このページは、Mr.Taka 中学校理科の授業記録 1年(2012年度)です

第46-2 時
観察22':再結晶した食塩
、および、濃度と溶解度の復習

     2012 10 中旬
     理科室

はじめに
 授業時間の通し番号を入れ忘れたので、第46-2 時としました。同僚の先生が作成された練習問題『濃度と溶解度の復習』を入れたからです。定期テスト対策のために時間をとったのですが、うっかりしました。なお、練習問題の内容とその対策は、このページで紹介しません。表題の『再結晶した食塩』の授業内容を記録します。

 なお、観察した食塩の再結晶は、前時『実験22:最高に濃い食塩水をつくろう』で準備した飽和食塩水からつくったものです。シャーレに入れて放置した時間はクラスによって違い、1〜5日の幅があります。2回観察したクラスもあります。さらに、本時の練習問題を飛ばし、次時『実習23:溶解度曲線』の前に観察させたクラスもあります。


上:5日間放置し、水が蒸発してできた食塩の結晶


本時の目標
1 再結晶した食塩を観察・記録・スケッチ、および、採取・標本にする
2 再結晶の方法2つをまとめる

(問題プリントを使って、濃度と溶解度の問題が解けるようにする)

準 備
生 徒 教 師
  • 筆記用具
  • 教科書、理科便覧、ファイル
  • 本日の学習プリント (1/人)
  • ルーペ
  • ピンセット
  • セロハンテープ

授業の流れ
(0) 各班のシャーレの準備
 
 始業前、理科室に入ってきた生徒に、自分の班のシャーレを実験台中央に移動させます。その時、できるだけ静かに運ぶように指示しましょう。水面に浮いている食塩の結晶があるからです。揺すると沈んでしまいますが、なぜ、表面に結晶ができるのか科学的に考えるチャンスです。


上:視線を低くし、水面に浮いている結晶を観察する生徒

 飽和食塩水の水が蒸発する場所は、その水面です。また、水面に小さな埃が入ることで、それが『核』になって再結晶するのではないか、と思われます。

(1) 本時の内容紹介 (1分)

(2) 食塩の再結晶の観察、スケッチ (10分)
 生徒観察の時間を10分とります。長いように感じますが、生徒達は熱心に観察・記録・スケッチしていました。


上:前時の実験結果をまとめさせるための板書

指導のポイント
:2つのシャーレを書き、放置前と放置後をスケッチさせる
:放置前のシャーレは、無色透明の食塩の飽和水溶液
:放置前後で、飽和食塩水の量に差をつける
:放置後にできる食塩の結晶は、サイコロのような形
:結晶の大きさ、結晶ができている場所も記録する


上:2回観察させ、水がすべて蒸発したものを観察させる時の板書

指導のポイント
:前の流れ図に追加し、3段階とする
:もちろん、初めから3段階準備しておいても良い
1)
食塩の飽和水溶液
2)
水が半分蒸発したもの
3)
水が完全に蒸発したもの


上:熱心に観察する生徒達


上:実験台の上に置かれたシャーレとA君の学習プリント

食塩の採取・標本づくりのポイント
:できるだけ大きくて形の良い、無色透明ものを選ぶ
:水中(食塩の飽和水溶液中)にあるものでも良い
:空気中の水分で形が溶けることがあので、セロハンテープで密閉する
:密閉したものを学習プリントに添付する


上:完全に水が蒸発したものの中から結晶を選び、学習プリントに添付する生徒


上:ルーペを使って観察する生徒


上:学習プリントに添付した結晶を再観察する生徒


上:蒸発速度が早く、結晶の形がよくない班

再結晶の条件
 写真上は、直射日光があたる窓際だったからだろうか。水が一気に蒸発し、結晶が成長しなかったように見える。不純物がたくさん入っていた可能性も高いし、シャーレに入れた食塩水の量が多過ぎる可能性もある。さて、この実験はかなり適当だったが、今回の条件と結果は以下の通り。

 初めに入れた飽和水溶液の量は、シャーレ半分〜7割。多過ぎると食塩どうしがひっつくので、半分以下の方が良いと思う。10月中旬の名古屋市の理科室に放置。晴れた日なら1日で直径1mmのものが大量に生じ、5日で完全に水が蒸発する。

(3) 食塩が再結晶した理由 (2分)
 「食塩はどうして再結晶したのですか?」と生徒に発問すれば、何人かが正しく説明してくれるでしょう。代表的な考えは以下の通りです。

水は蒸発するが、食塩は蒸発できない

食塩が再結晶する

(初めの水溶液は限界状態、飽和状態だったから)


上:A組の板書

(4) 水溶液に溶けている溶質を再結晶させる2つの方法 (7分)
 水溶液に溶けている溶質を再結晶させる方法は2つあります。1つは水を気化させる方法。もう1つは飽和水溶液を冷やす方法です。


上:B組の板書

 再結晶についてまとめてから、その方法について発問しました。生徒の意見は上の3つでした。最後の『ろ過』は違いますが、全てのクラスで同じ意見が出ました。これは再結晶との違いが明確になるので、とても役立つ間違いでした。ろ過で取り出せるものは、沈殿物、あるいは、再結晶した固体です。

 なお、黒板に『蒸発(気化)』と書いたものは、正確には『気化』です。水溶液を沸騰(気化)させても良いからです。


上:A組の板書

(5) テスト対策
 残り時間は、テスト対策の問題練習を行いました。

◎ 生徒の学習プリント

上:C君の学習プリント

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上2枚:D君とE君の学習プリント(クリックすると拡大)


授業を終えて
 水面に浮いた食塩の結晶はキラキラと揺らめき、沈んだ結晶は黒い実験台の上でダイヤモンドのように光ります。

「先生、とってもきれい!」と輝く生徒の声を聞くことは幸せです。その後の静寂、鉛筆が走る音とともに至福の時を味わってください。簡単な実験を真面目にみんなで取り組むことは、かけがえのない時間です。

関連ページ
実験15 飽和水溶液と再結晶 1年(2002年)
実験3 溶解度を測る 1年(1999年)
溶解度 2 1年(1999年)
実験14 ミョウバンの溶解度 1年(2002年)
溶解度 3(ミョウバンの溶解度曲線)  1年(1999年)
溶解度 4(再結晶) 1年(1999年)

実践ビジュアル教科書『中学理科の化学
第6章 水溶液  最高に濃い食塩水をつくろう p.104
飽和と平衡と再結晶 p.105
食塩の結晶をつくる p.106、p107
再結晶で溶質(固体)を取り出す p107

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実験22:最高に濃い食塩水をつくろう

→ 第47時
実習23:溶解度曲線

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