このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録> 3年(2018年度)です |
第14時
実験 3つの力つり合い(テスト前調整)2018 5 16(水)
第3学習室はじめに
1学期中間テスト直前になり、クラス間の時間調整が必要になりました。そこで、自習用プリント「力の作図問題」を用意し、遅れているクラスに不公平が出ないようにしました。内容はこれまでの復習ですが、新しく追加したものが1つありますそれは、3つの力を合成する問題です。教科書にない内容ですが、 指導方法を後述します。また、何か実験をしたい生徒のために、『3つの力のつり合いに関する自由実験』を用意しました。これは教科書に掲載されているものですが、私は意図的に省略しました。カットした理由は、(1)中学3年生にとって簡単すぎる、(2)誤差が生じやすい、の2点です。
この実験は、かつて(10年ほど前)、中学1年生で行っていましたが、誤差が多く、こじつけ的な実験になっていました。誤差が生じる理由を特定できればよいのですが、原因がたくさんあるので科学的な実験になりにくいものでした。
今回は希望者のみに行う方法をとることで、きめ細かい指導ができました。その結果、実験をした生徒は比較的良好な結果が得られたのではなかと思います。
関連ページ
『物体に働く2つの力(平行四辺形を作図して合力を求める)2004年度』
『斜面上の物体に働く重力を分解する2004年度』
『物体が斜面上を滑り落ちようとする力2004年度』
上:自主的に『3つのつり合い』を調べる生徒たち
本時の目標
・1学期中間テスト範囲をもれなく確認・点検する
・3つの力の合成方法を理解し、できるようにする
・3つの力のつり合いについて再確認する
準 備
生 徒 教 師
- 教科書
- 理科便覧
- ファイル
- 本日の学習プリント(1 /人)
- 力のつり合いの測定ボード(1/班)
- 2Nばねばかり(2/班)
- 輪ゴムセット(1/班)
授業の流れ
(1)本時の授業内容の紹介 (1分)(2)力の合成と分解に関する自習プリント(10分〜30分)
作図問題プリントを用意し、配布しました。 できる生徒は10分弱で終了するものです。このプリントには、授業で指導していない3力の合成問題があるので、配布してから数分後に、以下(3)を行いました。(3)3つ以上の力の合成(3分〜5分)
現行の教科書には記載されていませんが、力の合成を学習するなら、3つ以上の合成も簡単に学ぶことができます。時間に余裕があれば、理解を深めるために20分程度使って指導したいものです。ただし、週4時間でもゆとりはないので、文科省のみなさんは欲張らないようにご注意ください。今回は、テスト直前の時間調整のために行ったものです。生徒の理解度は高く、約5分で終了しました。
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上:力A、B、Cの合成を解説するための板書
「右図はプリントの問題です。これは3つの力A、力B、力Cを1つの力に合成する問題です」 「まず、力Aと力Bを足しましょう。すると、右図のようになります。できた合力に、A+Bと書きます。」 「A+Bに、Cを足せば答えがでます。つまり、A+BとCで平行四辺形を書きます。すると、右図オレンジ色のようになるので、3つの力の合力A+B+Cはその対角線になります」
「以上は、A、B、Cの順に足していきましたが、実は、どのような順序で足しても結果は同じになります。BとCを先に足しても、CとAを先に足して同じです。試しに、BとCを先に足す場合を紹介して、先生からの解説を終わります」 「(右隣に力A、B、Cを素早く書いて)BとCを足すと、右図のようになります。B+Cと書いておきます」 「B+Cに、Aを足せば答えがでるので、B+CとAで平行四辺形を書きます。すると、オレンジ色のようになりますが、これは先に作図したものと同じです」 「つまり、3つの力を合成する場合、順番は関係ありませんので、作図する前に作戦を立ててください。順序良く合成してけば、簡単にできる場合があります。また、4つ、5つの力を合成する場合も同じです。順序良く作図してください」
「たまにある間違いは、A+BとA+Cを足し算してしまうことです。すると、(A+B)+(A+C)=2A+B+C、となり、間違った答えになります。
上: 別クラスでの板書(ほどんど同じ解説でした!)(4)生徒実習:3つの力のつり合い (10分〜20分)
この実験を成功させるポイントをいくつか紹介します。
→ 上:専用ボードを使って調べる生徒
実験上のポイント
(1) 輪ゴムではなく、バネで行うボードを立てる
(2)バネが台紙とこすれないようにする
(3)ばねはかりが台紙とこすれないようにする
(4)ばねはかりの誤差を確認しておく
上:1本のばねばかりで、初期設定をする生徒
(5)写真は輪ゴムですが、200g用(2N用)のバネを使うべきです。
(6)初期設定は『ばねばかりが200g重(2N)になる位置』にバネを固定すること、ですが、それが大変です。先生も生徒もがんばってください。
(7)基準になる位置は、とても正確にしなければいけません
(8)ばねばかり1本はできても、2本になると『基準の位置※』がずれます。
※基準の位置=3つの力の始点
上:左右の角度を変えて、2つの力の大きさを測定する生徒
(9)左右同じ角度の実験は、面白くありません
(10)やるなら、写真上のように左右の角度を変えて測定してください
(11)左右のばねはかりの延長線を『3つの力の始点』になるようにします
(12)ばねはかりの値を使って平行四辺形を書かせてください
(13)どのような角度でも、すべてはじめの基準と同じになります(5)本時の感想、考察 (5分)
授業を終えて
3力の実験は、測定値から平行四辺形を作図して合力を求めるところまでできれえば面白い、と思います。しかし、実際は誤差が多くて残念な結果になります。しかも、誤差の原因が不明瞭なので中学1年には適していません。3年生にとっては面倒なわりに得るものが少ない実験なので、割愛するべきでしょう。実施するなら、本時のように希望者のみにするか、先生の演示実験にすると良いでしょう。関連ページ
実践ビジュアル教科書『中学理科の物理学』
第1章 量と単位 単位には意味がある p.8 国際単位系(SI単位系) p.8 第3章
ニュートンの運動の3法則時間の矢 p.44
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(C) 2018 Fukuchi Takahiro