HomeMr.Taka 中学校理科の授業記録1年(2016年度)


1学期の自己評価

2016 6 7(火)、8(水)、10(金)、13(月)、14(火)、15(水)
理科室、普通教室

はじめに
 上の日付をみると、6日間あります。私が再点検する時間として、1学級につき1日欲しいからです。1人8分として計算すると、40人で320分(5時間20分)の計算になります。もっとゆっくり見たいのですが、常識から考てこれが限界でしょう。したがって、前後のカリキュラムはそれに合わせて変更されます。

 なお、自己評価の指導方法は4年前の記録『考察24 1学期の自己評価1年(2012年)』を同じなので、以下のページはそれを再編したものです。


上:本時の板書(クリックすると拡大します)

本時の目標
1 4月からこれまでの理科学習を振り返る
2 自分の授業態度を考察する

準 備

生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 1学期の自己評価表 (1/人)
  • ファイルを入れる箱 (1/クラス)
授業の流れ

(1) 始業の挨拶と本時の紹介

(2) 自己評価表
 自己評価表は、理科室に入って来た生徒から順に取らせます。これはいつもと同じ流れですが、用紙がひと回り小さいA4サイズなので、確認する生徒が何人かいました。着席した生徒のほとんどは、自主的にクラス、出席番号、氏名を記入しますが、再確認しましょう。

右:自己評価表
考察24 1学期の自己評価1年(2012年)から)
クリックすると拡大
pdfファイルもあります

(3) 16時間の記録を順に並べて綴じる
 次に、学習プリントが順番通りに綴られているどうか、確認させます。これができていれば関心・意欲・態度は『B』になります。もちろん、一通り書いてあることは基本条件です。

 先生が再点検するとき、プリントが順番どうりに並んでいるかは非常に重要です。ばらばらになっていると、時間を大幅に失います。

(4) 科学的思考の評価方法
 「評価項目の2つ目は、科学的思考です。この列は、全て『A・B・C』が印刷されているので、全てについて自分で判定してください。(全部Aにしていい、と生徒が発言したら)全部Aということは、全部Cと区別できないので危険です。全部Bも全部Cも同じです。毎時間同じように凄いことはできないと思うので、自分で1時間ずつ判断して、バランス良く判定してください。自分が思考できたかどうか正しく判断できること、それ自体が科学的思考です。全てAにするのは、何も考えていないので、基本的に全部Cにします。注意してくださいね」

 「この項目を判定するためには、感想の内容を読んでください。自分だけの発見や疑問があるでしょうか。大切なことは、自分で思考することです。教科書と同じことの繰り返しはC、または、Bです。オリジナルなまとめ方ならAですが、これはとても難しいと思うので、とにかく自分の考えを書いてください。間違っていてもAです。なお、この科学的思考のポイントを上げるために、授業の合間に書き込んでも構いません。簡単に書けるものではありませんが、1つでも2つでも書いてみてください。もちろん、楽しかった、吃驚した、のような感想はC。わざわざ書いても意味がありません」

科学的思考を評価する先生へ
 一般的な思考方法は言語を使うことですが、言語が不得意な生徒はジェスチャーを使ったり、数式、図表で思考します。思考方法は多様であり、ペーパーテストで測定できるのもはほんの一部です。もちろん、学習プリントの記述から判断できるものも一部ですが、定期テストより正確に判断できることは間違いありません。日本語という言語で判断することは簡単ですが、生徒の優れた能力を逃さないよう、プリントの記録から総合的に判断、評価しましょう。先生の評価する力=先生の授業する力、です。頑張って養ってください。評価の原則は、先生が教えたことが十分に達成できていればA、です。

 以上は『思考』の評価方法ですが、さらに、その思考が『科学的』なのか判断する必要があります。しかし、科学の定義は難しく、世界中の人が認める定義はありません。私は生徒の発達段階や現代社会の環境から判断して、科学的思考=大勢の友達が認める思考、としています。つまり、内容が間違っていても、大多数の友達が『すごい』『なるほど』と認めるものは科学的である、とします。それは彼らの発達段階に適合した視点からの思考であり、他の友達が気づかなかった発見だからです。

 テストで不正解になる思考でもAです。そもそも自然に完全な法則が存在しないことは、自然科学者なら誰も知っています。新しい視点を発見し、それを明示すること、それが自然科学の思考『A』に値することです。

 余談ですが、ここで文部科学省『学習指導要領』の重大な欠陥を指摘します。それは、科学的思考を評価する教科が1つしかないことです。科学的思考の対象は自然だけではなく、政治・社会・芸術・スポーツなど人類の活動全てにおよびます。

 理科の対象は自然であり、理科は自然に対して科学的に思考をする教科です。他教科においても科学的に思考力する養い、科学的に活動する力をつけることで、人はバランス良く成長していくものです。

(5) 1枚1枚のプリントの個別評価
 次に、1枚目のプリントから順に、具体的な評価方法を指示します。今回の場合、1時間目『観察1 アブラナの花』の実験観察の技能は、アブラナの花が添付していなければC、添付してあればAかBです。AかBかの判断は生徒に委ねますが、雌しべ・雄しべ・花弁・がくの区別があることは当然です。どれだけ分かりやすく添付できたか、気づいたことを記述できているかが分かれ目です。同じように、2時間目『観察2:タンポポの花』も評価させます。最後のプリントまで評価の解説を終えたら、5分ほど自由時間をとります。生徒はその時間を使って、プリントの記入もれ、今になって気づいたことを書き込みます。

(6) 1学期の学習プリントで見て欲しいプリント番号と内容
 最後に、1学期のベストプリント(授業)を3つを選ばせます。この作業は重要です。自分では毎時間がんばったつもりでも、いざベストを選べ! と言われると決められないものです。決め手がない、同じことの繰り返しをしている場合が多いからです。実際問題として同じことの繰り返しでも、自分のベストを選び、それを先生に示すことは自分を振り返るための重要なきっかけになります。生徒は何度も自分のプリントをめくりながら、ベストを選びます。


上:板書例(クリックすると拡大、考察24 1学期の自己評価1年(2012年)から)

 「最後にもっとも重要な作業をしてもらいます。ベストプリントを3枚選んでください。そして、プリント番号と見て欲しいポイントを書いてください。内容は簡単で良いです。花、スケッチ、感想、と一言で十分です。それもできなければプリント番号だけで構いません。先生が判断するので大丈夫です。ただし、必ずベスト3枚は選んでください。先生はプリント点検するとき、まず全体をぱらぱらと見て全部揃っているか確かめます。次に、ベストプリントをじっくり見ます。みなさんも悪いものを見られるより、良いものを見られた方が良いでしょ。先生も良いものがみたいです。ベストを見て、君の判断基準のレベルを判断し、その他のプリントを再点検します。つまり、自分に厳しい子は上に、自分に甘い子は下にします。全部選ぶのは何もないのと同じなので、いけません。自分の得意なものは何か考え、選んでください。選んでから、さらに書き加えてよろしい。ではどうぞ!」


上:学習プリンを再点検する生徒たち(考察24 1学期の自己評価1年(2012年)から)


上:同上(考察24 1学期の自己評価1年(2012年)から)

 「先生がどのように評価するか、その予定を紹介します。(関心の項目に下に『A』と書きながら)やる気は『A』、(科学的思考の項目に下に『C』と書きながら)思考は『C』、(観察、スケッチの技能の項目に下に『B』と書きながら)観察やスケッチは『B』、これらを総合して『3』です。3じゃなくて、4や5を狙っている人は、思考を『B』や『C』にする必要があるので、自分で先生にアピールしてください。つまり、見て欲しいプリントを追加して、そこに『感想、疑問、発見、オリジナルなまとめ』などと書いてください。思考力の判断は先生にとっても大変なので、必ず、ベストを選んでください。じっくり読まさせて頂きます。自分で自分の良さを見けること、それも科学的思考なので、選べれない人はその時点でアウトです。もちろん、選んでから書き込んでもよろしい。ではどうぞ!」


上:科学的思考Aを獲得する方法を簡単に示した板書
考察24 1学期の自己評価1年(2012年)から)


授業を終えて
 授業後、ファイルを見ながら1つずつ再点検します。とても大変ですが、1学期の集大成を拝見するのは楽しい作業です。生徒の授業ファイルは、生徒が私につけた通知表だからです。通知表を見るのは、良くても悪くてもわくわくするものです。

関連ページ
考察24 1学期の自己評価 1年(2012年)
1学期評価基準 1年(2002年)

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