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第67時
観測15 よく見かける温帯低気圧
低気圧が近づいた時の天気予報2017 12 8(金)、12(火)
普通教室はじめに
日本人が学習すべき低気圧は2つあります。1つは日本でよくみかける温帯低気圧、もう1つは台風としてやってくる熱帯低気圧です。その他、すでに学習した小規模な低気圧を合わせ、以下の3種類に分類することは子どもの頭を整頓することになるでしょう。日本の子どもが学習すべき低気圧
名 称 特 徴 1 温帯低気圧
(本時)・よく見かける低気圧
・温帯の日本付近で発生する
・偏西風にのって、西から東へ移動する
・寒冷前線と温暖前線がある
→ 2つの前線(寒冷前線、温暖前線)
・北は寒気、南は暖気
・寒気が暖気に追いつくと閉塞前線になり、消滅
・雨域は前線を見ればわかる2 熱帯低気圧
(次時)・風速17m/秒以上に発達したものを台風(タイフーン)という
→他の地域ではハリケーン、サイクロンという
→暴風は、風速25m/秒以上
・熱帯(フィリピン付近)で発生
・自分では動かず、進路は周囲によって決まるので不明瞭
・日本には夏〜秋に来ることが多い
・低緯度では貿易風、中緯度では偏西風に流される
・暖気だけなので、前線がない3 小規模な低気圧 ・空気が温められ、上昇気流ができることで発生することが多い
→ 小規模な低気圧による海陸風なお、本時の学習内容については14年前の実践『低気圧の誕生から消滅2年(2003年)』もご覧ください。
図1:本日の学習プリント(クリックすると拡大します)
本時の目標
・日本でよく見かける温帯低気圧の成因を理解する
・温帯低気圧の誕生から消滅までのモデル図を書く
・温帯低気圧の前線、および、雨域を理解する
・閉塞前線ができると、温帯低気圧は消滅することを理解する
・温帯低気圧付近の天気予報ができるようになる準 備
生 徒 教 師
- 教科書
- 理科便覧
- ファイル
- 色鉛筆
- 本日の学習プリント(1 /人)
授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)(2)本日の天気図(2分〜5分)
本時の学習は盛り沢山なので、さくっと終わるようにしましょう。温帯低気圧がある場合は、「授業の終わりには、この低気圧がどちらに動いて、雨が降っている地域がどこになるか、大まかな天気予報できるようになりますよ」と動機付けし、最後にまとめとして扱うほうが効果的です。もちろん、過去の天気図から典型的な温帯低気圧を選んで用意しておいてもよいでしょう。
図2:学習プリントの裏に印刷した4日間連続の天気図
寒気は北(上)、暖気は南(下)です。3日間連続して見ると、暖気の範囲が小さくなっていくことがわかります。これは、寒冷前線が速いので、暖気の範囲を狭くしていくからです。この後、寒冷前線が温暖前線に追いつくと、暖気の範囲はなくなり、低気圧そのものが消滅します。また、低気圧の中心の位置を4日間連続して見ると、右から左へ移動していることがわかります。以上の内容は、授業のまとめとして行うと良いでしょう。(3)温帯低気圧の一生 (20分)
指導内容・方法については、別年度の実践『低気圧の誕生から消滅2年(2003年)』をご覧ください。
図3:温帯低気圧の一生に関する板書(A組、クリックすると拡大します)
(4)温帯低気圧付近の天気予報(15分〜分)
指導内容・方法については、別年度の実践『低気圧の誕生から消滅2年(2003年)』をご覧ください。(5)本時の感想、考察 (5分)
授業を終えて
温帯低気圧は、北の寒気と南の暖気の境界線で生まれます。この線は停滞前線ということもできますが、とても弱く、簡単に消失します。消失する原因は、地球の自転によって生じるコリオリの力です。すなわち、停滞前線の中で一番弱い部分(気圧の低い部分)が中心となり、寒気と暖気が回転するように押し合います。停滞前線が寒冷前線と温暖前線に変わる、と考えることもできます。そして、寒冷前線が温暖前線に追いつくと、寒気と暖気の温度差がなくなります。これを低気圧の閉塞といい、閉塞した前線を閉塞前線といいます。関連ページ
低気圧の誕生から消滅2年(2003年)実践ビジュアル教科書『中学理科の地学』
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