このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第46時
実験22:最高に濃い食塩水をつくろう

     2012 10 11(水)、17(水)
     理科室

はじめに
 最高に濃い食塩水を作り、味わったり触ったりしましょう。もちろん、メインの目的は違います。飽和水溶液中の溶質をモデル図で描き、平衡について理解することです。復習として、最高に濃い食塩水の濃度(%)も計算します。そして、次時『実習23:溶解度曲線』へつなげていきます。

他年度の実践
実験15 飽和水溶液と再結晶 1年(2002年)
実験3 溶解度を測る 1年(1999年)
溶解度 2 1年(1999年)


上:代表生徒による最高に濃い食塩水(食塩の飽和水溶液)をつくる実験 


本時の目標
 最高に濃い食塩水(食塩の飽和水溶液)をつくる
 同上を味わったり触ったりする
 同上の質量パーセント濃度を計算し、求める
 平衡状態のモデル図を描き、飽和水溶液を正しく理解する
 食塩水溶液から食塩を再結晶させる準備をする

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書、理科便覧、ファイル
  • 食塩(100g/班)
  • ペットボトル
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • シャーレ
  • サランラップ
  • 食 塩       (演示実験用)

授業の流れ
(1) 本時の内容紹介  (1分)

(2) 最高に濃い食塩水は100%か? (2分)
 「最高に濃い食塩水は100%か?」 クラス全員に挙手させたところ、大半の生徒が正解でした。約半数の生徒が間違えるだろうと予想していた私はがっかりですが、前回の授業を良く理解していたのでしょう。これは喜ぶべきことですね。


上:A組の板書、および、生徒の考え方

 100%ではない理由は簡単です。生徒から考えを募集すれば、すぐに出てきます。

(3) 最高に濃い食塩水は何%か? (5分)
 最高に濃い食塩水の濃度計算はやっかいです。それでも、今日はこれ1問だけなので、全員に解かせてください。


上:B組の板書

指導の手順
:水と食塩、それぞれの質量(g)が必要
:水を基準として、水100gのときの食塩(g)を調べさせる
:食塩の量は、教科書や資料集で調べるより他に方法はない
 → テストの問題用紙には食塩(g)が印刷されているはず、です!
:水の温度によって食塩(g)は変わるが、本日は20度Cとする


上:教科書で食塩の溶解度(20度C、H2O -100g)を調べる様子

:その後の計算は、前時と同じ
 → 本時はB組の板書を参照

(4) 大量の食塩を水に溶かそうとした時のモデル図 (10分)
 学習プリントに印刷しておいた3つの流れ図を完成させます。ポイントは、食塩の粒の数と大きさが変わらないことです。このモデル図を描く目的は、平衡状態のモデル図を正しく描くことで、飽和水溶液を正しく理解することです。


上:A組の板書

指導の手順(飽和、平衡状態を示す)
:初めのビーカーに水を入れます
:1のビーカーに食塩の粒を24(6×4)個書きます
:1の食塩は、自然に溶解していく様子を矢印で表します
 → 溶解は、拡散として指導しても良い

:2つめのビーカーに食塩の粒が12個溶解し、12個そのままでいる状態を書きます
:溶解した粒が自由に動いている様子を矢印で表します

:3つめのビーカーに自由に動いていた食塩の粒が戻る様子を矢印で表します
の粒と入れ代わるように、別の粒子が溶解する様子を矢印で表します
 → A組の板書では、粒2個が出入りしている
 → これが飽和(限界の状態)であることを知らせる
 → この状態を平衡、ということを知らせる


上:B組の板書


上:C組の板書

(5) 最高に濃い食塩水をつくる代表生徒による実験 (10分)
 自宅から100g/班の食塩を持参させたクラスは、班単位の実験を行わせました。500mlペットボトルに、水300gと食塩100gを入れ、栓をしてからシャッフルすれば出来上がりです。私が連絡を忘れてしまったクラスは、代表生徒による実験を行いました。以下に、代表生徒による実験の様子を紹介します。


上:シャッフルする順番を待つ生徒達

最高に濃い食塩水(26%)をつくる手順
:500ml丸底フラスコを用意する
:フラスコに水350mlを入れる
:食塩150gをビーカーに入れ、それをフラスコに入れる
 → 水と食塩の量はいずれも適当で良い
 → 食塩が少し残る程度にする
:ここで代表生徒を募集する
 「バーテンダーのようにカッコ良くシャッフルしてくれる人はいませんか!」
:代表生徒を前に整列させる
:フラスコの口を手でふさぎ、シャッフルさせる
 「液体が飛び散ったり、疲れて止ったら次の人と交代です。」


上:同 上

:最後は先生が振る
:放置し、その上澄み液をとる
 → 撹拌直後は気泡で真っ白でも、放置すると1分もしないうちに気泡が上に抜け、過剰な食塩が沈澱し、無色透明の水溶液ができる。これが食塩の飽和水溶液(26%)である。

(6) 食塩を再結晶させる準備をする (3分)
 各班シャーレを1つずつ容易させ、シャーレに最高に濃い食塩水(飽和食塩水、26%食塩水)を配付します。これを放置すれば食塩が再結晶しますが、食塩水の水を自然蒸発させる時間が必要です。ほこりが入らない場所に置き、次の授業まで放置します。

(7) 最高に濃い食塩水を味わう (2分)
 シャーレに配付した食塩水は、各班の実験台中央に置かれることになるでしょう。そこで、ごく少量の最高に濃い食塩水を味あわせてください。手を洗ってから指でとれば十分です。触った時の触感も調べさせましょう。再結晶をつくるために不純物が混じるのは良くありませんが、それより生徒に五感を使わせることの方が大切です。


上:理科室の窓際のテーブルに食塩水を置き、「最後にもう1口」と食塩水を指にとる生徒
 シャーレの下にろ紙を敷きます。これに班の代表者の名前を書かせておくと良いでしょう。また、シャーレを置いた場所が埃っぽい場合は、シャーレ集団の上にサランラップをふわっ、とかけておきます。密閉すると水が蒸発できないことは、みなさん分かりますよね。


上:顕微鏡用の戸棚のすき間に2日間放置させたクラスの生徒
 シャーレの中には、食塩の再結晶が見られます。この観察は、次の時間の授業記録『実習23:溶解度曲線』をどうぞ


上:黒板右端に、食塩の再結晶をさせる方法を図示した黒板

(8) 後片付け、本日の考察 (5分)
 食塩水溶液から食塩を再結晶させる方法は2つあります。1つは水を蒸発させる方法、もう1つは水溶液の温度を変える方法です。今日の方法は前者、すなわち、水溶液を放置して水を自然蒸発させる方法(水溶液を加熱して水を飛ばす方法もある)ですが、時間切れでまとめることができませんでした。次の時間に観察する時にまとめます。


上:再結晶した食塩の観察記録を書き加えたD君の学習プリント(クリックすると拡大)


上:E君の学習プリント(クリックすると拡大)


授業を終えて
 最高に濃い食塩水をつくり、それを触ったり舐めたりすることは重要です。べたべたする感触、激塩から味を体験することは日常生活ではありませんからね。もちろん、本日の授業の目的、食塩の粒のモデルを使って飽和食塩水をイメージさせることも達成できたのではないか、と思います。それを実感した瞬間は、シャーレからこぼれた食塩水を雑巾でふいた時、ふいた後に食塩が再結晶して白く汚れたようになった時です。どの実験台からも「あ、塩がでてきた」の声が聞こえました。雑巾を洗い、何度か拭き直している生徒の頭の中には、食塩粒子がどこにどれくらいあるか、イメージされたいことでしょう。舐めたり触ったりすることで、目に見えない小さな食塩の粒1つひとつがイメージできるようになるのです。

関連ページ
実験15 飽和水溶液と再結晶 1年(2002年)
実験3 溶解度を測る 1年(1999年)
溶解度 2 1年(1999年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の化学
第6章 水溶液  最高に濃い食塩水をつくろう
 食塩は、水100g(20℃)に35.8g溶けます。最高に濃い食塩水を
作り、1滴なめてみましょう。海水より10倍濃い辛さ体験です。
 実践ビジュアル教科書『中学理科の化学』p.104から抜粋
p.104
飽和と平衡と再結晶 p.105
食塩の結晶をつくる p.106、p107

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実習21:水溶液の濃度

→ 第46-2時
観察22':再結晶した食塩の観察

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