このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 年(2017年度)です

第2時
観察2 ハタケニラの細胞
    動物細胞と植物細胞の比較

2017 4 18(火)
第1理科室

はじめに
 動物細胞と植物細胞に関する問題は、よく見かけるものです。授業では共通点と相違点をまとめるますが、くどくど話をしても学習効果はあがりません。シンプルな模式図を書かせながら、短時間で適切なまとめをするべきです。

 私は、前時『ヒトのほおの内側の細胞』で観察できなかった生徒がいること、この先理科室を使えなくなる可能性が高いことから、授業後半に顕微鏡実習をとりいれました。できていない生徒は『ヒトのほおの細胞(動物)』、できている生徒は『植物細胞』を観察させます。

 植物試料は正門付近に力強く繁殖しているハタケニラです。授業前に、がばっとひとつかみ、葉100本程度を採取してきました。これは1年生でも観察した植物ですが、ニラのような匂いがする単子葉植物で、簡単に葉の表皮のプレパラートが作れます。そして、葉緑体や気孔の観察が簡単にできます。

ハタケニラについて
種子植物>被子植物>単子葉類>ヒガンバナ科>ネギ亜科
ニラのような強いにおがする
だだし、ニラではない
外来種
常緑多年草
5月〜6月に白い小さな花
花弁6枚
地下茎に鱗茎をつくる
繁殖力が極めて高い
雑草? 害草?


上:スライドガラス、カバーガラス、酢酸オルセイン、ハタケニラの葉


本時の目標

・学習プリントの書き方、評価•評定のつけ方を理解する
・これから始まる理科の授業にわくわくする
・顕微鏡を正しく操作し、自分のほおの内側の細胞を観察・スケッチする

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • テッシュペーパー
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • ハタケニラの葉(100/クラス)
  • 光学顕微鏡 (1 /人)
  • スライドガラス(1 /人)
  • カバーガラス(1 /人)
  • 酢酸オルセイン (2mL /クラス)
  • 50mlビーカー (1 /クラス)
  • 使い捨てスポイト(1/クラス
  • 光源装置(1/班)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)動物細胞と植物細胞の比較(10分〜15分)
 動物細胞と植物細胞を並べて配置します。そして、それらの共通点(核、細胞質、細胞膜)を中央に書きます。次に、植物細胞だけに見られるもの(葉緑体、液胞、細胞壁)を書きます。これで終了です。

 
上:A組での板書

指導上のポイント
(1)植物よりも、動物は単純
(2)単細胞生物は動物でも植物でもない、とする(taka先生案)
(3)とすると、(1)は多細胞生物に限定される
(4)多細胞の動物は『細胞が分化・組織化している』と考える
(5)多細胞の植物は、骨がないので硬い『細胞壁』がある
(6)多細胞の植物は、細胞1つずつが栄養を『液胞』に貯めている
(7)『葉緑体』は人類が到達できないであろう太陽エネルギー固定装置
(8)以上、細胞小器官
 もっと詳しくお知りになりたい方は、実践ビジュアル教科書『中学理科の生物学をどうぞ!

(3)ハタケニラの葉のプレパラートのつくり方 (5分)
  1)葉の表より、裏の方が『気孔』が観察できるので面白い
  2)気孔の孔辺細胞には『葉緑体』がある
  3) 細胞壁があるので、『核』は染まりにくい
  4)葉の表は、『葉緑体』が多い
  
5)試料はできるだけ小さく(2mm×5mm)で十分


上:A組での板書

(4)検鏡方法&観察ポイントの演示 (5分)
  6)倍率を上げたら、反射鏡は凹面鏡でる
  7)最終的な倍率は、400倍以上で


上:モニターに映されたハタケニラの葉の裏側

(5)スケッチの演示 (3分)
  細胞壁、液胞、葉緑体、孔辺細胞

(6)実習 (20分〜25分)


上:実習の様子


上:A組の様子(クリックすると拡大します)

(7)本時の感想、考察 (5分)


授業を終えて
 本時は顕微鏡実習2時間目です。連続2日間になるので、顕微鏡操作をよく覚えているので、効率的に実習できます。

 さて、本日の試料は『ハタケニラ』ですが、これはとても簡単に観察できます。それよりも簡単なのは、ヒトのほおの内側の細胞です。前時、観察できなかった生徒は、もう一度自分の細胞を採取します。そして、もう一度同じようにプレパラートを作り、顕微鏡で調べます。

 最終的に全員が自分の細胞を自分の顕微鏡で観察できました。この経験は、子どもにとって大きな意味があると思います。卒業前のアンケート結果から、この経験は1年しないうちに忘れてしまうことを知っていますが、顕微鏡で観察できたという自信と喜びは確実に形成されます。そして、教科書や資料集にある顕微鏡写真を見たとき、親近感を少し感じることができるようになります。さらに、私が「君たちでも観察できるものだよ」と暗示をかければ、まるで、自分の肉眼で見たかのような錯覚(心眼)を持つことになります。ぜひ、これらの簡単な試料を使い、生徒全員に成功体験をさせてください。

関連ページ
観察1 動・植物の細胞3年(2001年)
いろいろな動植物細胞3年(2004年)
観察2 いろいろな細胞3年(2001年)
観察2.2 いろいろな細胞3年(2001年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の生物学

第1章 生命とは何か  生きている細胞膜 p.10
 多細胞生物がつくる階層 p.14
 食卓にならぶ多細胞の植物 p.18-p.19
 顕微鏡を使うときのポイント p.21

 科学的スケッチの書き方

p.22

 タマネギのプレパラートをつくる手順

p.23
第2章
細胞の構造とはたらき
 動物細胞と植物細胞の比較 p.24
 核は細胞の設計図 p.25
 リボソームは有機物を合成する p.25
 ブドウ糖をつくる葉緑体(光合成) p.32
 エネルギーをつくるミトコンドリア p.36
 植物が呼吸するための穴『気孔』 p.44-p.45

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考察3 動物とは何か!

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