音の三要素をオシロスコープでみる

↑ TOP

[→home
(C) 2013 Fukuchi Takahiro