このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 2年(2017年度)です

第27時
実習2 元素周期表

     2017 7 7(金)
     各教室

はじめに
 「どこかで元素周期表を見たことがありますか」と子どもたちに質問すると、1/4ほどの子どもが手をあげます。理科室に貼ってある元素周期表の残像もありますが、テレビ番組やどこかの広告で見た記憶もあるようです。この周期表は、その正確な見方はわからなくても子どもたちにとって魅力的なものです。規則的なもの、美しいものを愛するホモサピエンスのDNAが反応するのでしょう。その純粋な欲望をさらに引き出すよう、焦ることなく1つずつ意味を教えていきましょう。

元素と原子の違い
 元素と原子は違うものですが、その説明は中学3年生までおあずけです。詳しく説明すると、ぽっか〜ん、になる子どもがたくさんできるからです。ただし、みなさんには少しだけ説明しましょう。以下をご覧ください。

元素:自然界に92種類(原子番号1番から92番まで)ある
 →元素番号、というものはない!
 →原子番号 = 陽子数
(原子核にある)
 ※人工的に原子番号93番以降の元素をつくることができるが、不安定で消滅する
 ※約100種類、と記述するものも多い
 ※原子番号113番『Nh(ニホニウム、2016年)』は日本が発見した元素で、半減期は0.002秒〜20秒
 ※エレメンツ
 
原子 :自然界に約4000種類ある
 ※1つの元素に対して、いくつかの原子がある
 ※いくつかの原子ができる理由は、中性子の数(原子核にある)の違いによる
 ※中性子の数だけが違うものどうしを
同位元素という
 ※アトム

参考資料:別ページ『元素と原子の違い

初日のポイントは、元素1つひとつについて興味深い話をすることです。
子どもたちの心に1つでも多く、少しでも深い印象を刻むようにしましょう。


上:中学で覚える元素16種類(本日の板書から) クリックすると少し拡大します


本時の目標
・元素と周期表について深い興味をもつ
・私たちの宇宙は92種類の元素からできていることを知る
・それ以上の元素は不安定で、短時間で消えることを知る
・元素周期表の形は、横と縦の規則性を示していることを知る
・希ガスについて知る
・(中学1年で学習した)金属について復習する

準 備
生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • 本日の学習プリント  1枚/人

授業の流れ
(1)私のたちの宇宙は元素からできている(3分)

 「今日の学習プリントをみてください。何と書いてありますか?・・・そうですね。元素周期表です。私たちの宇宙にはいろいろな物質がありますが、それらはごく限られた数の元素からできています。もちろん私のたち人の体も、限られた数の元素からできています。では、いきなり問題です。元素は何種類あるでしょう? ・・・えっ、100万ですか! それは多すぎます。・・・1万、それも多すぎます。実はとても少ない数からできていて、・・・たった、92種類です。教科書には約100種類とありますが、いずれにしても少ない数です。わずか92種類で全てができているのです。もちろん、先生もみんなの身体もこの教室にあるものすべてがすべてできているのです」

 「さて、92種類の元素のうち、中学生が覚えなければいけない元素は16種類しかありません。それだけ覚えれば高校入試で100点です。16種類覚えた人は、化学が得意分野になるでしょう。今日は3個覚えて帰ってください。このペースで進めば、たった1週間でカンペキです!」

(2)周期表の『形』と『周期』について(1分)
 「次に、学習プリントの表を見てください。ちょっと変わった形をしています。これは元素の特徴を考え、似たものどうしを並べたことによってできた形です。自然にできたものです。これにはたくさんの意味、規則があります。どれも面白いことばかりですが、欲張ると混乱するので少しずつ教えることにします」

 「今から、1番小さな元素から順に紹介していきますが、この変わった形における位置、ポジションを覚えてください。なお、周期表の周期とは『繰り返される』という意味です。ざっくりいうと、元素の特徴や性質は『8ごとに』繰り返されます。このことから、表は横8列になっています」

(3)元素と原子の区別は、しません!(1分)
 「また、この表のタイトルは元素周期表となっていますが、ここから先の授業では『元素(エレメント)』という言葉の代わりに『原子(アトム)』を使います。本来なら、はじめに元素原子の違いを説明するべきですが、今日は行いません。夏休みが終わってから、あるいは、3年生になったら教えますので、しばらく我慢してください。元素という言葉が出てきたら、原子・アトムと置きかえてください。よろしくお願いします」

原子は前の時間に学習しているが、理解度が低いようなら少しだけ復習しても良い。
※以下は、先生用です

もう一度確認!(先生用)
原子番号:元素番号とはいいません。陽子の数を原子番号、といいます。
元素記号原子記号といっても大丈夫です。
(1)以上のことは、中学2年生の子どもに説明してはいけません!
(2)元素=原子でいいよ、と教えてください。
(3)元素記号と原子記号は、授業中まざっても大丈夫です。
 →参考ページ『
理想の子どもではなく、目の前の子どもに教えよう!

※子どもには、元素=原子、としてください!

ここまで説明したら、黒板に横8列、縦4行の表を書きます。

表1:元素周期表の形
1 番   2 番
3 番 4 番 5 番 6 番 7 番 8 番 9 番 10番
11番 12番 13番 14番 15番 16番 17番 18番
19番 20番  

(4)原子番号1番から20番までの元素記号(15分)
 「(左上を指差して)ここには原子番号1番の元素が入ります。それはもちろん!・・・水素です。元素記号はラージ・エイチです。その下に日本語で水素と書いてください(H、水素と書く)。これは宇宙で一番小さな元素です。窓の外の太陽を見てください! 太陽はこの水素のかたまりで、暗黒の宇宙空間に浮かんでいます。私たちも暗黒の宇宙空間に浮かぶ地球の上にいますが、太陽のおかげで生活することができます。そのエネルギー源は水素原子の核融合です。ただし、このエネルギーは人類がコントロールできるものではありません。(以下は、時間があれば余談として話しても良いですが、今日のテーマと離れるので授業の最後が良いでしょう。自然界に存在する最後の元素『ウラン』の紹介後なら、ウランを最後にした理由説明になるのでピッタリです)人類がコントロールできないことは、福島原発事故(2011年)が証明しています。日本政府が絶対安全と言っていた嘘についても、今も科学的に証明しています。日本のメディアはほとんど伝えていませんが、一番危険な放射性物質は完全に溶けて(メルトダウンして)土の中に入ってしまった核燃料600トンです。福島原発事故から6年経過した今も、その位置すらわかっていません。人は即死、ロボットも近づくだけで制御不能・測定不能になるの放射能を出しています。1986年のチェルノブイリ事故も同じ状態でしたが、チェルノブイリは位置を特定し、すべてを覆う石棺(石の墓)を作ることができました。しかし、はじめに作った石棺は放射線でぼろぼろになり、15億ユーロで新しい石棺をつくっているところです。ただし、最新のものでも100年で使えなくなるので(核物質の量が半減するためには数10万年かかる)、永遠に作り続ける必要があります。さて、目をそらしてはいけない事実を教えます。福島の地下に潜った核物質の量はチェルノブイリの3倍量で、しかも、正確な位置がわかっていません。今も大量の放射線と熱を出し続けています。どのような状態になっているのか、誰も科学的に説明できない未知のものです。科学的にわかっていることは、制御不能の核物質600トンが福島原発の地下にあり、それが行方不明であること(取り出す方法も処理方法も当然のように誰にもわからない)、人類危機の大惨事が今も続いていることです

 「原子番号2番の位置は(右上を指差して)ここになります。この位置の意味は後から説明しますが、2番は何か知っていますか?・・・とても安定している、とても軽い気体で、ディズニーランドや夜店で売っている浮く風船の中に入っているものです。この気体を吸ってから声を出すと、変な声(先生がワンポイント、変な声で説明すると喜ぶ!)になるものですが、・・・その通り! ヘリウムです。ヘリウムの元素記号はHeになります。本当は、水素のように一文字で表現したいのですが、しかし、という文字はすでに水素で使ってしまったので、ヘリウムはHの次に小さなeをつけて、(He)にします。これで大文字と小文字の意味もわかったと思います。では、みなさんもプリントに書いてください。なおヘリウムはとても安全な気体です。空を飛ぶ飛行船を見た人はいますか? あの中にはヘリウムが入っています。火をつけようとしても、ヘリウムが発火することはありません。飛行船に穴があいても、そこからしゅーっと漏れていくだけです。風船が割れて驚くことがありますが、それは大きな音がするからです。また、人体に吸い込んでも直接影響しません。ただし、口から大量に吸うことはやめましょう。肺が悪くなりなります。水分を含まないので、喉が渇くだけでなく、前に学習した肺の肺胞の粘膜がやられます。さらに余談ですが、ヘリウムを含んだ空気は軽いので、1年生で学習したように音の高さが変わります。高くなると思いますか、それとも、低くなると思いますか(先生が音程を変えて質問すると正解者続出!)!・・・その通りですね。振動数が増え、高い音になります」

表2:元素周期表におけるHとHe

水素
  He
ヘリウム
3 4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17 18
19 20  

 「3番は宇宙で一番軽い金属です。この金属は電池に使われます。高性能な電池、値段の高いものに使われています。何か分かりますか? ボタン電池や携帯電話にも使われています。・・・その通り! チリウムです。『Li』と書いてください。大文字『L』だけではなく、小文字『i』も入れて『Li』にしてください。この方が覚えやすいですね」

 「4番と5番はあまり有名ではないので、さらっと流します。4番はベリリウムで『Be』べ、です。5番はホウ素で『B』びー、です。いずれもアルファベットの『B』から始まりますが、ホウ素の勝ち、のようですね」

表3:原子番号1番から5番まで

水素
  He
ヘリウム
Li
リチウム
Be
ベリリウム

ホウ素
6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17 18
19 20  

 「次の6、7、8番は有名です。絶対に覚えてください」

 「6番は有機物の核ともいえる元素で、真っ黒です。ダイヤモンドということもあります。 ・・・正解! 炭素です。大文字のしー、『C』を書きます。カーボンという言葉を聞いた人もたくさんいると思います。ところで、ダイヤモンドは燃やすと炭になってしまうので、火事のときは持ち出してください。残念ながら燃えてしまった時は、じっくり観察しましょう。ダイヤの指輪のダイヤは炭になりますが、金やプラチナでできているリングは溶けて残っているはずです

 「7番は生物に欠かせない元素で、タンパク質を作ります! ・・・その通り! 窒素です。これも重要元素なので大文字1文字で書きます。窒素は英語でナイトゲンと言い、元素記号は『N』です」

 「8番はもっと有名で、空気中に21%あり、呼吸に使うものです。・・・その通り、酸素です。ただし、元素記号はおー、『O』です。おー・つーではありませんよ。おー、です。みなさんが呼吸に使う酸素は、酸素原子が2つ結合したものです。酸素原子1個だけでは、呼吸に利用することはできません。元素、あるいは、原子というのは、いわゆる材料みたいなもので、それだけでは物質としての特徴を持っていないものです。周期表にはおー、『O』と書いてください」

表4:原子番号1番から8番まで

水素
  He
ヘリウム
Li
リチウム
Be
ベリリウム

ホウ素
C
炭素
N
窒素
O
酸素
9 10
11 12 13 14 15 16 17 18
19 20  

 「9番、10番の名前は聞いたことはあると思いますが、元素記号は覚える必要がないので、さらっと流します。9番は歯磨き粉に入っていることがあるもので、・・・フッ素と言います。元素記号はえふ、ラージ・Fです。10番はヘリウムと同じようにとても安定した気体で、電気を流しても爆発したりしないので、昔に人は電球に入れてネオン管として、光に色をつけていましたがその気体の名前は、・・・ネオンです。ねー、『Ne』と書きます」

 「11番から13番までは有名な金属です。連続して覚えてください。ナトリウム、マグネシウム、アルミニウムです。ナトリウムはなあー『Na』、マグネシウムはまぐ『Mg』、アルミニウムはある『Al』です。少し解説をすると、ナトリウムはとてもよく反応する金属で、水に入れると爆発的な反応をすることで有名です。先生が持っているチョークひとかけらほどをプールに入れると、プールの水が半分ほどふっ飛ぶそうです。一度やってみたい実験ですが、先生はやったことも見たこともありません。マグネシウムは1年生で燃焼実験を行いました。とても眩しかったことを覚えているでしょうか。アルミニウムは1円玉の原料であり、アルミサッシとして日常的に使われています。なお、ここで小文字の書き方について注意しておきます(写真下)。(実際に黒板に書きながら)マグネシウムの『g』の位置は英語で学習した位置を基本にしてください。こんな感じで半分半分になるようにしてください。もう1つ、アルミニウムの『l』はもっと注意が必要です。(黒板に書きながら)lは数字の(いち)や英語の大文字(あい)と間違えやすいので、筆記体で書きます。練習してみましょう。大きさは簡単にそろえることができると思います(写真下)」

表5: 原子番号1番から13番まで

水素
  He
ヘリウム
Li
リチウム
Be
ベリリウム

ホウ素
C
炭素
N
窒素
O
酸素

フッ素
Ne
ネオン
Na
ナトリウム
Mg
マグネシウム
Al
アルミニウム
14 15 16 17 18
19 20  

 「14番は地球そのものをつくっている元素と言えるもので、1年生で岩石の主成分として教えたものですが覚えているかあ。水晶・石英、長石に含まれています。チャートは『二酸化何とか』、として教えましたが、・・・、その化学式も教えたと思いますが、・・・A君、その通り、ケイ素です。よく覚えていますね! さすがです。ケイ素はガラスの主成分であり、ダイヤモンドの偽物、人工ダイヤモンドを原料です。ここで周期表の仕掛けを紹介すると、縦列に並んでいる元素はそれぞれ似た性質を持っています。つまり、(炭素の列を指差して)炭素とケイ素は似たものどうしです。説明はしませんが、(ホウ素の列を指差して)ホウ素とアルミニウム、(ベリリウムの列を指差して)ベリリウムとマグネシウムも似ています。(水素の列を指差して)水素とチリウムとナトリウムと19番も似ていますが、これらは元気な男子、としておきます。元気な女子もいるのですが、これらの説明は次回しますので楽しみにしていてください」

 「15番はその上の窒素『N』と似た性質を持っていて、生物のからだをつくるのに欠かせない元素です。15番は植物の三大肥料の1つで、三大肥料とは窒素とこれとカリウムです。動物関連としては、『火の玉』の原因になる物質として有名です。夏の墓場に出る『あれ』です。本物をみた人はいませんか? ・・・火の玉は本当にあります。日本では誰かが死んだとき、遺体を燃やしてその灰を土に埋めることが多いのですが、その昔、お金がなくて十分な埋葬ができなかったこともあったでしょう。そのような場合、『この物質』が空中で燃焼します。燃焼温度が低く、60度Cだからです。暑い夏、条件がそろえば、ひゅ〜、どろどろどろ〜っと墓場で燃えるわけです。あたりが薄暗くなれば、見えるわけですね。この物質の炎の色は青白い光です。特徴的な光なので、その光は今でも『リン光』と言いますが、・・・あっっ、しまった! 今、先生が答えを言ってしまいました。ということで、原子番号15番の元素の名前は? ・・・正解、リンです。元素記号はぴー、大文字のぴー『P』です」

 「16番と17番は確実に覚えてください。16番は『S』一文字で表される元素で、性質はその上の酸素と似ています。いろいろな物質とよく化合して、嫌われることが多い元素です。例えば、金属と化合すると黒くしてしまいます。酸素との化合物は、大気汚染の原因となる気体です。それは? ・・・正解! 硫黄です。硫黄はマッチの原料としても有名で、変な匂いの原因にもなっています」「17番は大文字『C』と小文字『l』で表される元素ですが、とても有名です。必ず覚えてください。プールの匂いだったり、塩酸や食塩の原料になるものです。それは?・・・そうですね。塩素です」

 「18番の元素記号は覚える必要はありませんが、興味ある人は一度で覚えてしまうでしょう。それは、空気中に1%含まれる気体です! ・・・その通り、アルゴンです。あるぅ〜『Ar』と書きます。大気中に含まれる気体を確認しておくと、一番多いものは原子番号7番の窒素で78%、次は原子番号8番の酸素21%、残る1%が原子番号18番のアルゴンです。なお、二酸化炭素は0.04%なのでゼロといえます」

表6:原子番号1番から18番まで

水素
  He
ヘリウム
Li
リチウム
Be
ベリリウム

ホウ素
C
炭素
N
窒素
O
酸素

フッ素
Ne
ネオン
Na
ナトリウム
Mg
マグネシウム
Al
アルミニウム
Si
ケイ素
P
リン

硫黄
Cl
塩素
Ar
アルゴン
19 20  

 「20番まではあと2つですが、これらは2つとも金属です。19番はカリウム、20番はカルシウムという金属です。カリウムはいろいろなスポーツドリンクに入っているので、成分表示を見てください。とんでもない安物ドリンクでなければ、カリウムが含まれています。植物の三代肥料であることは前に話した通りです。また、カルシウムは骨の原料ですが、カルシウムは金属です。その証拠に骨は金属にように硬いでしょ! また、みなさんの歯は電気を流すことができるので、間違えてケーキについているアルミホイルを噛んでしまったとき、電気が流れるような経験をした人もいると思います。そんな経験をした人は手をあげてください! ・・・おおお、5人いますね」

表7: 原子番号1番から20番までの元素周期表

水素
  He
ヘリウム
Li
リチウム
Be
ベリリウム

ホウ素
C
炭素
N
窒素
O
酸素

フッ素
Ne
ネオン
Na
ナトリウム
Mg
マグネシウム
Al
アルミニウム
Si
ケイ素
P
リン

硫黄
Cl
塩素
Ar
アルゴン

カリウム
Ca
カルシウム
 

 以上で1番から20番までをすべて紹介しました!
 次は、それを覚える時間です。

(5)1番から20番までの発音練習(4分)
 
覚えるために必要なことは、(1)正しく発音できること、(2)正しく読めること、(3)正しく書けること(元素記号で)、(4)正しく書けること(日本語で)、(5)順番を覚えること、(6)できるだけ早く答えること、です。
 その手始めとして、全員で発音練習を行います。英語の先生がよくやる方法を真似ます!

 「それではみなさん、発音練習をしましょう。リピート・アフターミー! エイチ・水素!・・・(子どもたちがエイチ・水素!)、へ・ヘリウム!・・・(子どもたちがへ・ヘリウム!)、リ・リチウム!・・・(子どもたちがリ・リチウム!)・・・(中略)・・・、カ・カルシウム!・・・(子どもたちがカ・カルシウム!)。次にテンポを上げて、1番から20番まで同じことをくり返す・・・(中略)・・・さらにテンポを上げて、1番から20番まで同じことをくり返す

(6)1番から20番までの暗記方法(5分)
 「
1番から20番までは全て覚える必要はありませんが、今日は初めてなので教えておきます。誰か、学習塾などで教えてもらった人はいませんか? ・・・挙手している人が3人いますが、え〜と、A君に教えてもらいましょう・・・(A君が答えてから)、その他の人は同じですか?・・・(同じなら終了、同じでないなら教えてもらう)」


上:A君の覚え方を板書したもの

水(1素)
兵(2リウム)
リー(3チウム)
ベ(4リリウム)
ぼ(5:ホウ素)
く(6:炭素)
の(7窒素Nと8酸素Oで、
ふ(9ッ素)
ね(10オン)
名(11トリウム)
前(12グネシウム)
ある(13アルミニウム)
シッ(14Si:ケイ素)
プ(15:リン)
ス(16:硫黄)
クラ(17Cl:塩素)
ーア(18Ar:アルゴン)
ク(19:カリウム)
か(20Ca:カルシウム)

 「黒板に書いてみると、こんな感じなります。水兵は水兵で、リーベは人の名前です。外国人みたいですね。その水兵さんが船を持っているのですが、自分の船に名前をつけています。みんなが自分のペットに名前をつけることと同じです。おい犬、猫、では変ですからね。で、次のシップスですが、英語でシップは船を表します。したがって全体を通すと、リーベという人がクラークという船を持っている、という意味になります」

 「しかし、先生はこのような覚え方をしません。白紙を用意して、そこに表の形から全て書きます。大切なことは、元素には規則があり、それらが周期的に同じような性質を持っていること、その性質や特徴に合わせた表が周期表であることが大切です。さらに、周期表の隣りにある元素より、上下にある元素の方が似ていることを知ることが重要です。したがって、先生は表の形と元素名を丸ごと覚えます。そうでなければ、元素周期表の価値はありませんから・・・。でも、ま、とりあえず1番から20番まで覚えていることはそれなりの価値がありますから、非常用手段として覚えておくことも悪くないでしょう」

(7)20番より大きな金属(4分)
 「20番より大きな金属をいくつか紹介します。いくつか、というのは金属がとてもたくさんあるからです。宇宙に存在する元素92種類のうち、金属は70種類を占めます。つまり、金属が70種類で、金属ではないものが22種類です。さて、まず覚えて欲しいのは銀です。銀は原子番号47番ですが、カリウムの下に書いてください。番号は覚える必要がありません。位置を覚えてください。カリウムの下、表の左端です。ここで表の一番左端に並んでいる元素の性質と紹介しますと、この子たちは『元気な男子』のような性質を持っています。表の右側の方に『女子』が並んでるのですが、左端にある水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀は積極的で元気な男子です。詳しい説明は次回行います。興味ある問題だと思いますが、他にも紹介したい『男子』、すなわち、2列目に並んでいる金属がたくさんありますので、本日のところはお静かにお願いします!」

 「2列目に並ぶ金属はたくさんありますが、みなさんに紹介したいのは6個です。教科書の裏表紙ある元素周期表を見なさい。自分で調べてもらいます。・・・(生徒全員が開いたことを確認したら)原子番号26番は何か、表から調べなさい。誰でも知っている金属です。・・・その通り! 鉄です。元素記号は・・・その通り、Feです。もう1つ調べてもらいます。原子番号29番は?・・・その通り! 銅です。元素記号は・・・Cuですね。では、同じようにして原子番号30番、56番、72番、92番を調べてプリントに書きなさい。全部書けた人は、挙手しなさい。先着10名のみ、先生が確認させて頂きます」


上:Bさんの学習プリント

(8)高校入試に出る元素記号16種類(5分)
 「みなさんに紹介したい表が完成したところで、入試に出ないものを消します。消したくない人はそのままにしておいてください。次回から連続して小テストを行いますが、そこでは消した表を使うので、表に×をつける必要はありません」


上:入試のために覚える必要がない元素を消したもの

 以上で授業前半、元素周期表に関する授業はおしまいです。ここまでの所要時間は30分です。それ以上になってしまった場合は、5分の休息時間を取ると良いでしょう。わずかな休息時間をとってから、授業後半の始まりです。予定時間は10分です。

(9)希ガスの紹介(3分)
 周期表右端に位置する元素たちは、希ガスではなく『貴ガス( noble gas)』として教える方が適切な時代になってきていますが、私の授業では希ガスとして紹介しました。
 「希ガスの意味を紹介します。希(き)は希(ま)れ、珍しい、という意味です。ガスは気体です。したがって、希ガスとは『珍しい気体』という意味です。希ガスの位置は、元素周期表の右端です。教科書の表を見ると、6種類あります。では、発音練習。リピート・アフターミー。ヘリウム・・・(
子ども:ヘリウム)、ネオン・・・(子ども:ネオン)、アルゴン・・・(子ども:アルゴン)クリプトン・・・(子ども:クリプトン)、キセノン・・・(子ども:キセノン)、ラドン・・・(子ども:ラドン)。よくできました。が、これらは特に覚える必要はありませんが、いずれも安定した気体で有名なものもあります。アルゴンは空気中に1%存在します。原子番号90番のラドンは健康によい『ラドン温泉』のラドンなのですが、・・・誰も知らないようですね。さすがは中学生! がっかりですが、みなさんもおじいさんおばあさんになったら興味が湧いてくるでしょう」

(10)金属の復習(5分)
 金属は1年生で学習したので、さらっと復習します。
 「金属はたくさん紹介しましたが、とくに覚えて欲しいものは、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、鉄、銅、亜鉛、銀、バリウムです。さて、ここで1年生で学習した金属の特徴を復習しましょう。覚えている人は挙手してください!・・・はい、A君、・・・(以下省略)」


上:希ガスと金属に関する板書

(11)感想、まとめの時間(5分)
 この時間を利用して、これから連続3回、元素周期表の小テストを行うことを予告します。宿題とは言いませんが、興味ある子どもは満点が取れるように家庭学習をしてくるはずです。また、小テストで間違えたものは10回ずつプリントに書くことも予告しておくと良いでしょう。


上:A組での板書(クリックすると拡大します


◎ 生徒の学習プリント

上:Aさんの学習プリント(クリックすると拡大)


上:Bさんの学習プリント(クリックすると拡大)


授業を終えて
 ふー、授業ではなくてこのページを記録することが大変でした。授業は子どもたちの顔を見ながら最適な言葉・内容を探しながら進めていくのであっという間に時間が過ぎていくのですが、それを誰が読んでも楽しいように書くのは時間がかかります。とくに、ページ後半は読み直し時間が短くなりました。読みずらかったり誤植が多かったりますが、お許しください! 

関連ページ
単体と化合物(2年、2003年)
分子と原子(2年、2000年)

参考資料
元素と原子の違い

実践ビジュアル教科書『中学理科の化学

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