このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 3年(2018年度)です

第49時
実験5 寒天培地で微生物を培養する

     2018 10 2(火)、4(木)
     第2理科室

はじめに
 土の中で生活する顕微鏡レベルの生物(菌・細菌)を培養します。本時の実験は、完全な操作から程遠いものですが、それでも最先端のバイオテクノロイジーの基礎操作を体験させることは、大きな価値あると思います。

 培養にはシャーレを使いたいところですが、実験後の処理が大変です。未知の微生物コロニーができる可能性があるので、洗浄が難しいからです。そこで、シャーレで型どったアルミホイルを使います。実験後はそのままビニール袋に入れて密封し、可燃ゴミとして廃棄します。その他操作は簡単ないので、ぜひ、全国の学校で行ってもらいたい実験の1つです。

 寒天培地は2つ作ります。1つは焼いた土、もう1つそのままの土を入れます。数日間放置すれば、微生物がコロニーにみらるようになります。繁殖スピードは条件の大きく左右されるので、先生は随時チェックし、最適なタイミングで次の時間を設定してください。次時に行うことは、コロニーの観察&ヨウ素液反応です。

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かび(菌類)の観察3年(2001年)
実験1 土の中の生物の呼吸3年(2001年)


図1:燃焼皿で土を加熱させながら、バットの土を観察する生徒
実験台の上には、シャーレで型どったアルミホイルがある


本時の目標
・寒天培地をつくり、顕微鏡レベルの微生物のコロニーをつくる準備をする
・『そのままの土』と『焼いた土』の培地をつくる
・できる限り無菌状態になるように注意する

準 備

生 徒 教 師
  • 教科書
  • 理科便覧
  • ファイル
  • 本日の学習プリント(1 /人)
  • 前回の生物入りバット(1 /班)
  • アルミホイル(適量 /班)
  • 燃焼皿(1 /班)
  • ガスバーナー(1 /班)
  • 三脚(1 /班)
  • 金網(1 /班)
  • ピンセット(1 /班)
  • サランラップ(適量 /班)
  • 寒天粉末(40g)
  • 1000mLビーカー
  • ガラス棒

授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)

(2)寒天培地(5分〜7分)
 寒天粉末、デンプンを紹介してから、それらを熱湯に入れます。一気に投入するとかたまりができるので、少量ずつ溶かしてください。この作業は授業冒頭に行えば、配布時には適度に冷めていると思います。


図2:演示操作で作ったデンプン入り寒天溶液
 溶液の濃度は、教科書の指定どおりで良いでしょう。ただし、一気に大量に作るのは大変なので濃度2倍の溶液をつくり、それを温水で2倍に薄める方法がおすすめです。

(3)実験手順&結果(8分〜10分)
 寒天培地にデンプンを入れるのは、ヨウ素液で調べるためです。デンプンがあれば青紫色、なければ黄色(変化なし)です。


図3:実験手順&結果

 実験結果については、単純な勘違いをする子どもが多数います。2択問題として全員に考え、挙手させるようにしてください。

問題:ヨウ素液が青紫色になるのは『そのままの土』ですか、それとも『焼いた土』ですか。

 読者の方もお考えください。

 考える鍵をお渡しします。ヨウ素液はデンプンがあると青紫色になります。微生物はデンプンを使って生活しています。


図4:同上

答:ヨウ素反応があるのは『焼いた土』です。

 『焼いた土』は微生物が死滅しています。したがって、デンプンを分解することができないので、ヨウ素反応が起こります。『そのままの土』は微生物がデンプンを食べてしまうので、ヨウ素液が反応しません。

(4)生徒実験 (20分〜30分)
 燃焼皿に載せる土は、ごく少量です(図5)。


図5:土を燃焼皿にのせて加熱する


図6:加熱中の土を観察する生徒


図7:同上
 あっ、焼き芋のような匂いがしてきた。

先生の仕事:寒天溶液を入れてまわる
 子どもたちがアルミホイルの皿を作ったら、デンプン入り寒天溶液を入れて回ります。溶液の温度は人肌以下になっていると良いです。温度が高いと寒天が固まらないからです。子どもたちには、寒天を冷ますために、下敷きで煽ったり、時々容器の位置をずらすように指示します。容器の位置をずらすことで、机に熱を移すことができるからです。


図8:寒天培地に焼いた土を載せる


図9:載せる量は、ごく少量でよい


図10:次に、そのままの土を載せる


図11:左はそのままの土、右は焼いた土


図12:記念撮影


図13:それらの上から、ラップをかける


図14:ラップをかける様子


図15:できたら、提出

(5)本時の感想、考察 (5分 )


授業を終えて
 楽しい時間でした! 次は「寒天培地の観察&デンプン反応」になりますが、コロニーができるまで他の学習をします。コロニーができたかどうかは、先生がつくった『そのままの土』の培地でチェックしてください。繁殖速度はちょっとした条件の違いで大きく変わるので、毎日チェックするようにしてください。もちろん、土によっても大きく変わります。私の授業のように全ての班が違う土を使っている場合は、条件&繁殖スピードが違います。→ 寒天培地の結果

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