このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 年(2017年度)です

第58時

実験8 露点の測定 

2017 11 10(金)
普通教室

はじめに
 露点の測定はいとも簡単にできる実験ですが・・・忘れていたようです、すっかりと。どんな実験なのか興味ある方は別年度の実践『実験1露 点2年(2000年)』『実験1露点の測定2年(2003年)』をご覧ください。10分程度の実習を授業前半に行うことで、理解がぐっと深まると思います。

 気をとりなおして、今日の学習『露点』を構成する上で考えていたことを紹介します。

 それは露点ではなくて、湿度です。子どもたちは『手作り湿度計で湿度を求めよう!』で水の気化速度から湿度を求められることを学んでいます。私はもう1つの湿度の求め方として、露点測定を取り上げようと考えました。つまり、露点は『湿度100%になる温度』なので、露点と気温から湿度を求めさせようとしたのです。

 オーガスト乾湿計と露点測定装置。それら2つのモデル図を並べて描くことで、水蒸気と水のイメージ、および、水滴(露)のイメージが強化されると考えました。同時に、『飽和差水蒸気量曲線から湿度を求める方法』の復習もできる、と考えました。


図1:本時の学習プリント(クリックすると拡大します)


本時の目標
・オーガスト乾湿計の復習をする
・結露という現象が起こる原理を理解する
・露点と気温から、湿度を求めることができる

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)今日の天気図(3分〜5分)

(3)露と露点(1分〜3分)
 下図2のように、ごく簡単に紹介&まとめます。


図2:露と露点に関するまとめ

(4)湿度の求め方は3つはある(15分〜20分)
 湿度の求め方はたくさんあります。デジタル表示の湿度計なら数値を読むだけ、オーガスト乾湿計なら乾球と湿球から求めることができます(『手作り湿度計で湿度を求めよう!』)。が、今日はもう1つ追加します。それは、氷を入れて温度をどんどん冷やしていったコップの表面を観察し、表面に水滴(露)ができた温度から求める方法です。 下図3をご覧ください。


図3:左はオーガスト乾湿計、右は露点の測定

 右の露点について、話をしましょう。

露点の測定方法
 
露点の測定方法は簡単です。コップに水、そして、氷を入れます。氷を入れた水はどんどん冷えていきますが、ある温度になると、コップの表面に水滴がつくようになります。その水滴を露(つゆ)といいますが、露がつき始めた温度を露点といいます。温度はピンポイント(ある一点)で決まるので『露の点』、すなわち、露点というわけです。

測定の手順
(1)200mLのステンレス製(熱伝導率の高い)コップを用意する
  ※ガラスのビーカーでも代用できる
(2)コップの表面にセロハンテープ(断熱材)を貼る
(3)コップに水120mLを入れる
(4)コップに氷1個(少量の方が良い)を入れる
(5)温度計を入れる
(6)ゆっくり(全体が同じ温度になるように)かき混ぜる
(7)コップの表面全体の露がつき始めた温度を測定する

よくある失敗&解決策
(1)氷がコップの内側に付着すると、そこだけが冷えて露ができる
(2)氷は、小さいもの1個からはじめ、
(3)全部溶けたら、次のものを追加させるようにする。
(4)理想的な実験をしている場合、コップ全体の温度は均一になるので、露ができたかどうかわかりにくい。そこで、セロハンテープ(断熱材)との境界線に注目させるとよい。セロハンテープはケチケチ貼るのではなく、たくさん貼る。

授業実践については別ページ『実験1露点2年(2000年)』『実験1露点の測定2年(2003年)』をご覧ください。

 

露点から湿度を求める方法
 露点=湿度100%の温度、です。この温度と現在気温を使えば、次の計算式で求めることができます。

 湿度=露点から求めらた水蒸気量 ÷ 気温から求められた飽和水蒸気量
 湿度=現在量 ÷ 100%の量

気温と湿度から、露点を求める
 本年度はうかつにも露点の測定を忘れてしまいましたが、次のように露点を予測してから、露点を測定すると面白いと思います。予想通りなら、高い満足が得られれることと思います。先生の演示実験なら、大きな拍手がもらえるでしょう。


図4:気温と湿度から、露点を求めるための説明図

 図4の左では、オーガスト乾湿計で測定した結果、湿度72%であることがわかったことを示しています。次に、図4の右では、飽和水蒸気量曲線があります。現在気温20℃の場合、飽和水蒸気曲線は、飽和水蒸気量が19.3gであることを示しています。もし、湿度72%であることがわかっている場合、次の計算をします。
   17.3g×72% = 17.3g×0.72 = 12.5g

 12.5gは、現在の空気に含まれている(1立方メートルあたりの)水蒸気量です。したがって、上図4の右にあるように、現在気温20℃の72%(12.5g)の位置から間左に線を伸ばし、飽和水蒸気量曲線とできた交点が露点、になります。


図5:ここまでの板書

(5)練習問題 (10分〜15分)
 下図6のような練習問題を行い、理解を深めます。


上:気温、湿度、露点に関する練習問題

(6)本時の感想、考察 (5分)

===B組での板書===

上:B組での板書その1


上:B組での板書その2

 


授業を終えて
 今日をもって、湿度・露点に関する一連の学習が終わりました。計算問題もやりましたが、かなりゆっくり進めたこともあり、飽和水蒸気量曲線についても十分に理解できた子どもがたくさんいたと思います。

関連ページ
実験1露 点2年(2000年)
実験1露点の測定2年(2003年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の地学

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